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OKIデータ 「5年間無償保証」とパートナーとの関係強化で国内売上高300億円を突破 パートナー戦略とCOREFIDO2で快進撃

2013/05/16 19:55

週刊BCN 2013年05月13日vol.1480掲載

 プリンタ業界に衝撃を与えた「5年間無償保証」の『COREFIDO(コアフィード)』の登場は、これまでプリンタの保守運用コストに悩んでいた業界(とくに文教市場)のユーザーから熱烈な歓迎を受けた。パートナーシップの強化施策も奏功し、OKIデータは設立17年目にして国内売上高で初めて300億円を突破した。10年連続で右肩上がり成長を続ける同社の2013年度の戦略を訊いた。

商品構成と販売チャネルを1.4倍拡大

執行役員
国内営業本部長
栗本 清 氏
 1994(平成6)年の設立以来、初めて国内営業本部の売上300億円超えを実現したOKIデータ。「念願だった」と執行役員 国内営業本部長の栗本清氏は熱く話す。「SIDM(シリアルインパクトドットマトリクス)プリンタの市場が縮小していた1990年代後半、強い危機感をもっていた。A4・A3カラー複合機の時代となり、プリンタ本体で利益を確保するビジネスモデルから、消耗品で利益を得るビジネスモデルへの転換で10年連続成長を達成した。これほどの成長はOKIグループのなかでも稀有な例だ」と栗本氏はいう。

 契機となったのは2006年度に行ったディストリビューターとの取引強化だ。そして業界内では「無謀だ」との声が大きかった『COREFIDO(コアフィード)』の「5年間無償保証」も、国内の拡大戦略をけん引した。「国内営業では『√2作戦』を掲げた。第2世代COREFIDO(COREFIDO2)のラインアップ強化などの商品施策で1.4倍の既存チャネルの成長を目指す第1ルート、チャネル幅の1.4倍拡大を目指す第2ルートのいずれもが成功した」(栗本氏)。世界的不況だけでなく、東日本大震災やタイ大洪水による製品供給の一時的な悪化時期を見事に乗り越えた。市場はマイナス3%成長のなか、OKIデータの国内プリンタ事業は8%という驚異的な年間平均成長を実現した。

 「最も効いたのは、販売現場でのエンドユーザーの積極的な購買だ。COREFIDO本体の無償保証に加え、メンテナンス品5年間無償提供も開始したCOREFIDO2は、初期投資ではなくTCO(総保有コスト)で考えるエンドユーザーに支持された。特に長期に利用するお客様ほどTCOは下がる」(栗本氏)。

 これが販売パートナーにとっても差異化ポイントをもつ商材となった。「純正消耗品の利用率は90%以上。1台あたりのリターンの大きい、良質な顧客の獲得にわれわれは成功した」と栗本氏は振り返る。量販店の店頭販売やメーカー営業を強化したほか、OKIの得意業界である金融業界にクラウド活用を含めたソリューションを提案。グループの総合力も大きなパワーとなった。


市場拡大・深耕をパートナーと共に進める

 2013年度の構想について聞くと、栗本氏は全体としては縮小傾向のある市場だと認めた上で、「カラー複合機の需要は確実に伸びている。決してすべてが沈んでいるわけではない。新製品発表など、販売戦略を強化していく」と説明する。戦略は2本の柱が支える。1本目はオフィスソリューション市場。従来の高価格ハードウェアとクローズドなAPIしか提供されていなかったオフィス用プリンタ市場に対し、OKIデータは逆転の発想で安価なハードウェアとオープンなAPIを提供する方向性を目指す。「クラウドを基盤とし、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)をパートナーとして連携。顧客は自社が必要とするソフトウェアを自由に選択できる環境を得る。もちろんプリンタベースのため機器も低コストだ」(栗本氏)。

 「オフィス利用の9割はA4サイズ」という調査結果にもOKIデータは注目している。「例えば3台のプリンタを設置する場合はA4機2台、A3機1台を設置すればよい。A4機はTCOやスペースを削減する。いまはA4カラー複合機の伸びを期待できる商機だ。A4特化型モデルで勝負する」と栗本氏。

 戦略の2本目の柱はプロフェッショナル市場をターゲットとする販売戦略だ。OKIデータにとって印刷業界は得意とする市場だ。「家庭用プリンタが普及した現在、印刷業界は高付加価値の印刷を求められている。OKIデータでは白トナー、クリアトナーに対応した機種を日本でリリースする」(栗本氏)。従来、白トナーは1000万円級の投資を必要としたが、OKIデータ製品では100万円程度の安価なモデルを提供する予定だ。透明シールに白を塗り、その上にカラーをのせる印刷などに対応でき、パッケージデザインの幅を広げる。一方でLEDプリンタの活躍可能な領域を拡大し、より安価な大判ポスターや、狭い面積のラベル印刷などへと拡大していく。OKIデータ製品は、差異化を求める印刷業界の救世主となるだろう。

 年間予算の中で保守を行う文教(学校教育)市場でもCOREFIDO2の評価は高い。「消耗品だけ継続的に予算化しておけば、メンテナンスはメーカー負担である点が支持された」(栗本氏)。


 APIのオープン化はプリンタを軸とするソリューション提案の流れをさらに加速させる。栗本氏はこの方針について、「OKIが得意分野とする金融、流通、官公庁などに対し、業種別APIを載せてソリューション提案を行う。オフィスソリューション市場でも、ISVやディストリビューター、販売店がアプリケーションをセットにして販売することが可能となる。顧客を囲い込みから解放し、不便さを排除していく」と説明する。

 機器を売るビジネスから、パートナーがランニングで利益を得るモデルへと転換することで、ユーザー、パートナー、そしてOKIデータの三方に良好な関係を構築するのである。

最新情報を得られる「OKI PRNCOM2013」

 5月22~23日、東京ドームシティ プリズムホールで11年ぶりに開催する「OKI PRNCOM(プリンコム)2013」は、OKIデータの最新製品やパートナーとの連携によるソリューションを体験できるまたとない機会だ。「従来の発表会のような一方的に伝えるだけのイベントではない。パートナーとのコラボレーションによるチャネル強化、新規顧客の拡大と既存顧客のロイヤルティー向上を目指し、フルオープンなイベントにする」(栗本氏)。

 キーワードは『ベストな効率化』。ただのコスト削減ではなく、印刷に関する、よりスマートな方法の提案や投資の最適化を目的とする製品活用を紹介する。出展は約40社。各社それぞれが強みをもつクラウドやモバイルに関するソリューション展示も予定されている。

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外部リンク

OKIデータ=http://www.okidata.co.jp/

「OKI PRNCOM 2013」=http://okiprncom.net/