Special Issue
上海欧計斯軟件 高付加価値のオフショア開発とBPOで成長 日系企業向け人事ソリューションを拡大
2012/12/27 19:55
週刊BCN 2012年12月24日vol.1462掲載
付加価値の高いオフショア開発とBPO
高度な人材を育成するために、上海欧計斯軟件が力を注いでいるのは、オージス総研との人材交流だ。将来のリーダーになり得る若い技術者がオージス総研で日本のノウハウを習得する。日本の技術者をグローバルで通用する人材に育てるために、オージス総研からも上海欧計斯軟件に出向しているという。このような人材交流によって、「従来ならば、中国と日本のやり取りを行うためにブリッジSEを配置しているケースが多いが、当社は、双方向の人材交流を行うので、その必要がない。中国と日本の状況を把握した人材が揃っていて、ハイレベルな開発を行うことができる」と自信をみせる。
さらには、スキルの高い人材を揃えることによって、トータルコストを削減している。中国でオフショア開発費が上がっている状況にあって、「顧客のコスト負担にならないよう、短納期を実現することで費用を抑えるようにしている」という。
2010年には、BPO事業にも着手。まずは、GIS(地図情報システム)を用いて大阪ガスのガス埋設管情報の管理を行うMAPメンテナンスBPOに取り組んだ。このBPOでは難易度の高いオペレーション・業務知識の習得に加え、高セキュリティのオフィス環境の運用を実現している。許総経理は、「すべての業務について分析を行い、可能な限り属人化を排除した最適なフローやマニュアル作成を行った。また、効率的な人材教育により高い品質維持を実現している。業務プロセスの改善により、効率化にも大きく寄与することができた」としている。そのほかにも、2011年以降は、経費精算、請求支払、入金管理などの経理業務BPOも提供している。
このように、上海欧計斯軟件は付加価値の高いオフショア開発やBPOを提供することで、25~30%増の成長率で推移している。
日系企業向け独自ソリューション
オフショア開発とBPOを事業の柱に据えて、新しい事業として提供の拡大を図ろうとしているのが独自ソリューションだ。上海欧計斯軟件は、オフショア開発で高いスキルを持つ技術者を擁していることを強みとして、およそ1年前から事業として取り組んでいる。さまざまなソリューションを開発しているが、代表的なものは勤怠管理システムや人材分析ツールだ。勤怠管理システムは、指静脈認証を活用して従業員を個々に認証するというもので、出退勤時刻を正確・簡単に記録でき、なりすましが防げるということで注目を集めている。また、正確な勤務状況をリアルタイムに把握して人事管理を効率化できることも好評を博している。
人材分析ツールは、社員など個人の特性を分析するほか、環境適合性や組織活力などを測定する。ユーザー企業にとっては、採用ミスによるムダな人件費の削減、社内でリーダー候補の選出などを実現できる。許総経理は、「このようなソリューションによって、中国で5~6社の日系企業から案件を獲得した」としている。通華科技(大連)などグループ会社経由での提供を含めると、中国で200~300社を獲得しているという。
当面は、中国の日系企業を中心にソリューションを提供していくが、最近では、日系企業が東南アジアの未開拓国に参入しようとする動きがあることから、「日系企業を支援するという意味合いで、将来的には東南アジアなど海外への進出も視野に入れている」と、許総経理は展望を語る。実際、日系企業からの問い合わせもきてはいるが、「サポートやパートナー開拓などを整備して、タイミングをみて事業の展開に踏み出す」と、許総経理は説明する。
オフショア開発から始まって、BPO事業に着手し、今では独自のソリューションを提供するまでに変貌を遂げた上海欧計斯軟件。今後も、「25~30%の成長率を維持する」と、許総経理は意気込んでいる。
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