Special Issue
エコ×省力化×セキュリティのDC向け統合管理ソリューション「DCCMS」
2013/05/08 19:55
過去最高の売り上げと利益を達成 キーワードは「グリーンDC」
台湾を本拠にグローバルで事業を展開し、KVMスイッチのリーディングカンパニーとして知られるATEN。その日本法人であるATENジャパンの事業が好調だ。2012年度(1~12月)は9%を超える成長を記録した。「2桁に迫る売り上げを記録し、過去最高の売り上げと利益を達成した。さらに13年度の第一四半期(1~3月)は、前年同期から20%増という最高のスタートを切ることができた」と、辻智之取締役営業本部長は手応えを語る。好調の要因は、事業の主軸である中堅・中小企業(SMB)向けKVMスイッチが着実に売り上げを伸ばしているのに加えて、新事業として取り組んでいるデータセンター(DC)向けビジネスやサイネージ事業が新たな事業の柱に育ち始めていることだ。とくに、IT分野でクラウドやビックデータの活用が盛んになるなかで、プライベートDCやiDC(インターネットデータセンター)を含むDC分野は今後も確実な伸びが見込まれる。その成長市場に向けて、ATENジャパンはラインアップやサービスの拡充を図っている。
辻取締役は「キーワードとして掲げているのは『グリーンDC』。これは『エコ』『省力化(自動化)』『セキュリティ』をテーマに、当社のもつ先進機能を組み合わせて統合的なソリューションとして提供するもの。例えば、DCのコストの7割を占める電力使用の見える化や、DC内のエネルギー管理機能をさらに充実させていく」と意欲をみせる。
シングルIPでどこからでも統合管理 あらゆる規模のDCがターゲット
展開の具体的な武器になるのが、昨年夏に提供を開始したDC統合管理ソリューション「DCCMS」だ。サーバーやPDU、KVMスイッチなどのDC内のデバイスを集約して、シングルIPでどこからでも統合管理することができるソリューションで、ユーザー企業が運営する小・中型センターからITベンダーがもつ大型センターまで、あらゆる規模のDCをターゲットにする。営業本部の栗田正人企画部長は、「クラウドのサービス利用が急拡大しているなかで、それを支えるDCのIT運用管理者の負荷が増している。機器の増加・複雑化が管理工数を増加させるだけでなく、セキュリティやエネルギーコストの問題も増大させている。これはiDCでもプライベートクラウドでも同じだ。これらの課題を解決し、少ない人数で、シンプルでセキュアなオペレーションを実現したいという管理者のニーズを受けて投入したのが『DCCMS』だ」と解説する。
これまでATENジャパンは、主力のKVMスイッチをはじめ、遠隔地からネットワーク経由で各機器を管理する「Serial Over the NET」、遠隔地から電源をオン/オフする「インテリジェントPDU」、電力消費をモニタリングする「eco PDU」など、製品のポートフォリオを拡充してきた。「DCCMS」は、これらの機器と機器を統合管理するソフトウェア「(Control Center Over the NET(CC2000)」で構成し、シリアル機器管理、サーバー管理、電源管理(エネルギー管理)を提供する。
他社製品も含めて一元管理 シンプル・セキュアに制御
「DCCMS」の最大の特徴は、シングルIPでシングルサインオンし、シングルポータルでいつでもどこからでも各機器にアクセスして運用管理できること。しかも、他社のKVMスイッチやPDUも統合管理の対象になる。異なるメーカーのブレードサーバーはもちろん、VMwareを含めた統合管理もでき、物理サーバーと仮想サーバーが混在する環境でも一元管理ができる。セキュリティでは、IP-KVMスイッチにアクセスしたサーバーの操作画面を録画するソフトウェア「ビデオセッションレコーダー」をオプションで用意。ログを記録するだけでなく、具体的な作業内容を確実に記録するので、見えにくかった操作証跡をとらえてセキュリティ向上に役立てることができる。また、サーバーの操作方法のトレーニングなどに活用できるというメリットもある。
管理画面はイベントログも統合化して表示するので、トラブルシューティングを効率化できる。エネルギー管理を担う「eco Sensor」は、ダッシュボードでデータセンターとラックごとの電力・環境のモニタリングを視覚化し、わかりやすく表示。トラブル箇所の特定が簡単・確実にできる。栗田部長は、「DCの統合管理を提供する『DCCMS』だが、個別の機能に限って導入するスモールスタートにも対応しているので、既存の環境にも簡単にアドオンできる」と語る。
また辻取締役は、「『DCCMS』はハイエンド市場向けのソリューションなので、技術力をもつ6社としっかりと手を組んで展開を進めている。近々、認定パートナー制度を刷新する予定だ。また、OEMも検討している」と語り、「将来はDC向け事業をSMB向け事業と並ぶ当社の柱に育てる」と力を込めて語った。
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