Special Issue
インターネットイニシアティブ(IIJ) IaaS市場で世界シェア獲得を目指す グローバル展開で見据えるプライベートクラウドの未来
2013/04/30 19:55
週刊BCN 2013年04月29日vol.1479掲載
選ばれていることが品質の証明「IIJ GIO」
マーケティング本部
GIOビジネス推進部 副部長
同社マーケティング本部 GIOビジネス推進部 副部長の神谷修氏は、IIJ GIOの概要を次のように説明する。
「IIJ GIOは、オンラインで申し込み、最速で即日利用可能となるIaaSの『IIJ GIOホスティングパッケージサービス』と、ベースとなるサーバやネットワーク、ストレージなどのアドオンを選択して独自環境をクラウド上に構築する『IIJ GIOコンポーネントサービス』を二本柱としている。そのほかにもエンタープライズ用途に適したストレージをクラウド上に配備する『IIJ GIOストレージサービス』などが含まれている」。
このようにIIJ GIOブランドのサービスは、幅広さと柔軟性の高さを特長としている。「顧客は自由に選べる」なかにあって「顧客に選ばれている」のである。
基幹システムをクラウドに置く時代
一般的なIaaSは手軽に使える半面、シンプル構成であるがゆえに、エンタープライズ規模のシステムで本格的に使うには不向きだと思われがちだ。たしかにそうしたIaaSを提供しているベンダーは少なくないが、IIJ GIOはそうではない。「IIJ GIOコンポーネントサービス」では、ユーザーはサーバ、ストレージ、ネットワークを自由に組み合わせて使うことができる。それは社内にオンプレミスの環境を構築するのとほぼ同等の自由度の高さだ。既存環境に限りなく近い構成をクラウド上に実現できる。
「ネットワークの構成をそのままIIJ GIO上へ移行できるので、ユーザーは自社の要件にあったものを採用することが可能。SIerも顧客の要望に合わせたシステム構成を提供できる」と神谷氏は話す。
IIJ GIOの業種別導入比率は、エンタープライズが80%。すでに業務・基幹系含めた1000近い社内システムがIIJ GIOで稼働しているのだ。「オンプレミスのシステムをIIJ GIO上へ移行するだけでなく、オンプレミスと統合して利用できるなど、“いいとこどり”の『ハイブリッドクラウド』として、高く評価されている」(神谷氏)という。
グローバルは「5極」を軸に展開
「最近は、グローバル展開を進める製造業ユーザーからの引き合いが増加している」と神谷氏は顧客の状況を説明する。ソーシャルゲームやウェブ系企業などはアーリーアダプタとしてクラウドを積極的に採用し、マーケットの拡大に貢献してきた。一方、製造業は「ITシステムの新技術の採用については腰が重い」と思われがちだが、実際には業務・基幹システムでの採用が急速に進んでいるのだ。「その背景には、製造業企業の海外進出の加速がある」と神谷氏は言う。「海外現地法人で独自のシステムを構築する調達コストや運用負荷はあまりに大きい。日系企業のビジネスのグローバル化に伴い、業務システム・基幹システムも国境をまたいだ運用へとシフトしている。そのため、現状ではプライベートクラウドをオンプレミスで構築するケースが多く見受けられる」。
IIJ自体のグローバル化も進んでいる。長らく事業拠点を置いて営業活動を展開してきたアメリカでは、IIJ GIOのサービス基盤を西海岸に新たに展開した。ヨーロッパではイギリスを中心に、主要都市に事業拠点を構えているSI企業のエクスレイヤ・グローバルを傘下に収め、展開を強化。
中国は上海と香港を拠点として市場の攻略を狙うほか、シンガポール、バンコク(タイ)にも事業拠点を設立して東南アジアの需要を掘り起こしていく構えだ。
「日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアをIIJのグローバル展開の『5極』と定め、それぞれの主要拠点の近くにIIJ GIOのサービス基盤拠点を展開していく。2013年度はIIJのロードマップで、グローバルが重要なキーになる」と神谷氏は話す。
地域特性を踏まえてIIJ GIOを広める
「あらゆる地域のSIの案件でクラウドの重要度が増している。M&Aを含めて、エリアごとのカバー率を向上させながら、ビジネスの形を整えて事業を伸ばす」。神谷氏はこのように見通しを語る。「アメリカ市場ではこれまで、エンタテインメントとソーシャル・ネットワーキング・サービスを展開している企業はリーチしやすかった。今後はエンタープライズの分野への進出を狙う」。
一方、今年1月から営業活動を開始した中国市場では、エンタープライズ分野を最重要ターゲットと定めてサービス販売を行っており、すでに導入企業も複数ある。
シンガポールを中心とする東南アジアのニーズは、主に現地へ進出している日本の製造業の顧客が多い。「昨今は東南アジア各国のシステム集約や日本の重要業務システムの災害対策としてシンガポールを活用されるため基幹システムを本格的に使用することがトレンドだ」(神谷氏)。
欧州では昨今の不況もありマネージドサービスの利用へとマーケットがシフトし始めている。導入の比較的容易なWebサイト系からクラウドの引き合いが増えているという。
このようにエリアによってマーケットの特性は異なっている。IIJ GIOでは提供する範囲やサービスメニューのスペックを拡充しつつ、顧客ニーズに最適なサービスを開発していく予定だ。
