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<ビッグデータ特集>ビッグデータは情報の価値を変える 可視化ソリューションが注目の的に

2013/10/10 15:49

週刊BCN 2013年10月07日vol.1500掲載

 今夏、JR東日本がSuicaの顧客情報の一部を他企業へ有償で提供していたことや、NTTドコモが新たに情報を提供するという発表を受けて、個人情報開示の是非を問うニュースが新聞やネットで話題となっている。これらのデータはビッグデータであり、いま最もホットな分野だ。新たなソリューションが続々と登場している注目のマーケットを考察する。

 ビッグデータの概念は「大量の情報」であり、従来のアプリケーションソフトでは処理しきれないレベルの量の情報と考えられている。そのため、ビッグデータの保有は、ほぼ大企業に限られるといってもいいだろう。

 企業には、何十年もかけて蓄積された、貴重な顧客情報や市場動向などのデータが眠っている。では、なぜ今、ビッグデータが注目されているのだろうか。蓄積された顧客データは、従来は来店者の男女比や時間帯などの統計を出すために利用される機会が多かった。数字として現れる結果は、なかなかその先に利用されることが少なかった。例えば流動人口のデータは、いつどこを通過したか、どこに居たのかを数値化するが、データの性質上、その人がなぜここに居たのかを解析することはできなかった。この情報の歩留まりを解消すべく、ビッグデータソリューションが開発された。新たな情報収集と情報処理、情報解析法によって「可視化された生きた情報」にすることに成功したのだ。

 市場の拡大を示すデータがある。調査会社のIDC Japanによれば、2013年の国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場規模は、前年比41.9%増の293億3000万円、2012~2017年の年平均成長率(CAGR)は37.5%にまで達するとみられる。IBMやオラクル、マイクロソフトなどが、巨額の開発費を投じていることからも、市場のさらなる拡大は間違いないとみていいだろう。

 拡大するビッグデータマーケットとソリューションの飛躍を支えるカギが二つある。

 一つは、進化し続ける技術だ。大容量の情報を保存し、必要な場合に容易にアクセスできるストレージの技術や、テキスト・音声・映像など情報の形を選ばずに蓄積できるデータベース(DB)。さらに膨大な情報を解析するアプリケーションの進化などが後押しする。そして、技術の進化はとどまるところを知らないだろう。

 もう一つのカギは「いかに情報の付加価値を高めるか」であって、情報を魅力的な形にまとめる人材の育成が注目されている。今でもビッグデータをお金を支払ってでも手に入れたいと考えるクライアントは少なくない。しかし、導入後の費用対効果や、自社のどの事業分野にビッグデータが必要なのかなどについては、決定打に欠ける部分がある。この状況下でクライアントの経営陣に情報の購入を決心させるには、多種多様なニーズに対応できるビッグデータの価値と魅力を納得してもらわなければならない。情報が購入に結びつかなければ、利益を生み出すことはないのだから。

 ビッグデータを提案するとき、IT専門家、データサイエンティスト、そして情報を活用するマネージャーが必要となる。なかでもビッグデータから利益を生み出すマネージャーの存在は欠かせないが、この人材が不足している。クライアントの事業を理解したうえで、あらゆる角度から情報を分析し、活用方法を企画して提案できる人材は、育成するしかない。現に米国の大学では、ビッグデータ専門コースが新設される動きがあり、ビッグデータソリューションを扱う国内企業もマネージャーの人材育成に力を入れ始めている。

 ビッグデータを取り巻く環境は、新しい技術の開発、新しい人材の育成など、さまざまな事業を巻き込んでいくことだろう。ビッグデータ活用のためのソリューションを開発する分野の新規参入も期待される。拡大し続けるマーケットに注目したい。


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