Special Issue
サイボウズ クラウドサービスをプラットフォームに事業を拡大 パートナーとの連携でエコシステムの確立へ
2013/10/31 19:55
週刊BCN 2013年10月28日vol.1503掲載
「cybozu.com」に5000社が有償契約 月間250~300社のペースで増加
サイボウズは、2011年11月、独自開発のクラウド基盤「cybozu.com」を発表し、PaaSサービス「kintone」の提供を開始した。加えて、エンタープライズ向けグループウェア「サイボウズ Office」や「Garoon」のクラウド版も提供することで、事業の軸足をクラウドに置く姿勢を明確に打ち出した。「cybozu.comは、現在、5000社に有償契約していただいており、さらに月間250~300社のペースでユーザー企業が増加している」と、執行役員営業本部長の中原裕幸氏は好調ぶりを語る。さらに、「クラウドは使い勝手だけでなく、セキュリティがしっかりしていることも重要だという認識が広まっていたタイミングで、cybozu.comを提供することができた。グループウェア専業メーカーとしての実績とブランド、そこにクラウドに対する需要が合致したことが、当社のクラウドサービスが高い評価をいただいた要因だと考えている」という。
現在、パッケージ製品だけでなく、パートナー企業のクラウド環境で提供するパートナークラウド、そしてサイボウズの基盤で展開するcybozu.comの三つを軸に、サービスを提供している。中原氏は、「クラウドサービスが好調な一方で、従来から提供しているパッケージ版のグループウェアも売り上げを伸ばしている」という。その背景には、同社のパートナー戦略の強化がある。
「cybozu.comと同時に提供したデータベースアプリ『kintone』によって、スケジューラや社内掲示板などの情報のみならず、データ連携による業務アプリケーションの情報も扱えるようになった。こうした利点が受け入れられて、業務アプリケーションを軸としておられるパートナー様にも『kintone』を販売していただいているほか、『kintone』を使ってビジネスアプリケーションを開発するSIパートナー様、ソリューション連携するアライアンスパートナー様との関係も生まれ、販売展開が大きく変わってきている」と、中原氏は好感触を得ている。
海外クラウドサービスとの競合も“国産ならでは”の勝算あり
実際、「kintoneアプリストア」では基幹システム連携、事務改善、労務、営業などの業務分野でパートナー企業のソリューションが提供されている。cybozu.comを発表した際にサイボウズが強調したのは“エコシステムをつくる”という点だった。cybozu.comやkintoneのサービス提供からおよそ2年が経過し、販売パートナーだけでなく、アライアンスパートナーやSIパートナーと、連携に広がりが出てきたことで、このエコシステムは着実に拡大してきたといえるだろう。さらに、アライアンスパートナー戦略を担当するビジネスマーケティング本部BPM部SIプロダクトマネージャーの玉田一己氏は、「販売パートナー様と設計や開発を担当する地場のベンダー様をマッチングしたり、パートナー様同士の連携を誘導したりするなど、単に製品を販売するだけでなく、チームを組みながらお客様に提案できるようなパートナー戦略をさらに展開していきたい」と今後の抱負を語っている。
オンプレミス環境で使うグループウェアとしては高いシェアと実績を誇るサイボウズだが、クラウド環境ではGoogleやマイクロソフトなど海外勢のサービスが競合相手となる。これら競合の安価なクラウドサービスとどう差異化を図るかが課題だが、「当社のグループウェアは、海外勢と設計思想が根本的に異なる」と、ビジネスマーケティング本部副本部長兼BPM部長の林田保氏は指摘する。
また、「海外のクラウドサービスは、個人をベースに業務を組み立てるという欧米型の考え方をもとにつくられている。一方、サイボウズは組織ありきで、いかにチームで効率よく情報共有するかを念頭に置いて設計している。日本企業に合ったUI、機能設計という観点では、海外のクラウドサービスにはない優位性をもっている」としている。
サイボウズは、11月8日に東京ドームホテルで「cybozu.com カンファレンス 2013」を開催する。このカンファレンスでは、サイボウズが取り組んでいるパートナー連携ソリューションの紹介をはじめ、ユーザー企業の導入事例などを中心としたセミナーセッションが展開される。サイボウズのエコシステムが確立していることが垣間見えるイベントになっている。
執行役員 営業本部長 中原 裕幸 氏、
ビジネスマーケティング本部 副本部長 兼 BPM部長 林田 保 氏
有力パートナー6社が語るサイボウズkintone連携ソリューションの魅力!
