Special Issue
<クラウド特集>サービスを軸に収益モデルを再構築 IT周辺、非IT分野にもクラウドを応用
2012/04/26 19:56
週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載
日立システムズ
ビジネスサービス領域を拡大へ
ユーザーのあらゆる業務領域をサポート
大手SIerの日立システムズ(高橋直也社長)は、ユーザー企業の業務を支えるあらゆる“ビジネスサービス”へと事業領域を拡大させる。ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)やクラウドサービス、コンタクトセンターといったサービス群を、従来のITシステムの構築や保守以外の領域へも応用。同社は合併によって全国で10か所以上のデータセンター(DC)運営と、約300か所のサービス拠点を有しており、このビジネスインフラをユーザー企業のあらゆる業務領域へと応用していくことでビジネスを伸ばす。 大規模ビジネスインフラを活用
山本義幸 取締役専務執行役員 クラウド・DC事業 グループ長 |
同社では、この強大なビジネスインフラを、ユーザー企業の業務全般へ拡大させていくことでビジネス拡大を進める。具体的にはDCやサービス拠点、コンタクトセンターを顧客のオフィスや店舗、倉庫といった業務に直結する部分にまで適用範囲を広げる。
これまではITシステムの開発、構築がビジネスの中心であり、コンタクトセンターを1つ例に挙げても、ユーザー企業が使うITシステムのヘルプデスクが主な内容だった。これを「例えば、ユーザー企業が手がけるネット通販の受発注業務に当社のコンタクトセンターを活用するなど、顧客の業務そのものへビジネス範囲を広げる」(日立システムズの山本義幸・取締役専務執行役員クラウド・DC事業グループ長)考えを示す。
“協創プラットフォーム”を整備
DCを活用したクラウドサービスやBPOについても、「これまでのITサービス中心から、顧客業務全般をターゲットとしたビジネスサービスへ進化させる」(同)と、同社の大規模なビジネスインフラをIT以外の領域へと応用していくことで新規ビジネスの獲得を狙う。顧客のオフィスや店舗の管理運営を丸ごと請け負ったり、次世代の社会インフラとして期待されているスマートコミュニティーの運営に参画するなど、従来のITシステムの領域だけにとらわれないサービスを、同社のDCやコンタクトセンター、サービス拠点のインフラを活用して手がける。
クラウド環境への移行が急ピッチで進むITシステム分野でも、顧客のあらゆる要望をワンストップで請け負える体制をより強化する。この主軸に位置づけるのが仮想プライベートクラウドサービスだ。これは、自由度の高いプライベートクラウドの良さを生かしつつ、コストパフォーマンスに優れた共用クラウドサービスを併用するもの。同社では、顧客の既存のITシステムに、MicrosoftやSalesforceといったさまざまなグローバルクラウドサービスを提供するベンダー、さらには国内の有力パッケージソフトベンダー(ISV)を複合的に連携させたサービス展開を重視。ISV向けにはSaaSビジネス支援サービスにも力を入れる。
山本専務は「ビジネスパートナーとともにビジネスを創造する“協創プラットフォーム”の整備を進める」と、日立システムズが顧客のビジネス全域にわたってワンストップでサービスを提供することを目的に、ビジネスパートナーとの連携をより促進させる。将来的には「アジアの成長市場をはじめとする海外でも顧客が当社の高品質なビジネスサービスを利用できるようにする」とグローバル対応も進めていくことで、ビジネス拡大を目指す。
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