Special Issue

<SMB向け商材特集>SMBに提案しやすいクラウド型セキュリティ SIerやディストリビュータに商機あり

2013/12/19 19:55

週刊BCN 2013年12月16日vol.1510掲載

 従来の法人向けセキュリティ対策ソリューションは、SMB(中堅・中小企業)にとって導入のハードルが高く、二の足を踏むケースは少なくなかった。しかし、管理サーバーを必要としないクラウド型セキュリティの登場で、この状況が大きく変わりつつある。この特集では、SMB に提案しやすいクラウド型セキュリティ商材についてみていこう。



【NEC】ウイルスバスタービジネスセキュリティサービス

●簡単利用のSaaS型セキュリティサービス
安心の保守サポートも標準添付


 サーバーやパソコンなどのハードウェアベンダーとして知られるNECは、管理サーバーが不要のSaaS型セキュリティサービス「ウイルスバスタービジネスセキュリティサービス」を提供している。パソコンやサーバーのリプレース、スマートデバイスの新規導入時に、このサービスを利用するユーザー企業が増えているという。

システムソフトウェア事業部
阿部尚史 主任
 システムソフトウェア事業部の阿部尚史主任は、「SMBでもセキュリティ対策は不可欠だが、管理・運用業務については可能な限り『アウトソースしたい』と考えているお客様が少なくない。このサービスは、そのような課題に対して最適なソリューションだ」という。本サービスには、保守サポートも標準添付されており、ユーザー企業は問い合わせやバージョンアップモジュールも利用することができる。「当社にはこれまで培ってきたサポート力がある。お客様に安心して利用いただける点が他社との差異化ポイント」と、阿部主任は自信をみせる。

 また、NECが直販するだけでなく、販社による再販もできるようにしている。「オンプレミスのセキュリティ製品は、管理サーバーやネットワークの構築などが必要で、販売店様にとって手離れがあまりよくなかった。SaaS型セキュリティサービスは手離れがよく、売りやすい商材になるはず」と、阿部主任は訴える。


NEC=http://jpn.nec.com/


【NECフィールディング】iQQsam Anti-Virus powered by Trend Micro

●定評のある保守・運用サービスのノウハウを生かす

 保守・運用サービスの提供に定評のあるNECフィールディングは、トレンドマイクロのアンチウイルス製品に独自のサービスを加えた「iQQsam Anti-Virus powered by Trend Micro」を提供している。

 「アンチウイルス製品を導入するユーザー企業は多いが、運用・管理に手間がかかり、IT管理者の大きな負担になっている。そこで、長年培ってきた保守・運用のノウハウを生かしてサービスを提供することに踏み切った」と、川井和博執行役員は説明する。

川井和博 執行役員
 「iQQsam Anti-Virus powered by Trend Micro」では、全国約400か所のサービス拠点を持つNECフィールディングがユーザー企業のセキュリティ管理を運用。コンタクトセンターによるリモートでの設定代行により、ユーザー企業の業務負担を軽減できる点が売りだ。また今後HWのオンサイト保守を24時間365日で対応している強みを生かしたサービス強化も検討している。利用料金は、パソコン1台あたり月額600円に設定。同社では、300~1万台程度のパソコンを管理する企業が幅広く利用することを想定している。一方、すでにオンプレミス型のアンチウイルス製品を導入している企業には、クラウドサービスのメリットを訴えながらリプレースを促す方針だ。主に直接販売が主軸となるが「NEC本体と連携して、Windows XPからの乗り換えサービスとセットにした提案も進める」と川井氏は意気込みを語る。


NECフィールディング=http://www.fielding.co.jp/


【大塚商会】ワンコイン・ビジネスセキュリティサービス

●1IDあたり月額500円と安さを追求
必要なセキュリティ対策の選択も


 ソリューションプロバイダとして名を轟かせている大塚商会は、1IDあたり月額500円でウイルス対策を打つことができるウェブサービス「ワンコイン・ビジネスセキュリティサービス」を提供している。「『セキュリティ対策は従業員任せ』では、インシデントが発生した際の対応が非常に困難。クライアント端末の数に限らず、一元的に管理するウイルス対策が必要」と、マーケティング本部セキュリティ・ソフトウェアプロモーション課の森田彩里氏は語る。

マーケティング本部
セキュリティ・ソフトウェア
プロモーション課
森田彩里 氏
 「ワンコイン・ビジネスセキュリティサービス」は、ウイルス対策だけではなく、定義ファイルの自動アップデートも可能。2014年2月以降は、Windows Updateの強制実行機能や簡易的な資産管理機能も追加する予定だ。

 また、トレンドマイクロの「Trend Micro Deep Security」をベースとするサーバー向けセキュリティウェブサービス「サーバプロテクションサービス」も、「SMBが標的型攻撃のターゲットになりつつあるため、中小企業で導入が進んでいる」と森田氏は言う。

 SMBのクライアント/サーバーに関するセキュリティの課題を解決できるように、両方のサービスを用意していることが、大塚商会の提案を受け入れるユーザー企業を増やす要因になっている。


大塚商会=http://www.otsuka-shokai.co.jp/


【ダイワボウ情報システム(DIS)】ウイルスバスタービジネスセキュリティサービス Powered by DIS

●販売パートナー様の自社サービスを向上させる「2次卸モデル」を提供

 大手ディストリビュータのダイワボウ情報システム(DIS)は、SaaSセキュリティサービス「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス Powered by DIS」をサービスメニューに加えた。「クラウドサービスは開発元による直販モデルが多く、販売パートナー様にとってビジネスに組み込みにくい商材だった。この反省から『ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス Powered by DIS』は、販売パートナー様の自社サービスを向上させる『2次卸モデル』を用意した」と、広域営業本部サービス営業部アウトバウンドグループの山下広治係長は説明する。

