Special Issue
<プリンタメーカー座談会 2013>2013年は本格的な回復を目指す年になる!
2013/02/28 19:56
週刊BCN 2013年02月25日vol.1470掲載
前に申し上げたように、当社ではプリンタとPCの部隊が統合しました。これまでプリンタのビジネス系チャネルはコンシューマ系に比べて弱かったのですが、PCと一緒になって販売チャネルが拡大したのを機に、それぞれのチャネル連携による相乗効果を発揮させようと計画しています。例えば、モバイル複合機とタブレットPCの「HP ElitePad 900」との組み合わせなど、新たなソリューションも検討しています。さらに、より上位のエンタープライズ系に向けて、日本HPが強みとしているサーバーの部隊とも連携して、市場開拓を進めていきます。
石渡(キヤノンMJ) 今後、注力していこうとしているのは流通・小売市場に向けてLBPとMFPの「Satera」ブランドトータルで提案することです。もう一点は、業種・業務に特化した分野の開拓です。とくに、この分野では技術力、カスタマイズ力が不可欠ですから、SIer系のパートナー様と協業して拡販を進める仕組みを確立したいと考えています。
さらにグループ会社がもつ業務アプリケーションとの連携強化を図っていきたいと考えています。例えばERPで市場シェアをもつ「SuperStream-NX」との連携やキヤノンITSメディカルと医療分野へのアプローチ、さらには、POP広告制作システムとの連携などを進めていきます。
森(OKIデータ) 2013年の市場をあまり楽観視はしていません。消耗品ビジネスは減少すると思いますし、それをどう補っていくかが課題だと考えています。製品面では、「MICROLINE(マイクロライン)」シリーズと複合機をテコ入れします。
また、大きなキーワードでもあるクラウドとモバイルについては、市場への普及・浸透に伴ってプリンタがどのように変化するのか、注視したいと思います。クラウドやモバイルでデバイスの利用が容易になることで、従来とは異なる層のプリント需要が生まれる可能性がある一方、プリント需要の減少にもつながるリスクとも考えています。それだけに今年は、これまでになかった出力の需要をいかに創り出すかが大きなテーマです。ぜひ、そのための芽を育てる1年にしていきたいですね。
鈴村(エプソン販売) 現在の市況から考えると、今年の上期は期待ほどではなくとも、下期には復活する年になると考えています。
当社が主力製品に位置づけるビジネスインクジェットに取り組み始めて3年目になりますが、これまでは既存のビジネス向け製品に対する施策と同様の取り組みのままにしていました。今年はそれを大きく変えて、ユーザー、パートナーの方々からいただいているさまざまな要望にお応えしていくことを重要なテーマとして取り組みます。製品の機能改善はもちろんですが、パートナー様に提供する販売施策についても、かなり変化させる計画です。現在、その取り組みの真っ最中ですので、ぜひ、期待していただきたいですね。
●クラウドとモバイルがキーワード
新しいビジネスチャンスが生まれる
──製品や販売面でのキーワードはありますか?
鈴村(エプソン販売) クラウドと関連してBYOD(Bring Your Own Device)に注目しています。実際、販社向けのセミナーなどでクラウドやBYODという単語を使うと、参加者の方々の反応が一瞬で変わります。
一般企業でもBYODが進み、クラウドから自分のモバイル端末で、いつでもどこでも必要なドキュメントなどが参照できるようになると、プリント需要が減少するといわれますが、逆にオポチュニティにもなり得ると考えています。それにはモバイルデバイスの利便性を損なわずに、いかにプリンティングの障壁を取り除いて、業務に組み入れられるかがカギになると思います。そのための商品、サービスを提供していきます。
森(OKIデータ) キーワードは進取果敢です。これまで当社は複合機がウィークポイントでした。モバイル・クラウドの流れに乗るためには、複合機の強化が必要です。複合機市場は厳しい競争環境にありますが、当社のLED技術はモバイル・クラウド化の潮流に合致するものですので、顧客発掘やチャネル開拓などに、果敢にチャレンジしていきます。昨年6月に発表させていただきました、東芝テックさんと複合機の共同開発もその布石の一つです。
石渡(キヤノンMJ) キーワードはやはりクラウドです。その上で稼働するサービスと絡めて、いかにソリューションに結びつけていくかが一つのテーマです。製品面では、他社との機能的な違いはどんどんなくなっている状況です。そのため、より小さな市場に向けた個別の製品開発をすることで、ニッチな市場を新たに開拓できるのではと考えています。
松本(日本HP) 当社では、ワールドワイドで「IITO(Ink In The Office)」をキーワードに掲げています。これは一般オフィスに向けてインクをもっと販売しようというものです。そのための具体策がビジネスインクジェットであり、なかでも、モバイル製品の販売を推進します。もう一つは、クラウドプリントで、これを日本でもはやらせるための取り組みを強化していきます。
大澤(ブラザー販売) 当社にとっても、クラウドは大きなキーワードです。いかにクラウドを意識させずにプリントしてもらえるかが重要だと考えています。
製品では、昨年8月にインクジェットプリンタの新ブランド「PRIVIO(プリビオ)」を立ち上げ、パーソナルからビジネスまでのラインアップを揃えました。さらに、高速・高耐久インクジェット「HL-S7000DN」も発売しましたが、これをできるだけ多く使ってもらい、消耗品ビジネスにつなげたいと思います。
山根(リコージャパン) 同じくクラウドプリントがキーワードです。とくに、モバイル機器は社外に持ち出して使用することが前提ですから、必要となった時にどこでプリントするのかがポイントになります。そのシーンを想定して、ニーズを的確に把握することができれば、必ず新しいビジネスチャンスが生まれるものと考えています。
MFPとプリンタとを使い分け、適正に配置する提案を推進する。
そのためにも、パートナー様との連携、販売チャネルを通じた横展開を進めていきたい。
ビジネスソリューションカンパニー
オフィスデバイス企画本部
副本部長
石渡 幸治 氏
「Satera」シリーズのほか、プロジェクターやネットワークカメラ、ハンディターミナルなど、オフィス向け製品の企画を担当する。
【Strategic Model】
インクジェットの「PIXUS」、レーザーの「Satera」など、コンシューマからビジネスまでフルラインアップを展開。「Satera」は34機種をラインアップする。今年1月発売のA4モノクロレーザー「LBP6710i」は、Javaプラットホーム「MEAP ADVANCE」を標準搭載。複合機と連携できる。A4カラーの「LBP7110C」はWi-Fiに標準対応する。
(A3カラー機)
モノクロ:30枚/分
カラー:30枚/分
用紙サイズ:A3
参考価格(税別):228,000円
(A3モノクロ機)
モノクロ:37枚/分
用紙サイズ:A3
参考価格(税別):148,000円
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外部リンク
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キヤノンマーケティングジャパン=http://canon.jp/