●[アプレッソ]ノンプログラミングでシステム連携を手軽にします
代表取締役社長
小野 和俊 氏
このほど、サイボウズ「kintone」と他のシステムを連携するための「DataSpider Servista kintoneアダプタ」をリリースしました。これにより、kintoneユーザー様がお使いのさまざまなシステム同士を手軽に連携することができます。kintoneアダプタは、kintoneに対するレコードの検索、一覧取得、追加、更新、削除に対応しています。
データ連携構築および運用にかかる時間とコストを削減し、ファストシステムを実現します。
●[ウイングアーク]帳票市場トップシェアの連携で帳票出力を身近にします
代表取締役社長
内野 弘幸 氏
SVFは、業務システムの構築で課題となる帳票の開発を短期間で実現することが可能です。とくに、固有の帳票デザインで運用される請求書や伝票、発注書、見積書や給与明細、出荷指図書や検品ラベルなど、業務に必要な帳票をノンプログラミングで設計開発できます。電子化した帳票は、SVFによる総合帳票基盤の上で、大量出力、ウェブからのクライアント印刷、PDF、メール、FAXなど、業務の用途にあった運用を早期に実現できます。
SVFが大規模システムで培ったノウハウをそのまま生かして、サイボウズ「kintone」からの帳票出力をもっと身近にします。国内グループウェア・トップシェアのサイボウズと国内帳票トップシェアの当社が協業することで、業務アプリケーションの構築から帳票出力までを簡単かつ安価に実現します。
(※1)出展:ミック経済研究所 ミドルウェアパッケージソフトの市場展望【運用・DB編】 2012年度版 帳票運用パッケージ出荷金額(メーカー出荷)/2012年12月発刊
●[応研]大臣シリーズ連携はモバイル活用を促進します
取締役営業部長
岸川 剛 氏
独自モジュールを搭載し、さまざまなシステムとのシームレスな連携で多彩な拡張性を実現する「大臣ERPシリーズ」も展開しています。今秋、中堅・大企業向け基幹業務統合ERPパッケージ「大臣エンタープライズ」を提供開始。開発工数の削減や処理性能の向上に加え、業種特有の業務や処理にフィットし、事業拡大や多様化にも対応します。
さらに、サイボウズ「kintone」と大臣シリーズがデータ連携し、タブレット端末やスマートフォンなどで基幹業務パッケージを活用するソリューションを提供しています。双方のプラットフォームを融合することで、kintoneで入力したデータを大臣シリーズに取り込み、外出先から大臣シリーズへの簡単な情報入力を実現します。モバイル活用の促進や利用者の利便性向上、さらなる運用シーンの拡大を図ります。
●[オープンストリーム]Biz/Browser連携は攻めの業務改革を加速します
取締役
野田 伊佐夫 氏
「戦略的に共有・活用する価値の高いデータ」をクラウド環境に配置し、サイボウズ「kintone」との連携で、迅速かつ柔軟にサービスをつくって進化させます。さらにBiz/Browserの連携ソリューションにより、高度なUIを必要とする周辺業務をカバーし、基幹業務システムとの連携やフロント統合対応、スマートデバイスによるオフライン業務を実現します。
“kintone×Biz/Browser”ソリューションは、「サービスをつくる」という時代に、新サービス提供型の店舗改革、迅速な情報共有やコラボレーションを前提とする業務改革、営業スタイルの変革など、攻めの業務改革を加速します。
●[Ping Identity]認証連携で企業のチーム力を高めます
日本およびアジア太平洋地域
担当マネージングディレクター
近藤 学 氏
当社のソフトウェア「PingFederate」とクラウドサービス「PingOne」は、サイボウズ「cybozu.com」との間でSAMLプロトコルによる認証連携に対応しています。認証連携を利用することで、cybozu.comをお使いのお客様は二つのメリットを得られます。一つは「SSO」です。Active Directoryなどに一度ログインしていれば、cybozu.comにアクセスした際、専用のID・パスワードを再入力することなく、シームレスにログインできます。
二つ目は「セキュリティ強化」です。認証は自社内で行うだけになり、cybozu.com側にパスワードが保管されることはなく、定期的な変更作業も不要になります。認証連携により、どのデバイスからでもクラウドを意識することなくスムーズかつ安全に利用し、チーム力を高めることが期待できます。
●[ヴイエムウェア]セキュリティと管理性を維持しながらマルチデバイス化を実現します
パートナービジネス本部
EUCビジネス
シニアパートナーマネージャー
飯島 徹 氏
これらの変化に積極的に対応するソリューション、それが「VMware Horizon Suite」です。Horizon Suiteに含まれる「Horizon Workspace」では、認証サーバーとしてActive Directoryを利用するため、ユーザーはいつも社内で使っているIDとパスワードでサイボウズ「cybozu.com」を利用できます。標準化団体OASISによって策定された、認証情報を交換するためのプロトコルであるSAMLを使い、既存の認証サーバーによる認証処理の一元化を実現しています。
柔軟なワークスタイルを実現するプラットフォーム、VMware Horizon Suiteにより、IT部門のセキュリティと管理性を維持したまま、ユーザーは任意のデバイスからデータやアプリケーションに接続できます。
今日から使えるビジネスアプリ「kintone」
「kintone」はcybozu.comが提供するクラウドサービス。webデータベース型のビジネスアプリを自由に設計できます。アプリ設計や運用設定はすべてノンプログラミング、基本的にはマウス操作のみで完了します。いま“無料お試し”にお申し込みいただくと、最大30日間、kintoneのすべての機能を体験できます。ソフトのダウンロードやインストールは必要なし、お申し込み後、わずか数分でお客様専用環境をご用意いたします。お試し期間中からアプリテンプレートのご利用も自由です。アプリストアには業種別・目的別に30種類以上のテンプレートをご用意、ビジネスチームで今日から利用をスタートできます。
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