Special Issue
SMB向けソリューションの有力商材「AZBOX Hyper-V モデル」、仮想化を意識させない仮想環境を提供
2012/06/26 19:55
FJMは、「AZBOX」を進化させるために、仮想化技術「Hyper-V」と組み合わせた「AZBOX Hyper-V モデル」を日本マイクロソフト(樋口泰行社長)と共同企画。仮想環境を容易に構築することができ、需要が高まるSMBの仮想化ニーズに応える。そのメリットについて、FJMの菊地徹部長と、日本マイクロソフトの岡本剛和シニアプロダクトマネージャーに聞いた。
ハードとソフト、設定作業をセットにしたアプライアンス型ITソリューション
──「AZBOX」を発売してから約1年半が経ち、400システムを超える販売実績があると聞いています。改めて、「AZBOX」がユーザーに与えるメリットを教えてください。菊地(FJM) 「AZBOX」は、特定のITソリューションに適したハードとソフトを選定して組み合わせ、利用するために必要な設定を事前に行ったアプライアンス(専用機器)型のオールインワンソリューションです。「サーバー最適化」「情報共有・活用」といったかたちで、ソリューションごとに複数のラインアップがあり、現在50種類ほどのメニューを用意しています。
メリットは複数あります。まず、ハードとソフトが正常に動作するための事前検証を済ませているので、安心して利用いただけること。通常はシステム構築が必要な部分をわれわれが行って提供するので、導入期間と費用を削減することができます。
──販売するITベンダー(パートナー)のメリットは何ですか。
菊地 「AZBOX」のメインターゲットは、情報システムの専任者がいないことが多いSMBです。SMBのユーザーは、大手よりも導入費用・期間に対する要望が厳しい。「安く・早く」導入したいと考えています。こうしたニーズに応える商品として、「AZBOX」は最適です。また、ハードとソフト、そして設置作業を一体化していますので、受注してから稼働させるまでの手間が少ない。つまり、手離れがいい商材であることもポイントです。
SMBの仮想化への関心が高まる、主な目的はサーバーの統合と延命
──今回、日本マイクロソフトと協業して、「Hyper-V」を活用した「AZBOX Hyper-V モデル」という新メニューを発売しました。どのような狙いがあるのですか。菊地 システムの仮想化は、大企業だけでなく、SMBからも要望が多いITソリューションです。とくに最近は問い合わせ件数が急増しており、拡販期に入ったとみています。ただ、仮想化するためには、仮想化ソフトの知識が必要ですし、運用では物理サーバーとは違ったスキルが不可欠になります。「導入意欲はあるけれど、簡単に導入・運用できるソリューションがない」と、SMBユーザーは思っているはずです。こうした層に向けて企画したのが「AZBOX Hyper-V モデル」で、コンセプトは「仮想化していることを意識させない仮想環境」を提供することです。
──日本マイクロソフトの岡本さんは、SMBの仮想化に対するニーズをどのように捉えていますか。
岡本(日本マイクロソフト) 菊地さんと同感です。多くのSMBが、今、システムの仮想化を真剣に検討していると感じています。先行した大規模なユーザー企業の事例を見聞きし、「当社にも取り入れたい」と本気で考え始めています。複数のサーバーを集約・統合して、運用業務時間とコストを減らしたいという要望は、大企業と同じです。
日本マイクロソフトが2011年に行った調査によれば、従業員1000人以下のSMBが所有するサーバー数は平均7.4台。あるIT調査会社のデータをみると、SMBが仮想化したサーバーは50%に満たない。この結果をみると、SMBに向けた仮想化ソリューションは、これから伸びるといえるでしょう。
──「Hyper-V」は、大手から中小企業まで、企業規模を問わず導入されています。システムを仮想化する際、SMBならではの動機というのは何なのでしょう。
岡本 SMBは、システムを「延命」するために仮想化を検討するケースが多いですね。「アプリケーションソフトと、それでつくったデータは継続して利用したいけれど、ハードウェアは新しいものに移行したい」という要望です。
