Special Issue

<文教市場特集>公務用と学習向けソフトの整備が急 学校環境に適した製品が重要に

2012/05/17 19:56

週刊BCN 2012年05月14日vol.1431掲載

【トレンドマイクロ】
簡単・安価なクラウド型URLフィルタリング
学校向けにサーバーレスサービスを拡販

 トレンドマイクロは、有害サイトから子どもを守るために必要な「URLフィルタリングソフトウェア」の導入予算に制約があり、運用・管理に手間を割きにくい学校に対して、サーバー設置が不要で安価なクラウド・サービスの提供を積極化している。学校では、専用教室に加えて、普通教室にインターネット接続できる環境が整えられてきつつある。こうした状況にあって、同社は、パソコンの新規導入や入れ替え時に「1校あたり無制限使用」のエデュケーションパックを提案し、多くの学校で採用を決めている。

総コストを削減し複雑な運用を解消

営業本部 国内営業統轄部
E&C推進部
校務システムプロジェクト
係長
小林一茂 氏
 トレンドマイクロが有害サイトから青少年を保護する目的で使用するサービスとして勧めているのが、2010年6月に提供を開始したクラウド型の教育用パソコン向けURLフィルタリング・サービス「Trend Micro InterScan WebManager SCC(ISWM SCC)」だ。

 通常、各学校や教育委員会では、インターネット接続用のゲートウェイ側に「URLフィルタリングサーバー」を置いてアクセス制御を行う。一方、ISWM SCCの場合は、エージェント式のサービスで、クラウド側のフィルタリングDBを利用するので学校単位のサーバー設置は不要だ。多くの学校では、本来の教職業務と異なるにも関わらず、一部の先生方が持ち回りなどでこうしたサーバーやストレージなどのインフラの管理を任されている。だが、ISWM SCCならば、そもそもITインフラ資産を持たないために「サーバーなどのインフラに関わる運用管理、OSやソフトウェアのメンテナンスなどから解放される」と、製品担当の吉田睦・マーケティング本部エンタープライズマーケティング部ゲートウェイマーケティング課プロダクトマネージャーは強調する。

 さらにISWM SCCは、通常のアカデミック版の提供のみならず同社製のアンチウイルスソフトの学校版と同じくエデュケーションパックも提供。1学校あたり年間9万円でライセンス数無制限で使用できるので、保有しているPCの増減に伴うライセンスの管理や追加購入も不要だ。


SIer・販社にも有効なクラウド提案

 吉田プロダクトマネージャーによれば、「アンチウイルスソフトとURLフィルタリングソフトは、他社製品を含めて全国の学校に行き渡りつつある」という。ただ、国の「教育用コンピュータ新整備計画」などに沿って、各学校の専用教室(コンピュータ教室)だけでなく普通教室にもパソコンの導入が進み、学校を所管する自治体の教育委員会は、より安価で手間の省けるURLフィルタリングを求めている。サーバー設置型の既存システムは、「コストが高い」と認識する学校や教育委員会が増えている。また、依然としてフリーウェアを使用する学校もあるが、「フィルタリング精度が低い」という問題を抱えている。

 InterScan WebManager製品ファミリーでは、利用形態に応じてサーバータイプも用意しており、「サーバータイプはプロキシ型できめ細かくアクセス規制を求める、VPN経由など教育委員会のセンター側で制御するのに適している」(吉田プロダクトマネージャー)。クラウド型は「各学校からインターネットに直接アクセスするネットワーク構成に対して、非常に適している」(同)と、求められる内容に合わせた提案を行っている。

 しかし、クラウド版はサーバーレスであるが故に「販売するパートナーに実入りが少なくなる」とのSIerや販売店の懸念もある。これについて、吉田プロダクトマネージャーは「サーバーやOSのライセンス費用は得られないが、もともとハードウェアメーカーやOSベンダーに支払うものだ。顧客である学校・教育委員会からみれば大幅に費用削減を実現でき、販売側は設置やエージェントのインストール作業など、SIerの直接的な作業で売り上げを確保することができる」という。顧客満足度が高ければ、更新時に他社に入れ替えられる心配が減り、継続提供が叶うというわけだ。

 また管理サーバー設置型のURLフィルタリングの場合、クライアントプログラムのインストールの必要が無いので、エージェント型に比べて面倒が少ないと感じるユーザーもいる。しかし、管理サーバー型のURLフィルタリングでも各パソコンにはプロキシ設定など「手入力」で作業を施す手間が必要となる。このことと比較すれば、ISWM SCCは各パソコンにプログラムをコピーしてインストールするだけ済み、手入力の管理サーバー型に比べ作業ミスも少ない。「ISWM SCCはデータベースのダウンロードが不要なため、市街地から離れた学校で十分なネットワーク帯域を確保できない環境でも運用できる」(吉田プロダクトマネージャー)と話す。

 パートナーにとっては、コスト負担が少なく手軽に導入できて利用環境も安心なので、「売りやすい商材」だ。トレンドマイクロの主力製品であるアンチウイルスソフトは、全国の小・中・高校で多く導入されており、ISWM SCCはこの既存顧客を中心に提案・販売する方針だ。


・ISWM SCC 無料試用版


トレンドマイクロ=http://jp.trendmicro.com/jp/

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