Special Issue

クララオンライン アジアでネットサービスを支援 独自性強い中国への対応力を強化

2012/09/27 19:55

週刊BCN 2012年09月24日vol.1449掲載

 クララオンラインは、インターネットサービスプラットフォームカンパニーとしてアジア成長市場への進出を加速させている。とりわけアジア最大市場の中国では、同市場のさまざまな特色を踏まえたうえで、ユーザー企業に専門的で高度なナビゲーションサービスを提供する「中国インターネットコンサルティングサービス」を今年から本格的に立ち上げた。クララオンラインはネット通販やオンラインゲーム、各種アプリケーションのプラットフォームといった領域で実績が多いということもあり、「中国インターネットコンサルティングサービス」においても、結果的にこうした分野での引き合いが急増している。

強み生かした支援を展開

家本賢太郎
社長
 この背景には、ユーザー企業の多くがビジネスの中国展開でさまざまな課題を抱えていることが挙げられる。クララオンラインは国内外のサーバーホスティング事業で伸びてきたこともあって、「グローバル市場においても自らの強みを生かす」(家本社長)取り組みに力を入れる。中国やASEANといったアジア成長市場には、多くの日系ITベンダーが進出しており、ユーザー企業の基幹業務システムの構築・運用支援を手がけるケースは多い。だが、ユーザー企業のビジネス全体に目を向け、中国市場での成功を目的とした総合的なナビゲーションサービスを手がけるベンダーは意外に少ないのだ。

 とりわけ中国市場はインターネットの物理的な構造や各種規制、ネット市場の独自の発展といった特色が多くみられ、中国市場に精通した関係者の間では“中国のインターネット環境は世界で最も巨大なイントラネット”とたとえられるほど。中国市場でインターネットビジネスを成功に結びつける最大のポイントは「地場市場に密着したコンテンツやソフト、サービスを地場のインターネット事情を理解したうえで開発すること」だと、家本社長はアドバイスする。

新たなビジネスの柱に成長

 クララオンラインでは、中国市場を知るための手法の1つとして、中国の大手IT専門調査会社の易観国際と日本での独占的な総代理店契約を2011年に締結。中国のインターネット市場は独自の発展を遂げており「日本での常識はほぼ通用しない」ことから、地場調査会社との連携を通じて、より的確なナビゲーションサービスの提供に努めている。易観国際との提携に先立つ2010年には台湾でホスティングサービスなどを手がける有力ベンダー、WIS Internet(匯智資訊)との資本業務提携をスタートさせるなど、地場有力ベンダーとの業務提携も積極的に行っている。

 クララオンラインのグローバルビジネスは、足かけ7年ほどになる。直近の海外拠点の展開では北京と台北、シンガポールに現地法人を置き、データセンター(DC)拠点は、提携先も含めて北京と上海、台北、シンガポール、クアラルンプール(マレーシア)の5か所で運営。家本社長は「当社がこの7年間、試行錯誤を繰り返しながら蓄積してきたアジアのインターネットサービスに関するノウハウを、コンサルティングを通じて提供し、ユーザー企業の成功に結びつけたい」と意気込む。クララオンラインでは、「ネットビジネスにおけるアジアNo.1のグローバルナビゲーター」(家本社長)を自負。これを実現することにより、海外での競争優位性をより高めていく戦略を打ち出している。

 ユーザー企業がアジア成長市場に進出する意欲の高さと相まって、「直近の商談の約半数は、何らかのかたちで海外、とくにアジア成長市場と関連している」(家本社長)といい、クララオンライングループ全体の海外関連の売上高はここ3年で2倍に増えた。中国インターネットコンサルティングサービスをはじめとするグローバルナビゲーターとしてのビジネスは、既存のITインフラサービス事業と並ぶ同社のビジネスの柱に育ちつつある。

  • 1

関連記事

クララオンライン 代表取締役社長 家本賢太郎

世界大手クラウドベンダーの間隙を突け 国内ホスティングやISP、じわりグローバル化

外部リンク

クララオンライン=http://www.clara.co.jp/