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<Windows Server 2012 特集>日本IBM 10年先のニーズを満たす次世代プラットフォーム IBM Flex Systemと新OSを融合した新ソリューション
2012/11/19 19:55
週刊BCN 2012年11月26日vol.1458掲載
仮想化を前提に開発したプラットフォーム
エバンジェリスト
システムx事業部の柴田直樹・システムズ&テクノロジー・エバンジェリストは、「10年先のユーザー企業の要望にも応えられるように基本設計になっている」と自信を示す。柴田氏は、とくにネットワーク速度のレイテンシー(遅延)と性能は、仮想化が進めば進むほど、大きな問題になるとみる。「仮想化を前提にしていないシステムで、仮想化基盤が大規模化すれば、必ずネットワークのレイテンシーがボトルネックになる」(柴田氏)というわけだ。
仮想化技術・機能の「Hyper-V」が進化した「Windows Server 2012」が登場したことで、システムの仮想化に拍車がかかり、こうした問題がよりクローズアップされるようになると柴田氏は予測する。「IBM Flex Systemは、次世代のインターコネクト設計でレイテンシーが発生しないように工夫している。ハードウェアも、システムの障害を未然に防ぐPFA(事前障害予知機能)により、ハードウェアの故障を事前に把握し、安全に仮想マシンをライブマイグレーションにより別の物理サーバーに移動できる猶予を作れる構造だ。この点だけをみても、IBM Flex Systemの価値が高いことを理解していただけるはず。他社との大きな差異化ポイントになり、拡販に弾みがつく」と期待している。
仮想環境を容易に構築
日本IBMが用意しているのは、ハードウェアやソフトウェアだけではない。Windows Server 2012とマイクロソフトの他の製品を組み合わせたパッケージソリューションを、ユーザー企業に向けて用意している。それが、「IBM Hyper-V Flex Cloud」だ。IBM Hyper-V Flex Cloudは、仮想環境をスムーズに構築し、簡単に運用管理できる仮想化ソリューションで、IBM Flex Systemと「Windows Server 2012 Datacenter Edition IBM版」、マイクロソフトのシステム運用管理ソフト「System Center 2012」「System Center 2012」にハードウェアの監視機能を統合する「IBM Upward Integration Module」を組み合わせている。
Windows Server 2012のライセンスは、通常はハードとは別で購入する必要があるが、IBM Flex Systemと合わせて一括購入することができるOEM版(Windows Server 2012 Datacenter Edition IBM版)を提供する。サポートも日本IBMが行い、ユーザーの手間を省く。日本IBMは、これらのパッケージ製品を事前検証済み構成として販売する。迅速に仮想環境を構築したいと考えているユーザー企業にとって、価値は大きい。
日本IBMは、このソリューションパッケージを企画・開発するだけではなく、ユーザー企業に提供するためのパートナーを2社選定して協業し、強固な販売体制も敷いた。日本マイクロソフト製品を活用したソリューションの販売で実績が多いCSK Win テクノロジと日本ビジネスシステムズ(JBS)と、「IBM Hyper-V Flex Cloud」の販売で協業していく。
柴田氏は、「単純にソリューションパッケージを用意するだけでは、迅速にユーザーへ提供することはできない。だから、今回はマイクロソフトのテクノロジーに精通しているSIerとの協業が必要だった。今回の2社は、私が追い求めていた理想のパートナー」と話し、2社との協業体制を構築できたことに自信を示している。
独自技術とコンセプトをもつIT基盤製品と新OSを組み合わせたソリューションパッケージをつくり、それを売るチャネル体制も築いた日本IBM。競合のサーバーメーカーも新OSを使ったソリューションの提供に力を入れているが、他社とは一線を画すプランを用意している。
(写真/津島隆雄)
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