米ピーエムシー・シエラが米アダプテックのチャネルストレージビジネスを買収してから、およそ3年が経過した。この間、ピーエムシー・シエラ・ジャパンは、6Gb/秒 SAS/SATAに対応したRAIDアダプタ「Adaptec RAID 6シリーズ」を皮切りに、ピーエムシー・シエラとアダプテックの技術を融合した製品群を市場に投入。SAS/SATAホストバスアダプタ（HBA）の本格的な展開にも力を注ぎ、新たな成長戦略を描いている。OEM事業やデータセンター向け事業を中核とし、幅広いニーズに応えるピーエムシー・シエラ・ジャパンの戦略について、話を聞いた。

統合によるシナジーを発揮
6Gb/秒 RAIDアダプタが好調

　米ピーエムシー・シエラは2010年6月、米アダプテックのチャネルストレージビジネスの買収を完了した。それを受けて、ピーエムシー・シエラ・ジャパンでは、「Adaptec by PMC」ブランドのもと、2社統合によるシナジー効果を発揮したRAIDアダプタを市場に投入している。

　2011年3月に出荷を開始した6Gb/秒 SAS/SATA対応RAIDアダプタ「Adaptec RAID 6シリーズ」は、統合後初めてピーエムシー・シエラのROCチップを搭載した製品。SASエクスパンダ使用時に、最大256台のSAS/SATAデバイスをサポートし、8レーンPCIe Gen2ホストバス接続に対応する。また、2012年10月には、次世代モデル「Adaptec RAID 7シリーズ」の販売を開始。「6シリーズ」と同様に、ピーエムシー・シエラの最新ROCチップを搭載したほか、PCI-SIG準拠のI/OシリアルインターフェースであるPCIe Gen3に対応し、前世代の約2倍というハイパフォーマンスを実現している。

　「OEM事業については現在、OEMメーカー様による『6シリーズ』の評価期間が終了した段階。各メーカー様から高い評価をいただいていて、順調に推移している」と、エンタープライズストレージ事業部の稲葉知彦・サーバストレージソリューションズ・セールスマネージャは現状を説明する。「7シリーズ」についても、「とくに“ハイパフォーマンス”という点で高い評価を得ており、夏頃に出荷を開始するメーカーも出始めている」と、OEM事業が堅調である点を語っている。

　一方、DC（データセンター）向け事業も好調だ。市場では現在、クラウドサービスの伸長に加えて、ビッグデータの利活用にも注目が集まっているが、膨大なデータを蓄積して利活用するにはストレージの増強が欠かせない。このような情勢が、ピーエムシー・シエラ・ジャパンにとっては追い風となり、「7シリーズ」などハイパフォーマンスなRAIDアダプタの訴求力が増しているという。

「分散ストレージ」に高い関心
HBAで市場ニーズに応える

　ピーエムシー・シエラ・ジャパンでは、従来から好評のRAIDアダプタと並行して、SAS/SATAホストバスアダプタ（HBA）の本格的な展開も進めている。

　「リスク分散という観点から、ロケーションの異なるDCをつなぎ、システム全体で冗長性をもたせる“分散ストレージ”に、ユーザーの高い関心が寄せられている。I/Oの部分についてはRAID機能を重視するのではなく、物理ディスクをできる限り接続してパフォーマンスを向上したいというニーズが高まってきているようだ」（稲葉氏）。

　ピーエムシー・シエラは、この市場ニーズに応えるソリューションとして、6Gb/秒 SAS/SATAインターフェースを搭載したホストバスアダプタ（HBA）を提供。「7Hシリーズ」や「7Heシリーズ」、「6Hシリーズ」というラインアップを揃えた。

　「7Hシリーズ」および「7Heシリーズ」は、最大16個のネイティブポートでレイテンシを最小化し、PCIe Gen3帯域幅の能力を最大限に発揮するモデル。「7Heシリーズ」は、「7Hシリーズ」の機能に加えて、データ暗号化エンジン「maxCrypto」を搭載し、セキュリティ機能を高めている。コストパフォーマンスに優れたモデル「6Hシリーズ」は、4または8個のSAS/SATAポートを備えている。

　「分散ストレージ」に対する需要は世界各国で高まっており、日本市場も例外ではない。SAS/SATA HBA市場がさらに伸びる可能性は大きい。強力なラインアップを揃えたピーエムシー・シエラの提案に、市場からも熱い視線が注がれている。