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<Windows Server 2012 特集>日本ヒューレット・パッカード VDIに最適な新OSを有効活用 仮想デスクトップソリューションを加速

2012/10/29 19:55

週刊BCN 2012年11月26日vol.1458掲載

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、「Microsoft Windows Server 2012」を活用したソリューションを複数にわたって企画・考案しているが、とくに「バーチャル・デスクトップ・インフラストラクチャ(VDI)」に着目している。デスクトップ環境を仮想化して運用コストを削減するニーズがユーザー企業の間で高まっているとみて、新OSを活用したソリューションでも、VDIに照準を当てている。

VDIに最適なプラットフォーム

日本HPのプリセールス統括本部サーバー技術本部の小川大地・ITスペシャリスト。優秀な仮想化技術者に贈られる「Microsoft MVP for Virtualization」を3年連続受賞している
 HPは、「Windows Server 2012」のベータ版やRC(リリース候補)版がリリースされた時点から、詳細な部分で評価・検証を繰り返している。その結果について、日本HPのプリセールス統括本部の小川大地・ITスペシャリストは、「クオリティが非常に高いOSだ。早い段階で仕様が固まり、日本語化も早かったので、我々もドライバなどのツールも迅速に提供することができた」と高く評価している。HPは、検証結果などの最新情報をホワイトペーパーなどで公開。「安心して導入してもらえるように、検証済みの推奨構成の情報をなるべく早く提供するようにしている」(小川氏)。

 「Windows Server 2012」は、約180に及ぶ新機能を追加するなど、前版の「Windows Server 2008」を超えるバージョンアップを実現した。数多い強化ポイントのうち、小川氏は「仮想化とストレージ、ネットワークの機能強化に注目している」という。「(新OSの仮想化、ネットワークとストレージ関連技術は)これまで専門ベンダーしかもっていなかったもの。ストレージ分野のデータの重複排除機能は、その典型的な例だ。高価な専用装置に引けを取らない」と表現する。日本HPは、ユーザー企業・団体に提供する新OSを活用した具体的なソリューションとして、VDIに力を入れる方針だ。「Windows Server 2012」は、帯域を抑えてデータを転送するプロトコル「RDP 8.0」を採用しているほか、高精細な動画を滑らかに映し出す最新の「RemoteFX」に対応する。VDIを構築するための複数の技術・機能を実装しており、日本HPはこの点に着眼したわけだ。

米本社同士の強固なアライアンス

 小川氏は、「従来のVDIは、利用可能なアプリケーションソフトが限定的だった。今回のバージョンアップで、あらゆるアプリケーションが動作するようになり、懸念であったユーザーのプロファイル管理機能も向上した。ハードウェアの機能を最大限引き出すことができるように、細かな部分で性能を向上させているのもうれしい点だ。VDIソリューションの販売を加速させることができる」と絶賛する。

 VDIソリューションにおける新OSを搭載したHPのx86サーバー「HP ProLiant サーバー」の利点について、「『RemoteFX』を利用するためには、サーバーにグラフィックカードを搭載する必要がある。カードは『PCI Express』スロットに挿し込むが、スロットからは80W前後しか電力を供給できないためグラフィックカードを動作させることはできない。HP ProLiantでは、多くの製品でカードに直結する補助電源を用意しているので、その心配がない。設計段階からグラフィック性能の強化に努めていることの現れ」と、小川氏は強調する。また、ブレードサーバーでは、エヌビディアと協業して、HPのブレード専用グラフィックカードを5年ほど前から設計・製造しており、このことも強みだという。

 「Windows Server 2012のVDI機能を正しく利用するには、すぐれたグラフィックカードを搭載しているサーバーを選択することが重要。HPは、ブレード型でもラックマウント型でも、さまざまな機種に対応している」。またRemoteFXの高品質な描画を転送するためのネットワークについても、「最新の HP ProLiant Gen8サーバーでは、設置環境に合わせて内蔵ポートを1Gbpsや10Gbps、FCoEやInfiniBandなどから自由に選択できる『Flexible LOM』を採用している」(小川氏)。VDIソリューションでの利点について説明する小川氏だが、「マイクロソフトのサーバーOSと『HP ProLiant サーバー』はそもそも相性がいい」という。「HPとマイクロソフトのアライアンスは非常に強固だ。マイクロソフトは、新OSを『HP ProLiant サーバー』で構成したシステムで開発している。つまり、『Windows Server 2012』が、HPのサーバーに合わせて調整されているということ。『HP ProLiantサーバー』は、『Windows Server』と最も相性がいいOSということができる」と語る。また、HPでは、RAIDコントローラーを自社開発しており、安定性の高さについて、とくに強い自信をもっている。「CPUは、サーバーメーカー各社で共通だが、ストレージのI/Oの性能で差が出る」(小川氏)。これからの企業のワークスタイルの改善と業務効率向上への効果で期待されるVDIのソリューションを組み立てる際に、品質の高さは、大きく貢献する」と、小川氏は続ける。

 米本社間の強固なアライアンスをベースとして開発され、新OSに対して緻密な評価・検証作業を行った「HP ProLiant サーバー」。まずは、ニーズが高まっているVDIソリューションに最適なインフラとして、徹底攻勢をかける。

8月にリリースした「HP ProLiant WS460c Gen8」
右上にある拡張スロットに「NVIDIA Quadro 3000」などの本格的なGPUを内蔵できる

(写真/横関一浩)
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外部リンク

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/