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サイボウズ 青野社長と中原営業本部長が2013年の抱負を語る ――今年もクラウド! “エコシステム”で伸ばす

2012/12/27 19:55

週刊BCN 2013年01月07日vol.1463掲載

 サイボウズが2011年11月に発売したクラウドサービス「cybozu.com」が好調だ。毎月200~300社のペースで新規顧客を獲得し、累計ユーザー数は3000社・団体を超えた。青野慶久社長と営業本部長を務める中原裕幸執行役員は、「2013年もクラウドを前面に押し出す」と断言し、「cybozu.com」を中核に事業戦略を立てる。重視しているのは「パートナーとのアライアンス」。クラウドをパートナーとの協業で伸ばすという意気込みがある。国内グループウェア市場のトップメーカーが手がけるクラウドビジネスの進捗と、2013年の抱負を両氏に聞いた。

「cybozu.com」 3000社・団体を突破

 「cybozu.com」は、中小および大規模向けグループウェアや、ソフトウェア開発環境などをサービス化して体系立てたサイボウズのクラウドサービスだ。(1)中小規模システム向けグループウェアの「サイボウズ Office」、(2)大規模向けの「Garoon」、(3)ビジネスアプリケーションソフトの開発環境「kintone」、(4)グループメーラーの「メールワイズ」の4サービスを用意し、それに関連するオプションメニューを揃える。

 2011年11月の発売後、「サイボウズ Office」を中心に毎月200~300社のペースで新規ユーザーを獲得。合計のユーザー数は3000社・団体を超えた。青野社長がサービス開始時に想定した速度よりも「3倍速いスピードで増えている」。獲得したユーザーの約40%は、グループウェアを一度も利用したことがない中小企業で、「これまで攻め込めていなかったユーザー層を、クラウドで一気に攻略することができた」と、青野社長は確かな手応えを感じている。クラウドが伸びれば、同等機能のオンプレミス型システム向けパッケージソフトの販売が落ち込む可能性があるが、「パッケージ(ソフト)の販売は落ちていない」(青野社長)。既存のビジネスを維持しながら、「プラスαのビジネスを展開することができている」(営業本部長を務める中原裕幸執行役員)。中原裕幸執行役員は、「『cybozu.com』はグループウェアが利用されていなかった業種からとくに評価が高い」と説明。「ある美容室では、グループウェアに加えて、顧客管理システムのプラットフォームに、ソフト開発環境の『kintone』も利用してくれている」といい、ユーザーの業種が広がっていることを実感している。

 青野社長と中原執行役員は、『cybozu.com』が好調な理由を三つ挙げている。1点目は、グループウェア市場での実績とブランド力。2点目がサービスを提供しているクラウド基盤の安定性。そして、3点目が月額・年額制の料金体系としている。クラウドは、オンプレミス型システムを構築するよりも初期投資が少なく、利用を開始できるまでの期間も短い。システムの運用管理者も不要だ。そうしたメリットと、グループウェアでトップシェア(ノークリサーチ調べ「2012年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」)の実績が組み合わさった『cybozu.com』は、中小企業に広く受け入れられ、一気に広まったわけだ。

パートナーのビジネスチャンスを生む「kintone」

 クラウドは、ネットワークを通じてユーザーに直接届けることができるので、チャネルビジネスには適していないといわれるが、青野社長はこの見方を否定する。「クラウドこそパートナーとの協業、エコシステムで伸ばすビジネス」と断言する。とくに、「kintone」はパートナーのビジネスに有益だと訴える。

 「パートナーは、『kintone』を利用することで、従来の開発方法に比べて開発工数を大幅に削減することができ、より多くの開発プロジェクトを獲得することができるようになる。『kintone』でつくったアプリケーションと、他社のパッケージソフトを連携させたいというニーズも生まれており、SIerのビジネスチャンスになる」(青野社長)。中原執行役員は、「2012年はおかげさまで予想以上のユーザーを獲得できた。13年は12年と同等のスピードで新規ユーザーを獲得しながら、パートナーとの協業でクラウドを伸ばす年にする」と意気込みを示す。また、営業戦略について、地方市場での販売強化を挙げている。「『kintone』を使えば、安く簡単にITソリューションを提案することができる。首都圏に比べて中小企業が多い地方のIT市場にも適している。地方のITベンダーには、『kintone』をツールとして有効活用してもらえればありがたい」と話している。

 2013年の抱負について青野社長は、「2012年に引き続き、クラウドを前面に押し出す。国内のクラウド業界は、外資系が幅を利かせている状況で、その空気をサイボウズが変える」と強調。サイボウズはこの1年、ユーザー数を増やす活動を進めながら、クラウド事業におけるパートナーとの協業モデルを検討してきた。約3000社・団体のユーザーを獲得した実績を武器に、2013年はパートナーとのアライアンスで「cybozu.com」を飛躍させようとしている。13年もクラウドを前面に押し出した戦略で臨む姿勢を鮮明にしている。

(写真左から)中原裕幸 執行役員営業本部長、青野慶久社長
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外部リンク

サイボウズ=http://cybozu.co.jp/