仮想システムへのアプリを容易に追加することができる「VHD」
──SMBの仮想化ニーズに応えるために共同企画したのが、「AZBOX Hyper-V モデル」ということですね。そのメリットを教えてください。菊地 先ほどお話ししたように、「仮想化していることを意識させない仮想環境」がコンセプトですので、仮想環境の構築と、その上で動作するアプリケーションの導入・追加を非常に簡単に行うことができるのがメリットです。
「Hyper-V」でハードウェアを仮想化し、その上で動作する仮想OSとアプリケーションを事前にセットしたかたちで提供します。初期導入の際の手間を軽減し、時間を短縮することができます。そして、仮想OSとアプリケーションを追加したいときにも、「AZBOX Hyper-V モデル」は強みを発揮します。
仮想化されたシステムにアプリケーションを追加する一般的な方法は、仮想化ソフトを再設定し、新たに追加する仮想OSと利用するアプリケーションをインストールしますが、これをいちいち行うのは結構な手間になります。
しかし「AZBOX Hyper-V モデル」では、「VHD(Virtual Hard Disk)」という仮想のハードディスクイメージファイルを「AZBOX」にインポートするだけです。FJMが、「AZBOX Hyper-V構成済みアプリケーション」という名称で、ソリューションごとのVHDを用意していますから、ユーザーは欲しいVHDを導入するだけで済みます。「Hyper-V」を選んだのは、このVHDの仕組みを提供できるからです。現時点で、VHD形式での導入に対応した仮想化技術は「Hyper-V」しかありませんので。
* [AZBOX Hyper-V構成済みアプリケーション](VHD)は、富士通製サーバ[PRIMERGY Hyper-V設定モデル]上で動作させることが必要です。
──「AZBOX Hyper-V構成済みアプリケーション」のメニュー拡充が重要になってきそうですね。
菊地 現在、「AZBOX Hyper-V構成済みアプリケーション」は13種類ありますが、これを今年度中に50種類~100種類に増やして、ユーザーの選択肢を増やします。
──日本マイクロソフトにとって、「AZBOX Hyper-V モデル」の提供にはどのような思いが込められていますか。
岡本 今回の協業は、当社からお声がけさせてもらいました。たくさんのSMBユーザーに「Hyper-V」を使ってもらうための取り組みは当社の重点施策ですから、SMB向けのSI・ITサービス企業として力のあるFJM様とは、協業関係を築きたいと数年前から思っていました。ですから、実現して非常にうれしく思っています。
──「AZBOX Hyper-V モデル」の投入で、SMB向けにSI・ITサービスを手がけているパートナーのビジネスはどのように拡大しますか。
菊地 安価に短期間で仮想化ソリューションを提供できるだけでなく、VHDの仕組みを活用することで、“追加のソリューション”を提案しやすくなります。「最初に売ったらそれで終わり」ではありません。VHDにはアプリケーションを追加しやすい仕組みがあるので、追加のソリューション提案がしやすい。FJMはソリューションメニューを拡充していきますから、パートナーは幅広い提案を行うことができます。アプリケーションストアをFJMが用意して、パートナーはそこからソリューションを選び、ユーザーに提案するようなイメージです。
──まだ「AZBOX」を販売したことがないパートナーに対する告知活動は、どのように進めていきますか。
菊地 当社の営業所や日本マイクロソフトのオフィスを活用して、全国でセミナー活動を日本マイクロソフトと共同で開催しています。パートナーに内容を説明すると非常に関心をもってもらえるケースが多く、手応えを感じています。ユーザーとパートナーのどちらにも価値がある製品であるという自信がありますので、引き続き普及活動に力を入れていきます。
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外部リンク
富士通マーケティング=http://www.fjm.fujitsu.com/
マイクロソフト=http://www.microsoft.com/ja/jp/