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<プリンタ特集>成長著しい「大判プリンタ市場」 CAD/GIS分野に用途が広がる

2012/11/22 15:49

週刊BCN 2012年11月19日vol.1457掲載

 LFP(Large Format Printer)とも呼ばれる大判プリンタの市場が高成長を続けている。市場をけん引するのは、印刷技術の進歩と大判プリンタの利用シーンの変化だ。なかでもCAD/GIS用途の大判プリンタは、図面の出力機会の増加や業務の効率改善といった観点からのニーズが拡大しつつある。今年9月にエプソン販売は、この領域に向けた新商品を発売し、CAD/GIS用途の分野に参入した。これにより、大判プリンタ市場の活性化が期待されている。

 リーマン・ショック直後、大判プリンタ市場は一時的に縮小傾向にあった。しかし、2009年度以降、インクジェットプリンタを中心に堅調な拡大を続けている。矢野経済研究所の調べでは、2011年度の世界出荷台数は、前年度比102.4%の27万5000台となる見通しだ。また、エプソン販売によると、日本国内での商用大判プリンタの販売台数は、GA(グラフィックアーツ)市場が1万4000台、CAD市場が1万6000台、サイン市場が2000台と推定されている。これら国内市場も、ここ数年成長傾向にあるという。

 商用の大判プリンタは、用途によって大きく三つの市場に分類される。写真やグラフィック、販促用ポスターやPOP印刷などで利用されるGA市場、建築や土木、機械分野などで使用される図面を印刷するCADやGIS(地理情報システム)用途のCAD/GIS市場、屋外サインやディスプレイ、広告などの印刷するサイネージ市場の三つだ。

 従来はプロッターから派生したCAD用途が、大判プリンタの主要分野だった。しかし、高精細のインクジェット方式が普及したことで、GAの分野でも、大判プリンタの利用が拡大中だ。

 また、紫外線硬化型インクを使い高精度・高彩度で出力できるUVプリントや3次元印刷など新しい印刷技術の登場で、大判プリンタ用途の多様化、高品質化が進んでいる。

 利用シーンが拡大するにつれて、大判プリンタへのニーズも多様化している。コストパフォーマンスや操作性に加えて、正確な色再現性や色管理、ファイルの高速出力が、GA市場向けプリンタに限らず求められている。

 なかでもCADやGIS用途の分野では、出力センターでの集中出力から、建築や製造の現場での分散出力にニーズが変化している。また、スピード化やコストを抑えるために、従来は外部に委託していた大判印刷を内製化するという需要も着実な広がりをみせている。こうした限られたオフィス空間での使用には、コンパクト化、省スペース化されたプリンタが不可欠だ。

 CADでは図面出力のために、線画の精度が最も要求される。細線の忠実な再現や、斜め線・曲線の滑らかな表現、文字つぶれのない出力といった高精細印刷の実現や、さらに建築図面は屋外で利用されることが多く、耐水性インクのニーズも高い。前述の矢野経済研究所の調べでは、UVインク対応プリンタの2011年度の販売台数は、2007年度比で2.08倍と高成長となる見込みだ。

 こうしたCAD/GIS市場の利用シーンの変化、需要の多様化を背景に、買い替え需要も含め、CAD/GIS市場での大判プリンタの市場はさらに増加すると見込まれている。キヤノンや日本ヒューレット・パッカード、グラフテック、武藤工業といった大判プリンタの主要メーカーに加え、GA市場で7割近いシェアを誇るエプソン販売が今年9月に本格参入し、CAD/GIS分野はさらなる市場の盛り上がりが期待される。

 利用者のニーズを把握して落とし込んだ製品かどうかが、大判プリンタ選びのポイントになっていくだろう。


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