「IIJ GIOの海外展開と同時にIIJのバックボーンもロンドンに延伸することで世界一周を達成した。これを利用してインターネット接続サービス並びに各種IIJサービスを各国内で展開していく予定だ」と神谷氏は説明する。これら、IIJ GIOのロードマップなどはクラウドExpoのタイミングで発表する予定だ。
IT資産を持たない「IIJ GIO VWシリーズ」
エンタープライズのマーケットを極めて強く意識しているIIJ GIO。その核となるサービスのIIJ GIO コンポーネントサービスでは、仮想化プラットフォームの「IIJ GIO VWシリーズ」をラインアップに加えている。VWシリーズの背景について、神谷氏は次のように話す。
「企業が独自にプライベートクラウドを構築するには、初期コストがかかるだけでなく、資産を持たなければいけないなどの難点がある。アセットレス(保有資産無し)を実現するためにIIJ GIOが提供するコンセプトが『持たないプライベートクラウド』。そしてこれを形にしたのがVWシリーズだ」。
このサービスでは、必要な量のリソースを契約するだけで、ユーザーは専用のリソースプールを持つことが可能。そして仮想のシステム環境を構築し、自由に使用できる。
「VMwareを使ってオンプレミス環境を構築しているユーザーは多い。サーバリソースが必要という場合も、従来ならば調達・構築だけで2~3か月を要する。コストは高くなり、資産として縛られてしまう。VWシリーズならば、最小契約期間の1か月を満たせば、それ以降はいつでも解約できるので、資産を持たなくてよい。サービスとして必要な期間、利用できる」
VWシリーズではVMware vCenterを提供しており、管理権限はそのまま利用可能。ユーザーが慣れ親しんだオペレーション環境で利用できるので、生産性の低下などの心配は無用だ。仮想サーバのイメージをエクスポート・インポートするのも簡単。オンプレミスとIIJ GIOのリソースを統合し、共通化した運用ポリシーで使うこともできる。
IIJ GIOが提供する付加価値
神谷氏はIIJ GIOならではの利用メリットとして、大きく二つを挙げる。一つは「構築工程の短縮と配備の迅速化」。プライベートクラウド環境の構築では、プライベート回線がなければ構築作業を開始できないが、IIJ GIOならばセキュアなVPNを用意し、暗号化された通信を利用して構築作業を先行して開始することができる。もう一つは、「ソフトウェアの選定・導入作業負荷を下げる『GIOライブラリ』」だ。100社以上のISVが参加し、各社が提供するソフトウェアを直ちにダウンロード、インストールできるサービス。ソフトウェアを流通しやすくするプラットフォームとしてラインナップを拡充していく。神谷氏は、「将来的には、ISVがユーザーの利用傾向の把握を通じてビジネスの現状を可視化したい。また、VWシリーズだけでなく他のIIJ GIOサービス、あるいはユーザーのオンプレミスのシステム上でも利用できるような拡張を目指す」と構想を語る。
SIer経由の販売に大きな期待
VWシリーズをはじめとするIIJ GIOはSIerにとって強力な武器になる。「SIerからは『こういうサービスを待っていた』という声が多い。従来のクラウドではインテグレーションするうえで制約が多かったが、IIJ GIOならば既存環境に近いシステムを用意できるため、移行しても使い勝手の変化は小さい。そのためエンドユーザーの納得を得られやすくなる。SIerにとってもVWシリーズは構築の自由度が高く、インテグレーション案件での利益確保に適している。SIer独自の付加価値も載せやすいので、ぜひ積極的な採用に期待したい」と神谷氏は結んだ。
【Use Case】
グローバル企業が構築するクラウド環境
~今後のユーザーニーズに合致する「IIJ GIO」~
日本のユーザー企業は、国内のマーケットが飽和したことを受けて、コスト削減や新たな顧客を求めて海外市場にチャレンジしている。とくに製造業のアジア進出は、ここ最近、顕著だ。グローバル化を進める日本のユーザーは、海外拠点のIT環境を整備する際、コストや管理業務の効率化などを求めて、クラウドの導入を最優先で検討するケースが多い。 日本の海外法人のIT環境で現在多いのが、日本のデータセンター(DC)で稼働しているシステムを、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)経由で利用するタイプだ(図(1)のケース)。そして、最近増えてきたのが、日本では日本のDCで稼働しているクラウドを利用し、海外拠点では海外DC内のクラウドを活用するというケース(図(2)ケース)。クラウドも“現地化”が進んでいるというわけだ。また、事業継続計画(BCP)の観点から、各国で利用しているクラウドのデータを、別の国のDCでバックアップするというケースも出てきた(図(3)のケース)。
こうした場合では、世界に複数の拠点とサービス基盤を設置するIIJの強みが生きる。堅牢で柔軟な仕様のクラウドサービス「IIJ GIO」は、グローバル化を進めるユーザー企業のクラウドニーズに対して、さまざまな要望に応えられる。海外でクラウドを検討するユーザーにとって効果的なサービスだ。
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