Special Issue
日立中国ソリューションズ 「ワークフローエンジン」をOEM提供へ、定評ある「Hi-PerBT ウェブ申請」から切り出し
2012/06/22 19:55
APIと開発キットを提供、短期間で搭載可能
最近、企業では内部統制強化やコンプライアンス(法令遵守)の意識の高まりで、社内の手続き申請をITでワークフロー化する傾向が強まっている。また、人の判断を仰ぐ処理や決裁機能を搭載した業務アプリケーションが数多く存在し、需要も増している。この動きに呼応して自社パッケージにワークフロー機能を搭載する必要性が高まっている。ただ、多くのSIerは自社開発パッケージの開発投資を抑えることと競争力の確保の両立に悩んでいる。仮に自社で開発しても工数をなるべく削減したいと考えている。「ワークフローエンジン」はこの要求に沿った製品で、SIerの開発投資を抑えながらワークフロー機能を適用できる。SIerは、日立中国ソリューションズ提供のAPIを使って、短期間で自社製品にワークフロー機能を組み込み、一体感のある一つの製品として販売できる。今回のOEM戦略について、日立中国ソリューションズの八坂孝二・営業本部第3営業部部長付は、「車の車体にたとえると、ユーザー側に見えるシャーシはSIerの既存製品で、エンジン部分は省エネ機能などの付加価値を盛り込んだ当社のエンジンを使ってもらうイメージだ。それぞれの地域で活躍する中堅・中小のSIerは、地域にマッチした自社パッケージを多く提供している。これに部品化した当社のワークフロー機能を組み込んでもらうことで、顧客の要望により的確に応えることができる」と話す。
具体的には、ワークフローのベースとなるワークフロー制御機能や帳票開発、フロー定義機能など、管理者・利用者が使う一連の画面をAPI群として提供する。さらに、SIerが自社パッケージに組み込む際に利用する開発キット(SDK)と使用ライセンスを提供するほか、組込み開発時にSIerのシステムエンジニア(SE)に対する支援を行う。また、SIerの自社パッケージに「ワークフローエンジン」を搭載して製品化したあとは、共同で顧客に提案する営業支援メニューも用意する。販売・サポートは、日立中国ソリューションズの全国3拠点で実施する予定だ。
パッケージ開発を担当する共通パッケージソリューション部の増成宏樹課長は、「現在のワークフローツールのキーワードは、『見える化』『モバイル対応』『外部システム連携』だ。人事・給与業務パッケージ『Hi-PerBT モバイル給与』の機能のうち、累計40万ライセンス以上を販売するヒットとなった「給与明細配信システム」で培ったSaaSのノウハウや、スマートデバイスなどに対応した機能などをワークフロー分野に実装することができる」と話す。
自社パッケージをもつSIerの多くは、自社製品の開発投資を抑える一方で、投資をパッケージのコア部分の開発に集中し、周辺業務への対応を外部連携で賄う傾向がある。だが増成課長は、「異なる製品の連携はエンジンのロジック部分だけで、ユーザーが使う画面(GUI)は自社でスクラッチ開発する手間がかかる」という。これに対して、「『ワークフローエンジン』はSOAPベースのインターフェイスを備えているので、自社パッケージに応じたGUIを簡単に作成できるほか、ワークフローエンジンで用意している画面パーツもそのまま利用することができる」という。
エンジン搭載し製品化後は、販売支援を実施
「ワークフローエンジン」は2013年度中に正式リリースする計画だが、それに先立って、今年7月頃に評価用のサンプルキットの提供を開始する。詳細は、日立製作所が7月19日、20日に東京・有楽町の国際フォーラムで開催する自社イベント「Hitachi Innovation Forum 2012」のセミナーで明らかにする。OEM提供の契約方法は、導入/SaaS型(顧客の利用量に応じたレベニュー支払い)と固定/従量支払い(月定額での支払い)方式を選択できるようにする計画だが、「13年度中の正式リリースまで、OEM契約するSIerの意見を聞く」(増成課長)と、柔軟に対応する方針だ。日立中国ソリューションズの「Hi-PerBTシリーズ」は、人事給与・汎用システムとして、全国で1000社以上の導入実績がある。このうち給与明細の電子配信ができる「Hi-PerBT モバイル給与」は、約200社/40万人が利用中だ。ワークフローの「Hi-PerBT ウェブ申請」は、2003年の発売から約200システムが稼働中。50種類の帳票サンプルを備え、帳票作成が簡単にでき、現在使用中のオリジナル帳票も簡単に取り込める。申請に必要な機能が豊富で、簡単に低コストで導入できるのが特徴だ。
「Hi-PerBT ウェブ申請」は、今年4月にスマートデバイス環境で安全・安心に使える専用ブラウザを提供した。八坂部長付は「スマートデバイスへの適用など、エンジン部品のエンハンスも当社で行う」と、手厚い支援を用意していると強調する。まずは、日立ソリューションズのグループ会社が持っているパッケージに組み込み、地域で活躍する中堅・中小のSIerに適用を促していく計画だ。クラウドコンピューティングが普及し、スマートデバイスなどへの開発ベンダーの投資や工数が負担になってきている。日立中国ソリューションズの取り組みは、この負担軽減の一助になる。
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外部リンク
日立中国ソリューションズ=http://www.hcu.co.jp/
「Hitachi Innovation Forum 2012オフィシャルサイト」=http://iforum.hitachi.co.jp/