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東洋ビジネスエンジニアリング、アジアの生産拠点向け事業が拡大、今夏にはグローバル連結経営製品を発売

2013/03/28 19:55

 東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、石田壽典社長)は、ここ数年で、日本国内でトップシェアを誇る生産管理システム「MCFrame(エムシーフレーム)」と海外拠点向けERP(統合基幹業務システム)パッケージ「A.S.I.A.(エイジア)」を、中国やASEAN地域を中心に世界22か国・地域の600社以上に納入した。

タイの現地法人でインタビューに答える東洋ビジネスエンジニアリングの
羽田雅一取締役プロダクト事業本部長

タイ、中国の海外拠点での導入が大幅増加

 国内の製造業が、中国やASEANを中心に海外に生産拠点を設けるケースが増えている。中国やタイ、インドネシアのほか、今後はカンボジアやベトナムなど、ASEAN諸国へ生産工場を置く企業は確実に増える。こうした生産拠点の分散化を受け、B-EN-Gも海外販売体制の構築に向けて、現地の販売パートナーやユーザ会開催等のユーザ向け支援プログラムの整備を強化している。羽田雅一取締役プロダクト事業本部長に、来年度(2014年3月期)の海外展開について聞いた。

 B-EN-Gが海外で主に展開する製品は、生産管理・販売管理・原価管理システムを構築する「MCFrame」と、多言語・多通貨・多基準に対応し、各国の制度への親和性が高い海外拠点向けのコンパクトなグローバルERP「A.S.I.A.」の2製品だ。両製品のユーザ企業のうち、ほとんどが日系の製造業だという。特に東南アジアでの業態としては、自動車部品、電子・電気部品が最も多く、次いで製造装置・産業機械、食品、化学・薬品などと続く。

 今年度は、チャイナ・プラス・ワンといって、リスクヘッジを検討する企業が増えた。羽田取締役は、「タイやインドネシアなどへ生産拠点を分散する傾向が強まった。また昨年は、米国拠点での導入案件も多かった」と、導入企業の半数が海外拠点になっていると説明。「リーマン・ショックのあと、急速に海外生産拠点が増えている」と指摘した。

B-EN-Gの海外拠点と販売パートナーでユーザ支援体制を整備

 海外拠点での導入が増えるに従い、B-EN-Gも海外の現地法人を設立している。現在、製品導入が急速に増えている中国・上海とタイ・バンコク、シンガポールに現地法人を構えている。現地販売は85%が間接販売なので、現地をよく知る日系販売パートナーとの代理店契約を増やしている。例えば、現在、両製品の導入で最も勢いのあるタイでは、マテリアル・オートメーション・タイランド(MAT)や「A.S.I.A. GP」の販売でインテック システムズ バンコクなどが精力的に活動している。またインドネシアでは、ピーティ・インドヌサ・コンピュータ・システム(ICS)、米国でもITベンダーのキャルソフト(CalSoft)が日系製造業の生産管理などで実績を上げている。B-EN-Gは、ビジネスパートナーに「MCFrame」のソースコードを開示し、追加カスタマイズのニーズにすばやく応える体制を整えている。

 羽田取締役は「当社はユーザ企業によりよい製品・サービスを継続的に提供することを重視している。それには現地サポートの整備が不可欠だ」と話す。現在、海外拠点のユーザ企業向けには、カスタマーサポート室を置き、保守サービスの一環としてデータベースのパフォーマンス診断や各種技術相談などを提供している。さらに、「MCFrame」導入後の活用レベルや導入効果を客観的に分析・診断するサービスを開始。B-EN-Gの本社と海外拠点、そして販売パートナーが一体となって、IT担当者が不足するユーザ企業の海外拠点をサポートする体制を敷いている。また、最近、タイではユーザ会を開催し、最新技術情報や専任のシステム担当者が少ない中での効率的なシステム運用方法や今後の課題について意見交換が行われた。日本のユーザ会ではシステムに関する話題に限らず、広く企業間の情報交換の場でもあり、今後はタイでも継続的に、日本人とタイ人向けにそれぞれのセッションを設け、多面的なコミュニケーションの場としてタイでのユーザ会を開催していく予定だという。

 最近ではクラウドコンピューティングで利用できる環境のニーズが増え、「A.S.I.A.」は、昨年12月からIIJグローバルソリューションズと連携し、高品質クラウドサービス「IIJ GIO」基盤上での提供を開始している。羽田取締役は「今後は、工程管理における不良品の迅速な排除などの機能のために、工程管理などの部分でスマートデバイスとクラウドを連携させたソリューションの展開も検討中だ」と、ユーザ企業の利用に応じて提供環境を充実させる方針を語った。

 羽田取締役は、海外に拠点をもつユーザ企業の傾向を、「中国やASEANに、国をまたがって生産拠点を分散するケースが多い。例えば、タイで部品を生産し、中国で組み立てて、日本で完成品に仕上げる。このなかで、ユーザ企業は各拠点をつないだガバナンス(企業統治)を強化する動きが鮮明になっている。また、これまでは、海外拠点で異なるシステムをクライアント/サーバー(C/S)型で構築するケースが多かったが、最近では日本国内の本社で一元管理できるようにクラウドの利用が増えている」と指摘した。

3月15日に「MCFrameユーザ会 タイ」が発足。
「第1回 MCUGタイ研究会」を開いた

DIVAと協業してグローバル連結経営管理を発売へ

 日本にある本社が海外拠点のガバナンスを行う一方で、海外拠点では現地の法制度に応じたITシステムや拠点の整備が必要になる。これに対応すべく、B-EN-Gはユーザ企業や各国の事情に応じて製品を導入できるよう支援体制を整えている。例えば、タイにはタイ投資優遇制度(BOI)という外資系企業の製造業などがタイへ進出する際に税制優遇などが受けられる制度がある。この制度を利用するためには必要な業務の機能などを整える必要があるが、B-EN-Gの海外拠点や販売パートナーはこうした制度の利用への支援もできるという。

 一方、製品としては、連結会計システムのトップベンダー、DIVAと協業した製造業向けのグローバル連結経営管理システム「MCFrame XA 経営管理」を今年7月にリリースする。羽田取締役によれば、「海外拠点をもつグローバル企業が、連結ベースでの実際原価を反映した損益情報を、製品軸などの多様な切り口でリアルに把握することができるようになる」という。変動する原材料費用や為替、販売情報などが業績に及ぼす影響を予測し、期中に的確な意志決定と効果的なアクションを可能にする製品だ。

 羽田取締役は「昨年末には、製造業が集積する名古屋に中部営業所を開設した。この地区の製造業は、海外拠点の開設に意欲的。より強固なグローバルの販売パートナー体制を整えて、多くの案件獲得を目指す」と、体制の整備を急ぐ。今年度、「MCFrame」は、売上高が例年以上に成長した。来年度は、それ以上の売上増を見込む。(谷畑良胤)
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東洋ビジネスエンジニアリング=http://www.to-be.co.jp/