Special Issue
<消費税改正特集>ソフトベンダー各社の消費税改正対応と販社向け施策――可能な限り前倒しの対応を ひっ迫するサポートのリソース
2013/12/19 19:55
週刊BCN 2013年12月16日vol.1510掲載
【応研 ERP・基幹業務システム「大臣シリーズ」】
販社の新たなビジネスの可能性
手組みのリプレースでSIer系との連携強化も
取締役営業部長
同社は、来年4月の消費税改正が正式に決まった段階で、すべての販社にマイグレーションの対象ユーザーリストを配布し、協力して案件の進捗を管理してきた。岸川取締役は販社に対して、「改正対応プログラムで、システムとして消費税改正に対応しても、帳票の設定などは個別に必要になる。『NX』シリーズは、帳票の設定を自由にできる機能もあり、販社には、エンドユーザーに代わって帳票設計を役務として請け負うなど、新たなビジネスにつなげてもらうこともできる」と、「大臣NX」シリーズのポテンシャルを強調する。
さらに、「今年発表した中堅企業向けERP『大臣エンタープライズ』などがトリガーとなり、これまでの大臣シリーズユーザーよりも大規模なユーザー向けに他社製品を販売したり、スクラッチ開発で基幹システムを納入していたようなSIer系のパートナーが、消費税改正を機に当社製品をリプレース製品として提案するケースも増えている」(岸川取締役)とのことで、商材ラインアップを広げたことで、新たな販売網とユーザーが生まれている。
【OSK ERP・基幹業務システム「SMILEシリーズ」】
消費税改正対応を「売り」にはしない
販社との密接な連携で早めに案件獲得
営業本部長代理
同社のERP・基幹業務システム「SMILEシリーズ」は、消費税改正への対応を特段「売り文句」にはしていない。「消費税の改正もあり得る前提での構造となっており、保守サービスでのアップデート対応も、他社と比べて対象のバージョンが幅広い」という。
同社が重視してきたのは、今回の2段階での消費税改正の内容で、今後もいろいろと対応すべきことが出てくるという点だ。販社には消費税関連の情報がアップデートされるたびに告知し、勉強会・共同セミナーなどを開催。エンドユーザーへのヒアリングシートをつくって、新税制への対応が困難なユーザーに確実にリプレース提案ができるよう連携している。
石井本部長代理は、「当社の販社には消費税改正のポイントや企業システムへの影響をご理解いただいている。Windows XPのマイグレーションも重なって、次年になるとサポート要員もひっ迫して稼働が想定より遅れる可能性もあるといった観測も出ており、早めの受注・稼働に向けて活動いただいている」と手応えを語る。
開発パートナーによる業種ごとのテンプレートの開発も、OSKと連携したコンソーシアム形式で進めており、「タイムラグなしに法改正に対応できる体制を構築している」(石井本部長代理)と説明する。
【オービックビジネスコンサルタント 基幹業務システム「奉行シリーズ」】
奉行フォーラムで膨大な案件調査
年明けに最終商談の場も用意
取締役営業推進本部長兼
広報室長
大原泉・取締役営業推進本部長兼広報室長は、「ご来場いただいたお客様からは、業務にまつわるシステムの課題や相談事などの情報を、膨大な案件シートとして取得できた。これをセキュアなウェブサイト上で販売パートナーと共有している。年度内に確実に対応できるように商談を進めなければ、販売パートナーにとってもビジネス上の大きなリスクになるので、前倒しで動いてもらっている」と話す。
ただし、すでに対象顧客の多さから導入支援のリソースは限界に近づいている。これについては、「インストラクターの育成を継続するのはもちろん、業務の一線を退いているインストラクター認定取得者にも声をかけて、OBCから派遣できるような体制を整えたい」(大原取締役)としており、インストラクター認定制度にいち早く取り組んだ同社の「資産」をフル活用する方針だ。
さらには、年明けには新春イベントを開催し、最終的な案件クロージングの場として販売パートナーと協力する。これを防波堤として、滞りなくユーザーの消費税改正対応を完了する考えだ。
【ピー・シー・エー 基幹業務システム・ERP「PCA Xシリーズ」/「PCAクラウド」/「PCA Dream21」】
早割キャンペーンが効果上げる
PCAクラウドの訴求にも注力
専務取締役
営業本部長
ただし、年明けに需要が集中しすぎると対応が難しくなるのは各ベンダー共通の課題。そこで同社は、7月から早割キャンペーンを開始した。旧バージョンのPCA製品ユーザーは、割引料金で最新のXシリーズにバージョンアップすることができ、消費税改正対応プログラムも無償で提供される。
折登専務は、「受注の状況は予想以上。パートナーには、今年は消費税に注力することを数年前から伝えてきたので、積極的に動いてくれた」と手応えを語る。なお、早割キャンペーンは年末で終了するので、駆け込み需要が発生する可能性もあるという。
さらに同社は、クラウド型業務ソフトの「PCAクラウド」も、消費税改正対応製品として訴求している。「消費税をきっかけにした他社製品からのリプレース需要が多い。消費税改正対応プログラムなどのバージョンアップは、すべて定額の利用料に含まれるので、TCOを重視するユーザーには大きなメリットがある」(折登専務)として、ユーザーや販社に対するPRを継続する。
【弥生 業務パッケージソフト「弥生シリーズ」】
“あんしん”キャンペーン利用者は8割に
データ移行はパートナーと連携して支援
マーケティング本部長
兼
顧客サービス本部
副本部長
このキャンペーンは、「弥生 14 シリーズ」購入者にも引き続き適用し、来秋をめどに次期バージョンアップ製品を無償提供する。次期製品は、2015年10月施行予定の消費税率10%引き上げに完全対応する機能を標準搭載する方針だ。
飯野弘也・マーケティング本部長兼顧客サービス本部副本部長は、「『“あんしん”キャンペーン』の利用者は8割に達しており、ユーザーの不安解消につながっている」と話す。
また、「Windows XPサポート終了」が控えていることもあり、ユーザーが同じタイミングでPCを買い替えて、データの移行などが必要になるケースも多い。飯野本部長は、「そうした作業をユーザーに丸投げするのは酷。作業の代行などのメニューを、『あんしん保守サポート』に組み込んで、サービスプロバイダとしてさまざまなパートナーに参加してもらうことを考えている」とし、パートナーと連携したユーザー支援を進めていく方針を明らかにしている。
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