広域営業本部
サービス営業部
アウトバウンドグループ
山下広治 係長
 このサービスでは、ライセンス発行システムを用意し、販社が「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス」を自社ブランドとして販売できる仕組みをつくった。「『ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス』に関して販売パートナー様は、自社の独自サービスとしてエンドユーザーに提供するだけでなく、アプリケーションやソリューションなどを付加して提案することもできる。契約形態も1か月単位の自動更新タイプなので、パートナー様の契約管理工数も軽減できる」と山下係長はアピールする。DISでは、このほかにも販社が取り扱いやすいSaaSサービスを数多く用意している。SMB向けセキュリティビジネスの拡大を図るSIerにとって、DISの再販モデルは魅力的に映るだろう。


ダイワボウ情報システム=http://www.pc-daiwabo.co.jp/


【日本事務器】ウイルスバスタービジネスセキュリティ サービス あんしんプラス

●ゼロに等しいサービス解約率
豊富なオプションが決め手


 SMB向けソリューションの提供で安定感を誇るSIerの日本事務器では、SaaS型セキュリティサービス「ウイルスバスタービジネスセキュリティサービス あんしんプラス」を販売している。「トレンドマイクロ様が提供し始めた当初から、このサービスを担いでいた。SIerのノウハウを生かして導入後のサポートを手厚くしており、システム管理者が不在のSMBでも安心してクライアント端末を使うことができるようになる」と、プラットフォームソリューション事業推進部の西浪一雅エキスパートはアピールする。

事業推進本部
プラットフォームソリューション
事業推進部
西浪一雅 エキスパート
 日本事務器では、ウイルス感染状況やパターンファイルのバージョンなどを監視・通知する「ウイルス監視サービス」、感染が疑われる場合にトレンドマイクロと連携して感染時の緊急対応ワクチンを短時間で提供し駆除を行う「緊急対応ワクチン提供サービス」に加え、専門エンジニアをユーザー企業に派遣し、実際のウイルス駆除作業を行う「オンサイトレスキューサービス」などをオプションで提供。

 そのため、「サービスの解約はほとんどない。実績のあるトレンドマイクロ製のアンチウイルスエンジンと当社のサポートを組み合わせることによって、お客様が安心して利用できるソリューションの提供を実現している」と、西浪エキスパートは自信をみせる。


日本事務器=http://www.njc.co.jp/


【リコージャパン】クラウドサービス for MVB

●オフィス機器からIT環境まで
「センター」&「オンサイト」サポート


 プリンタや複合機などオフィス機器を中心としてユーザー企業に最適なITソリューションを提供しているリコージャパンでは、インターネット接続やサーバーデータの遠隔バックアップ、パソコン・サーバー・ストレージの導入・保守を提供するIT総合サービスメニュー「ITKeeper(アイティキーパー)」がユーザー企業を増やしており、なかでもクラウド型ウイルス対策支援サービス「クラウドサービス for MVB」が好調ぶりを示している。ICT事業本部IT事業センターの八條隆浩センター長は、「システムが複雑化しており、お客様によるシステムの構築や、障害の対応が難しくなっている。遠隔やオンサイトでのサポートはこれまで以上に重要になるはず」としている。

ICT事業本部 IT事業センター
八條隆浩 センター長
 「クラウドサービス for MVB」は、24時間稼働の監視センターからリモートでユーザー企業のシステムを監視し、ウイルスの感染が疑われる障害を感知するとすぐにユーザー企業に通知する。

 また、毎週稼働状況のレポートを自動で発行する。オンサイトによる導入や初期設定は、ユーザー企業のシステム環境を熟知している担当エンジニアが行っている。

 「手厚いサポートによって、お客様は手間をかけず安心してシステムを運用できる」と八條センター長。オフィス機器のサポートで獲得した信頼が強みだ。


リコージャパン=http://www.ricoh-japan.co.jp/


【トレンドマイクロ】販社が売りやすい仕組みを構築 「バーチャルフォーラム」を開催中

 クラウド型セキュリティサービスは、従来、必ずしも販売パートナーが扱いやすい商材とはいえなかった。サポートやオンサイト保守、監視サービスなど、販社が独自のサービスを付加することが難しいからだ。したがって、「セキュリティ管理をアウトソースしたい」と考えているユーザー企業のニーズに応えることができなかった。

 トレンドマイクロは、クラウドによるセキュリティサービス基盤を構築・提供するだけではなく、販社が自社サービスとして独自の付加価値をつけて提供できるようにした。販社が売りやすい仕組みや環境を整えたことによって、同社のクラウド型セキュリティサービスは、さらにユーザーを獲得していくだろう。

 なお、トレンドマイクロでは、従来のオンプレミス型(サーバー設置型)とSaaS型のセキュリティサービスとの違いや、それぞれのメリット・デメリットなどを詳しく説明する「クラウド型セキュリティ バーチャルフォーラム」を開催中。このサイトでは、各メーカーの取扱商品の詳細などを紹介している。

トレンドマイクロ=http://www.trendmicro.co.jp/
「クラウド型セキュリティ バーチャルフォーラム」=
http://www.atmarkit.co.jp/ait/special/at130604/index.html
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外部リンク

トレンドマイクロ=http://www.trendmicro.co.jp/

NEC=http://jpn.nec.com/

NECフィールディング=http://www.fielding.co.jp/

大塚商会=http://www.otsuka-shokai.co.jp/

ダイワボウ情報システム=http://www.pc-daiwabo.co.jp/