IIJグローバルソリューションズのマネージド型インターネットVPNサービス「SmartWAN」が、流通・小売業のユーザー企業に人気を集めている。安定したネットワークを低コストで、手間なく24時間365日運用できることが高評価のポイントだ。導入期間の短さや運用の手間が少ないのも特徴で、「新店舗のネットワーク環境をすぐに構築したい」「システム管理者が（店舗には）いないので、手間をかけずに運用したい」と考える流通・小売業に愛用されている。

ネットワーク管理・運用に　必要な業務をワンストップで

　IIJグローバルソリューションズ（以下、IIJグローバル）の前身は、AT＆Tジャパンのネットワーク・アウトソーシング・サービス部門。世界に複数の拠点を設置してグローバルビジネスを展開する大手企業を中心に、約1700社のユーザーを獲得している。

　「SmartWAN」は、多くの拠点を構えるユーザー企業に最適なマネージド型インターネットVPNサービスだ。ネットワークの設計・構築や、回線・機器の調達、運用管理など、ネットワークシステムの構築・運用に必要な作業をすべてIIJグローバルが請け負う。自社でネットワークを構築・運用する場合、万一障害が発生した際の原因把握や復旧などには、運用担当者の負担は大きいものになる。しかし、「SmartWAN」を利用すれば、運用・管理業務をすべてIIJグローバルに任せることができる。24時間365日対応なので、ユーザー企業は安定したネットワークを日々手間なく運用できるわけだ。

　「当社が蓄積してきたノウハウを生かして開発したのが『SmartWAN』。システム運用担当者の負荷軽減や、トータルコストの最適化、臨時・一時利用が可能な柔軟性など、多くのメリットをユーザーに届けることができる」──。サービス推進本部 サービス企画部の武内亜希子氏はこう語る。

高いコストパフォーマンス　POSレジの無線LAN化にも最適

　緊急時の対応策も万全で、「キャリア回線は、ユーザーの拠点によって連絡先が異なるため、いざという時に対応が遅れるケースがある。当社の場合は、ユーザーの拠点がどこであっても一つの窓口でユーザーの複数の拠点の状況を把握でき、障害発生時にいち早く対応できる」と、武内氏は利点を説明する。

　「SACM」（Service Adaptor Control Manager）という仕組みを活用することで、サービスアダプタの設定情報を、IIJグローバルが管理サーバーで一元管理。ユーザーは全拠点のネットワークの状態をSmartWANポータルからビジュアルで把握できる。また、IIJが独自開発したサービスアダプタ「SA-W1」は、無線LANやモバイル回線を利用してセキュアなネットワークを構築できるので、有線回線の敷設が困難な店舗などでも利用できる。

　サービス推進本部 サービス・テクノロジの田部智史氏は、「ルータの設定は、エンジニアがオンサイトで行うケースが多いため、人為的ミスが起こりやすく、作業時間が長時間になりやすい。『SmartWAN』の場合、設定情報が自動適応されるので、人為的ミスを撲滅でき、作業時間を大幅に短縮できる。これによりサービスアダプタの保守交換が発生した場合も、これまでの設定を新しいサービスアダプタにスムーズに適用できるので、従来の50%以下の作業時間で迅速にネットワークを復旧させることができる」とメリットを語る。また、価格は最低利用期間が1か月で月額4500円と安価。現地での設定作業が不要なため、複数の拠点に一括導入しやすく、短期利用も可能なため、多店舗展開の流通・小売業に最適だ。

　田部氏は、最近の流通・小売業のユーザーの傾向として「消費税率の引き上げなどをきっかけに、業務の効率化を目的にPOSシステムの見直しが進んでいる。その際、POSレジの無線LAN化を図るユーザーが多く、当社に声がかかるケースが多い」と説明する。「SmartWAN」を活用すれば、拠点の状況に合わせて有線か無線かを選択でき、また無線LANの場合はルータと無線LANのアクセスポイントを一体で管理。さらに耐障害性の向上のため、センター・拠点間を冗長化するなどセキュアなネットワーク環境を構築することも可能となる（図参照）。こうしたニーズに応えられることも注目を集める要因になっている。

　「『SmartWAN』は、ネットワークを販売する多くのITベンダーからもお声がけいただいており、『提案の幅が広がった』と高く評価していただいている」と田部氏。大規模なグローバルネットワークサービスのノウハウを移植した安価なマネージド型インターネットVPNサービスは、高い信頼と利用のしやすさを両立しているだけに、流通・小売業のユーザーに今後も受け入れられそうだ。