Special Issue
<HAクラスタ座談会>拡大続くHAクラスタ市場 Linuxの成長が市場拡大に貢献
2012/08/02 19:56
週刊BCN 2012年07月30日vol.1442掲載
NEC
船田泰伸 氏
第一ITソフトウェア事業部 マネージャー
(CLUSTERPRO X)
サイオステクノロジー
永田雅也 氏
事業継続ビジネス統括補佐
シマンテック
星野隆義 氏
セールスエンジニアリング本部 ストレージ&クラスター製品担当 主幹技師
司会・進行/佐相彰彦 写真/横関一浩
Linuxの成長に伴いHAクラスタ市場も拡大
──まずは、HAクラスタ市場の現状についてうかがいますが、以前と比べて市場に変化はみられますか。船田(NEC) ひと昔前とは様変わりしました。大昔はメインフレームからUNIXへのダウンサイジングに関する案件が中心だったのが、2000年を越えた頃からLinux市場の成長で、さまざまなお客様の案件が出てきています。市場全体のすそ野が拡大しており、中堅・中小企業の案件もかなり増加しています。
星野(シマンテック) Linux向けHAクラスタの導入は増えています。一方で、UNIX向けの導入は減少しています。また、事業継続計画(BCP)の一環で大企業が従来のHAクラスタの強化を図るという動きもあります。つまり、遠隔地にバックアップサイトを用意して、災害対策用HAクラスタ構成にするケースです。この動きは、東日本大震災を境に増えています。
永田(サイオス) 船田さん、星野さんのお二人がおっしゃるように、Linuxでミッションクリティカルなシステムを構築する案件が増加したことで、さまざまなニーズが出てきています。ではなぜ、Linuxでミッションクリティカルなシステムの構築が増加しているのかといえば、IAサーバーのパフォーマンスが向上し、今までUNIX上で稼働していたシステムがIAサーバー+Linuxでもそのシステム要件を十分に満たせるようになったことが大きいですね。実際、金融・製造といった業種でもLinuxでのシステム構築が目立っており、わずかな時間でも止めることができないシステムが増え、高いサービスレベルが求められるようになっています。また、仮想化環境における可用性の向上が、以前に比べて重要性を増しています。
船田(NEC) 企業規模に関係なく、それがお客様から預かったサービスを稼働させているシステムであれば、止めることができない。つまり、HAの要件が求められているのです。企業規模ではなく、今はそれぞれのシステムで行っている内容が重要であり、お客様と接点のあるシステムは高い可用性を担保するのがあたりまえになってきているのです。
星野(シマンテック) 中小企業でも自社のウェブサイトを運用し、ECなどサイトを通じて取引することは決して珍しくありません。だからこそ、サイトが簡単に落ちたりすれば、ユーザーの信頼を失い、ビジネス機会を大きく損ねてしまいます。そこでHAの要件が求められるわけです。
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販売店様・パートナー様にとってこれが絶対という販売方法はありません。だからこそ、セミナーなどを通じて、HAクラスタをより詳しく知っていただき、扱いに慣れてもらうことが大切だと考えます。 船田氏(NEC) |
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