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<Windows Server 2012 特集>アイ・オー・データ機器 管理者不在の企業に手軽なストレージを提供 NASに「Windows Storage Server 2012」を搭載

2012/11/20 19:55

週刊BCN 2012年11月26日vol.1458掲載

 アイ・オー・データ機器は、「Windows Storage Server 2012」を搭載した法人向けNAS「LAN DISK Z」の発売を発表し、12月に出荷を開始する。高速通信と耐障害性の向上、ディスク活用の効率化などWindows Storage Server 2012の先進機能を生かして、同社独自のサポート・サービスを提供する。これにより、専任のシステム管理者を配置していない中堅・中小企業をメインターゲットに据えて拡販する。

Windowsサーバーのメリットは大きい

宇津原武
事業戦略部
コーポレート製品戦略課
課長
 アイ・オー・データ機器がマイクロソフトとサーバーOSでパートナーシップを組んだのは、「Windows Storage Server 2003 R2」の時からだ。「Windows Storage Server 2008」を搭載した製品を他社に先駆けて発売した実績ももっている。クライアントOSや組み込み用OSの「Windows Embedded Standard 7」を搭載した製品も販売しており、「OSのラインアップごとに、用途に合わせた最適な製品を提供している」と、事業戦略部コーポレート製品戦略課の宇津原武課長は幅広い製品ラインアップが同社の強みであることを訴える。

 アイ・オー・データ機器が販売を開始する「Windows Storage Server 2012」をベースとしたNASは、Standard Editionを搭載した1Uラックマウントモデルの「HDL-Z4WLCRシリーズ」と、Workgroup Editionを搭載した2ドライブモデル「HDL-Z2WMシリーズ」の2種類となる。

 「Z4WLCR」は、(1)二つのNIC(LANポート)を一つのポートとして認識して利用する「NICチーミング」での高速通信と耐障害性の向上、(2)重複データの削除によるディスク活用の効率化、(3)複数の物理ドライブをまとめて一つの仮想ドライブとして統合管理する「記憶域プール」でのストレージ仮想化、という三つのポイントが特徴。「ファイルサーバーとして使用されるケースと、バックアップ用に使われるケースの2パターンを想定している」と、宇津原課長は用途を説明する。同社は、これまでWindows Storage Server 2008を搭載したNAS製品を提供してきたが、「とくに従業員50人未満の小規模事業所や、各部門やセクション単位で、安価に導入できるファイルサーバーとしてWindows Storage Serverを利用している企業が多い」(宇津原課長)とユーザー企業の実態を認識している。

 アイ・オー・データ機器ではLinuxベースのNASもラインアップしているが、「使い勝手や汎用性の面で、Windows Storage Serverを選択する企業が多い。Linuxベースの場合、アクセス権の設定が引き継げないなど管理面での課題があり、会社のプラットフォームポリシーとしてクライアントもサーバーもWindowsベースで運用するメリットは大きい」と、宇津原氏は指摘しており、Windows Storage Server 2012に期待を込める。

ラックマウントモデルのNAS「HDL-Z4WLCR」

充実したサポート体制で拡販

 また、アイ・オー・データ機器は、専任のシステム管理者がいないユーザー企業ができるだけ手間をかけずにストレージを利用できるように、サポート体制を整えている。その一つが、NAS向けクラウドサービスの「NarSuS(ナーサス)」である。このサービスはNASのステータス情報をデータセンターでログ管理することで、NASの稼働状態をクラウド上で把握してハードウェアの異常やトラブルなどを事前に対処するというものだ。現在は、LinuxベースのNAS製品を対象としているが、Windows Server向け「NarSuS」も12月末よりWindows Storage Server 2008 R2搭載製品から順次サービス提供を開始する予定だ。

 また、宇津原課長は、「当社がターゲットとしている従業員50人未満の企業は、BCP対策にそれほど大きなコストをかけることが難しい。こうした企業に対して、できるだけコストを抑えてシステムのダウンタイムを短縮する管理サポートを提供したいと考えている」とアピールする。中堅・中小企業を開拓するために、販売店への支援も強化していく。販売店向け専用サイト「アイオー・パートナー・サービス」で提供している提案資料のダウンロードや検証機材の貸出、専用の問い合わせ窓口などを、Windows Storage Server 2012搭載製品にも適用する。宇津原課長は、「スペックで差異化を図るのが難しいNASだが、運用や販売面でのサポート体制の拡充によって当社ならではのメリットを提供することができる」とアピールしており、現段階のサポート体制をさらに強化することによって、Windows Storage Server 2012の販売を拡大していく。

 まずは、従業員50人未満の企業をメインターゲットに据えるが、ラックマウント型NASの販売や、ストレージ仮想化ソフト「VVAULT」の組み合わせ提案によって、今後は大企業にもアプローチをかける。NAS事業を拡大して、全体の成長につなげようとしている。

2ドライブモデル HDL-Z2WM

(写真/津島隆雄)
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外部リンク

アイ・オー・データ機器=http://www.iodata.jp/