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<有力ベンダーが語る新時代の姿>NTTコミュニケーションズ M2Mクラウドの可能性を訴求 緊密な連携で商機をつかむ

2012/12/06 19:55

週刊BCN 2012年12月03日vol.1459掲載

 NTTコミュニケーションズは、クラウド基盤を利用して機器同士がリアルタイムに情報を交換する「M2M(Machine to Machine)」技術を活用するソリューション展開に注力している。同社の第五営業本部営業推進部門で部門長を務める工藤潤一氏は「BCN Conference 2012」で、「ビジネスチャンス到来! M2Mクラウド」と題したセッションを開き、M2Mクラウドによる商機を訴求。メーカーやシステムインテグレータ(SIer)などがエコシステムを築き、緊密に連携しながらM2Mソリューションを実現する必要性を訴えた。

<2012年10月18日開催「BCN Conference 2012 東京」レポート>

第五営業本部営業推進部門
部門長
工藤潤一 氏
 工藤部門長は、M2Mクラウドの活用分野や市場規模、ソリューションづくりにあたってのメーカーやSIerなど各プレーヤーの役割などについて説明。M2Mクラウドの広範な適用事例を紹介しながら、NTTコミュニケーションズが展開するM2M関連の商材をアピールした。

 同氏は、「ここ数年の間のモバイルアクセスの発展によって、さまざまなデバイスをネットワークに接続し、高速で低価格の通信を行うことが可能になった。M2Mは、10年ほど前からある技術だが、クラウドやモバイルコンピューティングなどの進化によって、ここにきて、機器メーカーやインテグレータのビジネスとして注目を浴びるようになっている」と語った。

M2Mで社会を支える

 M2M技術を活用するソリューションは、各種センサやモジュールなどによって情報を把握し、ネットワークを通じて機器同士で情報を共有して分析する。情報をリアルタイムに把握・分析したことを踏まえ、交通制御や物流管理、住宅やオフィスビル内のエネルギー制御などに活用する、という構成になっている。

 工藤部門長は、M2Mプラットフォーム上で動くアプリケーションの例として、在庫・物流管理やセキュリティ管理、医療・健康管理、農業、電気自動車(EV)/交通制御、屋内電力制御などを挙げて、社会を支える広範な分野でM2Mソリューションを活用することができることを強調した。

 M2M活用の幅広い可能性を背景にして、ITベンダーは、M2M関連ビジネスの本格化に取り組んでいる。工藤部門長は、調査会社のデータに基づき、「M2Mクラウドの国内市場規模は、急成長中。2015年には3300億円、2000万回線に拡大する見込みだ」と、マーケットが急速に伸びる勢いを示唆した。

 現在、M2M関連ビジネスを推進している主なプレーヤーは、センサやモジュールを製造するメーカーや、M2Mプラットフォームの開発を手がける大手ITベンダーのほか、ネットワークサービスを提供する通信事業者、アプリケーション開発ベンダーなど。各社はM2Mのビジネスチャンスに期待を寄せ、展開を加速化している。

 工藤部門長は、「M2Mソリューションに必要なデバイスやセンサはメーカーが提供し、モバイルネットワークやクラウドプラットフォームは通信キャリアとクラウドベンダーが提携して提供する。そして、プラットフォームの上で動くアプリケーションの開発は、SIerにとってのビジネスとなる」と、M2Mをビジネスとして実現するために各プレーヤーの役割を述べた。

パートナーシップを重視

 「M2M向けアプリケーションを開発することは、SIerにとって、大きなビジネスチャンスになる。M2Mの世界では、商流がユーザー企業のRFPに対応してきた従来の手法とは異なり、チャンスをものにするためには、サービス企業とSIerはユーザー企業を巻き込んでパートナーシップを重視するエコシステムを築く必要がある」(工藤部門長)と述べた。

幅広い分野で適用

 工藤部門長は、M2Mの適用事例として、バスロケーションシステムやエネルギー監視システムなどの事例を紹介した。

 バスロケーションシステムでは、GPSを利用して公共路線バスの位置情報を取得し、クラウド上の運行管理システムにデータを送信。そして、電光表示板付きのバス停やユーザーの携帯端末に情報を提供する。また、エネルギー監視システムでは、電力マネージメント事業者と協力し、スマートメーターを備えている契約者のビル内で、電力使用状況を把握したり、電力使用量を管理することによって、効率のよいエネルギー使用を実現する。それによって、電力費用を削減し、節電に貢献することができる。

 このほか、電気自動車(EV)分野における、スマートフォンと050番号を活用した新しい充電課金方式のモデル紹介や、飲料系自動販売機向けのオンライン検量システムなどの事例も紹介し、M2Mクラウドを幅広い分野で適用することができることを訴求した。

商材をアピール

 セッションの最後に、工藤部門長は、M2Mクラウドに適した自社の商材を紹介。非常に安価に始められる月額利用上限945円からのパブリッククラウドサービス「Cloudn(クラウドエヌ)」をはじめ、Xi/FOMA網を利用したビジネス向けモバイルインターネット接続サービス「OCNモバイルM2M」や、セキュアな情報交換を実現する閉域接続サービス「Arcstar Universal OneモバイルM2M」などの特徴を説明した。

 同氏は「M2Mクラウドによってさまざまなビジネスチャンスがあるので、パートナーシップを重視し、積極的に事業展開に取り組んでいきたい」と意気込みを示した。
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外部リンク

NTTコミュニケーションズ=http://www.ntt.com/

「BCN Conference 2012」=http://biz.bcnranking.jp/sp/conference2012/