ネットワンパートナーズ
国内初　シスコのCTOディストリビュータに認定
納期の大幅短縮でCisco UCSサーバのシェア拡大を目指す

　ネットワンシステムズの子会社で、システムインテグレータ（SIer）の事業サポートをビジネスとするネットワンパートナーズは、国内初となる米シスコシステムズ製サーバ「Cisco UCSサーバ」の注文仕様生産（Configure To Order＝CTO）販売を10月1日に開始した。これによりパートナーに対する製品の納期を従来の数週間から1週間へと大幅に短縮。とくに重点市場と位置づけるデータセンター市場に向けて、Cisco UCSサーバの販売を加速させる。取締役 常務執行役員の川口貴久氏にその狙いと戦略を聞いた。

●納期を大幅に短縮
シスコとの協力体制を強化

　CTO販売の対象となるのは「Cisco UCS Bシリーズ ブレードサーバ」と「Cisco UCS Cシリーズ ラックマウントサーバ」でいずれも仮想化、クラウド環境に最適に設計されたIAサーバだ。

　ネットワンパートナーズは、Cisco UCSサーバに搭載するCPU、メモリ、ディスク、ネットワークアダプタなどの主要部品を在庫として保有し、組み込みと出荷検査を日本国内にあるネットワングループの施設で実施してパートナー企業に提供する。これにより、従来の海外工場で生産・組み込み・出荷されていた製品では数週間を要していた納期を、約1週間に大幅短縮できるとしている。

　ネットワンパートナーズは、2009年にシスコシステムズと世界初となる「ソリューション・ディストリビュータ」としての販売代理店契約を締結し、シスコ製品をネットワングループのパートナー企業やエンドユーザー企業に提供してきた。Cisco UCSサーバについても、販売に必要なディストリビュータ資格「Cisco UCS-ATD」を国内で最初に取得するなど、密接な協力体制を築いてきた。

　今回、Cisco UCSのCTOを実施するために、BシリーズとCシリーズについて「Cisco UCS Authorized Configurator」をアジア太平洋地域で初めて取得。

　さらに製品の入出荷検査を行う品質管理センター内に、Cisco UCS専用の部材倉庫や組み立てラインについて、シスコ社の製造委託業者が使用するものと同等の出荷検査設備を新設するとともに、専門の技術者も育成した。

　川口貴久取締役は「Cisco UCSのCTOが可能なディストリビュータは世界に4社しかありませんが、そのうちの1社に人員を派遣して調査・研修を重ねるとともに、UCSサーバの生産を手がける技術者の育成を進めて、万全の態勢を構築しました」とアピールする。


●「デリバリー用倉庫」として
パートナーに活用して欲しい

　仮想化、クラウドの流れが急速に進むなか、データセンターなどではユーザーからのリソースの追加要求が頻繁に発生する。ベンダーには、こうしたニーズに、いかに素早く対応できるかが求められる。ビジネスチャンスを逃さないためにも、今や納期短縮は必須の課題であり、競合他社に対する大きな差異化ポイントともなる。

　ネットワンパートナーズは、納期短縮のニーズに応えることで、これまでの主要パートナーであるシスコの2次代理店に加えて、今後は1次代理店に対してもCisco UCSサーバをタイムリーに提供し、販路拡大を図っていく方針だ。現在、1週間としている納期も3日程度まで、さらなる短縮を目指していく。

　国内のIAサーバの市場規模は約2000億円で、現状は、このうち半分を国内メーカーの製品が占め、残り半分を外資系メーカーの製品が占めている。このような状況にあって、Cisco UCSサーバは2009年の発売と後発でありながら、IAブレードサーバでは、すでに北米で2位、ワールドワイドで3位のシェアを獲得するなど、大幅な成長を遂げている。その意味からも、国内市場におけるCisco UCSサーバの潜在的な伸びしろは大きいとみられている。

　川口取締役は、「これまで、Cisco UCSサーバは難しいというイメージをもたれることもありました。当社ではそうしたイメージを払拭するために啓蒙活動も続けてきましたが、今回、当社が国内でのCTO販売に対応したことで、パートナー様がお客様からの要望に即応できる供給体制が整いました。これを機にパートナー様とともにCisco UCSサーバのさらなるシェア拡大を目指したい。そのためにもパートナー様、各SIerの方々には当社をCisco UCSサーバのデリバリー用倉庫として活用してもらえたらと思います。ちょうど弊社では、9月からCisco UCSサーバをより安価に提供するキャンペーンを期間限定で実施中ですので、この機会をぜひ、フルに活用していただきたいですね」と期待を寄せる。

（写真／横関一浩）