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<x86サーバーメーカー座談会 2013>メーカー各社、SMBの領域を攻める ――SMBやデータセンターが活況 新たな分野での伸長に期待

2013/06/27 19:56

週刊BCN 2013年06月24日vol.1486掲載

──サーバーOSの最新版となるWindows Server 2012が2012年9月に発売されました。新しいサーバーOSは、市場に対してどの程度貢献しているのでしょうか。

芝本(富士通) Windows Server 2012をはじめとするサーバーOSは、販売開始後すぐに実数が出るというものではありませんが、「Windows Server 2012 Standard」のインスタンス拡大やHyper-Vレプリカなどの機能面をみると、導入しやすいサーバーOSだと感じています。

高群(日立製作所) 当社も、まだWindows Server 2012は立ち上がってきていないという感触があります。Windows Server 2012からEnterprise EditionがなくなってDatacenter EditionとStandard Edition中心になりましたが、Datacenter Editionでは、1ライセンスで無制限の仮想インスタンスを実行できるので、クラウドには最適です。こういったメリットをパートナーの皆様とともに、お客様へもっとPRしていく必要があると思います。

小林(日本IBM) お客様の状況をみるとWindows Server 2008からWindows Server 2012に移ってきているとは感じています。当社の場合は、Windows Server 2012 Datacenterが顕著に伸びています。これは「Hyper-V」による仮想化という部分が大きいのだと思います。仮想化というキーワードがこれからも市場を後押ししてもらえるとうれしいですね。

本永(NEC) 当社では、Windows Server 2012の出荷前から特別プロジェクトを立ち上げ、Windows Server 2012の新機能を活用した製品・ソリューションの開発や早期検証による品質向上、ツール類やトレーニングの整備など、NECグループ横断300名体制で推進してきましたが、実際に販売を開始し、徐々に効果が出始めています。期待は大きいですね。

デル
マーケティング統括本部
木村一仁 サーバブランド マネージャ
Kazuto KIMURA


<販売のトリガーになっているのは「コスト削減」です。
複数のソリューションを組み合わせることによって、
相乗効果が出てきました。>

サーバーの販売台数はどうなる?
ニーズの掘り起こしで今後も増加

──サーバーメーカーの立場から、今後の市場予測などをお聞かせください。

高群(日立製作所) 今後、仮想化・クラウド化はさらに加速していくと考えています。これらが加速するとサーバーの販売台数は減っていくのですが、仮想化・クラウド化によってコスト削減できた分、ユーザー企業は新たな分野にIT投資を振り分けていく可能性が十分にあると思います。当社としても、ビッグデータなど新しい領域でのニーズをビジネスにつなげる活動に力をいれています。

小林(日本IBM) サーバーを仮想化し、集約するお客様が増えており、これらのお客様に販売する台数は確かに減っています。しかし、データセンターやサービスプロバイダといったお客様は、サーバーを数多く購入していただいています。このようなサーバーを購入されるお客様が変わってきているというだけでなく、VDIやビッグデータというキーワードで需要は増加し、市場としては拡大していくと思います。

芝本(富士通) これまでサーバーが利用されてきた領域について、サーバーの販売台数が減っているのは事実です。しかし、eコマースやデータセンターなど、ICT(情報通信技術)投資に価値を見出している企業が多く存在し、大量のサーバー導入につながっています。このような領域では、今後もサーバーの販売台数は伸びていくでしょう。サーバーの適用領域自体も広がっていて、農業など、これまでICTを使っていなかった分野にもICT投資が拡大していくことが期待できます。サーバーの販売先は変わっていきますが、台数としては増えていくと思います。

本永(NEC) 同じx86サーバーでも時代の変化に合わせて、役割が変わっていると思います。元来、伝票発行のような業務に紐づいたシステムで使われていたサーバーが、営業支援や顧客管理などの業務アプリケーションサーバーやファイルサーバーとして使用されています。今後は、蓄積されたデータを分析・活用する企業が増えるでしょう。新たな分野へのICT活用も期待できますね。

 また、クラウド利用と自社保有のハイブリッドというように、用途に応じてデータの扱い方が変わるでしょう。芝本様がおっしゃるように、販売先が変わることはありますが、サーバー自体の需要はあると思います。

──販売会社からは、「サーバーをどう訴求すれば顧客に響くのか」という質問がよく寄せられます。そこで、サーバーメーカーの皆様からみた、サーバーを販売する際のキーワードやヒントなどを聞かせてください。

小林(日本IBM) 当社は「10年先を見据えたシステム」というコンセプトでFlex Systemを打ち出しました。ITはこれまで時代とともに変化してきましたし、これからも変化し続けます。ITの変化をみながら、「次のインフラはどうなる?」と不安に思っているお客様は多いと思います。当社が提唱したキーワードは、このようなお客様に響くはずと考えております。また、Microsoft様と協業して展開しているSQL Server SSDアプライアンスなどのアナリティクス(データ活用)や、FlashSystemによるデータベースパフォーマンスの向上や、SDN(Software Defined Networking)などの最新テクノロジーもサーバー販売のキーワードになってくると考えます。

木村(デル) デルのサーバー製品群は、例えるなら百貨店のように幅広いラインアップを取り揃えております。しかしながら、「複雑さをシンプルに」をキーワードに、それぞれのモデルの良さが一目でわかるようなフレーズを、パートナー様向けの各種販促資料に盛り込んでいます。また、デルのパートナー戦略の一つとして、両社の強みを生かしてビジネスをさらに発展させるという理念があります。よってこの製品群とパートナー様が持つ強み(ソリューション)を組み合わせることにより、多くの新しい市場を開拓することができます。

本永(NEC) 当社は今年度より、サーバーやストレージ、ソフトウェアだけではなく、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス、さらにセンサ機器に関連する事業を同じビジネスユニットに統合しました。開発・生産面での効率化はもちろん、これらのアセットやさまざまなノウハウを活かした一気通貫のソリューションで、パートナー様をご支援できればと考えています。

高群(日立製作所) 当社の場合、パートナー様が主体として売ろうとしている商品を補完あるいは強化するソリューションを提供しながら、パートナー様と一緒にビジネスを展開しています。一昨年から、当社は組織を大きく変更して、サーバーだけではなく、ストレージやソフトウェアの各事業も統合し、ビッグデータの利活用と社会イノベーションの実現を支えるビジョンとして「One Platform for All Data」を掲げて事業を推進しています。パートナー様とともに、日立のITプラットフォームをトータルシステムとして提供することによって、付加価値を高められるようになったと感じています。

芝本(富士通) 「モダナイゼーション」と「イノベーション」をキーワードにしてはいかがでしょうか。つまり、従来のシステムを「モダン化」するということと、新しい領域にICTを活用するという提案です。その内容についてはいろいろ考えられますが、ワークスタイルの変革やAR(拡張現実)など新しい技術が重要な要素になってくると思います。

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外部リンク

NEC=http://www.nec.co.jp/

デル=http://www.dell.co.jp/

日本IBM=http://www.ibm.com/jp/

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/

富士通=http://jp.fujitsu.com/