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リコー グローバルでサービス事業を推進 新領域の事業で確固たる地位の確立を狙う

2013/03/28 19:55

週刊BCN 2013年03月25日vol.1474掲載

 リコー(近藤史朗社長)は、ビジネスの根幹であるコピー機や複合機など画像ソリューション分野のハードウェアに加え、MDS(マネージド・ドキュメント・サービス)やITサービスなどサービス事業の拡大を目指す。グローバルでのサービス事業を統括するサービス事業センターを設置し、全世界でサービスメニューの一元化、サービス品質の均一化を図る。さらに、地域ごとのカスタマーケースを検証し、全世界での展開へと繋げていく計画。画像ソリューション分野で世界的なリーディングカンパニーである同社が、サービス事業でもグローバルに攻勢を強めて確固たる地位を築く。

大転換に位置づけるサービス事業

理事
グローバル
マーケティング本部
副本部長
サービス事業センター
所長
加藤茂夫 氏
 「これはリコーにとって大転換だ」──。グローバルマーケティング本部の加藤茂夫副本部長は、同社のサービス事業の重要性をこう語る。リコーは、コピー機や複合機などハードウェアを中心とした既存のビジネスに加え、MDS(マネージド・ドキュメント・サービス)やITサービスをはじめとするサービス事業のグローバル展開を強化し、サービス会社への転換を図っている。拠点ごとに異なっていたサービスメニューを一元化することで、「世界中どこでも同じサービスレベルを約束してほしい、というニーズに応える」(加藤副本部長)計画だ。

 従来、リコーのサービス事業は、ハードウェアの保守・点検という領域が中心であった。これを、コンサルティング、インプリメンテーション、マネージメント、アウトソーシングという4つのサービス軸に分けて展開する。加藤副本部長は、「今までリコーは、プリントの性能を向上して、コストを削減することを追求してきた。これからは、プリントの分野から一歩先に進み、『画像・IT・コミュニケーション・ビジネスアプリケーション・ビジネスプロセス』の領域で、お客様のさまざまな経営課題を解決するサービスを提供していく。われわれのもっているテクノロジーやノウハウ、パートナー企業とのネットワークで、もっとお客様に提供できることがあると確信している」と強調する。

 リコーは、日本はもとより、世界約200の国と地域でビジネスを展開している。グローバルでビジネスを展開するユーザー企業にとって、世界のどの国でも均一でクオリティの高いサービスを提供してくれるリコーの存在は心強いものとなる。しかも、地域や業種、企業規模によって、ユーザー企業の求めるサービスも異なるので、リコーは過去の成功事例をもとに新しいソリューションを創造する「サービス・コンピテンシー・センター」というグローバルに跨がる組織も新たに設けている。

 「例えば、リコージャパンが手がけているITサービスは、2000億円を超える事業にまで成長している。こうしたサービスをグローバルでも推進していくために、メニューの一元化とサービス品質の底上げを図っている」と加藤副本部長は説明。加えて、「当社の強みは顧客接点力。顧客との接点を強化しながら、商品だけでは対応できない要求に対して、サービス事業で応えていきたい」との考えを示している。これまでの実績については、世界約70か国、200拠点以上でビジネスを展開しているグローバル企業がリコーの提供するMDSのすべてのメニューを採用したケースが出てきている。

中国での顧客接点力強化が課題

 国内拠点だけでなくグローバルにサービス事業を展開するリコーにとって、「現状の最も大きな課題は中国だ」と加藤副本部長はいう。「ほかの地域では、約8割のお客様が販売代理店を通さず直接当社と取引しているが、逆に中国は販売代理店を通した間接販売が8割に達している。中国でも、お客様による当社への期待値は高く、われわれのサービス体制も整ってきている。そこで、パートナー企業との関係を深めて、中国での顧客接点力を強化していく」としている。

 リコーにとってサービス事業は、新たなビジネスへのチャレンジだ。どの地域でも、サービス事業の売上高が堅調に伸びており、地域別の売上構成比が現段階で、日本が約50%、米州が約25%、欧州が約17%、アジア・パシフィックと中国を合わせて約8%という状況だ。

 現在、リコー全体の売上規模は2兆円弱。そのうち、サービス事業は4000億円程度、グローバルのサービス市場は140兆円を超える規模にまで達しており、まだまだこの分野でのオポチュニティは大きい。リコーは、サービス事業を強化するという「大転換」によって、この巨大なマーケットに食い込もうとしているのだ。「サービス事業は伸びしろが大きく、売上を伸ばして当たり前の分野。市場では、さまざまなベンダーが参入しているが、勝ち筋はみえてきている」と、加藤副本部長は自信をみせる。

 これまでは、サービス事業の体制面やインフラの整備に力を注いできたというリコー。今後は、直販の比重をさらに高めながら、ユーザー企業の声を反映するVOC(ボイス・オブ・カスタマー)をサービス向上に結びつけることに力を注いでいく。「VOCによってお客様を知ることと、お客様の声を聞いてソリューションを構築できる人材を、さらに強化していく。サービス事業は、人材と顧客理解に尽きる」と加藤副本部長。グローバルなサービス網とテクノロジーで、リコーはサービス事業という新たな領域においても世界的なリーディングカンパニーを目指す。
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外部リンク

リコー=http://www.ricoh.co.jp/