Special Issue
<仮想化ソリューション特集>浸透する仮想化技術 サーバーに加えてクライアントPCやストレージにも
2013/08/01 15:49
週刊BCN 2013年07月29日vol.1491掲載
システムを仮想化する主なメリットは、コスト削減だ。物理サーバーの導入台数を削減できるほか、CPUやメモリの性能が向上しているので、前世代のシステムよりも少ない投資で高速な処理能力を得ることができる。台数が減ることで、データセンターなどの設置場所を削減でき、管理コストも軽減される。
また、複数の物理サーバーを組み合わせるHAクラスタによって、仮想マシン全体を保護できるので、ノードの障害を検知すると、いったん停止して別のノードで仮想マシンを再起動して、システムを継続的に動作させることができる。この時、ライブマイグレーションを使用すると、メモリ上にしか残っていなかったデータを消すことなく、さらに仮想マシンやゲストOSを停止せずに移動できる。メンテナンスもマシンを停止せずに行えるといった運用面でも効率化を図ることができる。
ただ、課題もまだ多く見受けられる。導入時に、不必要に高性能で高価なハードウェアを導入すると、必ずしもコスト削減につながらないこともある。仮想化では、クロック数が高いCPUを少量搭載するよりも、低クロックでもコア数を多くしたほうがコストパフォーマンスにすぐれているといわれている。ストレージも同様で、容量や性能を規模に合わせないとイニシャルコストが高くなってしまう。管理面でも、サーバーの運用・管理、およびスケジュール調整が煩雑なこと、物理サーバー障害時の影響が大きいことなどが指摘されている。
しかし、情報システム部門の人材のスキルアップに時間を割いたり、ITプロセス/ポリシーの統合や標準化に向けた取り組み、システムインベントリ管理のために構成管理データベースを実装するといった、投資に対して直接的ではない部分への対応に、手が行き届いていないケースが大半だという。こういった課題に対し、解決策を提示していくことが求められている。
一方で、最近ではサーバーだけでなく、クライアント環境やストレージを仮想化するニーズが高まっている。クライアントでは、2012年から2013年にかけては、大規模導入や追加案件が大幅に増加する見通しだ。2014年に予定されているWindows XPのサポート終了で、多くの企業がこのタイミングで、「Windows XP」のアプリケーションを仮想化環境へ移行させるか、もしくは「Windows 7/8」へ移行する代わりにクライアント仮想化を検討するなど、その対策に打って出ることによって、仮想化需要が一気に高まるとみられている。ストレージはデータ量の増大に合わせて、ストレージシステムのコストと管理工数を減らすニーズが顕在化してきた。
サーバーから始まった仮想化の波は、クライアント環境やストレージにも広がる。仮想化技術はますますユーザー企業の情報システムに浸透しそうだ。
→「ネットワンパートナーズ 国内初となる「UCS」でBTO開始 新製品のメインターゲットはSMB市場」を読む
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