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エレコム・ハギワラソリューションズ “セキュアなUSBメモリ”を相次ぎ商品化 有力セキュリティベンダーと自社の技術を融合
2012/04/19 19:55
週刊BCN 2012年04月16日vol.1428掲載
三大メーカーのエンジンを採用
エレコムとハギワラソリューションズが販売するセキュリティ機能をもつUSBメモリは、データを書き込む時にウイルスの有無を自動でチェックし、ウイルスが潜在していた場合は即座に削除する(トレンドマイクロ版は隔離)。これらの製品はパスワードを入力しなければ、データにアクセスできない。また、「AES256bit」という最高レベルの暗号技術を採用したハードウェア暗号化機能により、保存したデータを自動で暗号化している。さらにオプションとして、各セキュリティポリシーの変更ができるソフトも用意しているので、企業のセキュリティポリシーに合わせた運用も可能である。セキュリティ機能をもつUSBメモリは他社も販売しているが、エレコムグループではエレコムがトレンドマイクロ版を、ハギワラソリューションズがシマンテック版、マカフィー版をそれぞれ商品化している。有力セキュリティベンダー3社のエンジンを備えた製品をラインアップしているのは同グループのみで、ユーザーニーズに幅広く応える体制を整えていることになる。
搭載するウイルス対策ソフトは、すべてWindows版でUSB 2.0に対応し、コネクター部分は内部に収納できるスライド式で故障しにくい。容量は2GB~32GBの5種類、ライセンス有効期間は1年、3年、5年と3タイプを揃えた。搭載するウイルススキャンのエンジンと同様に、ユーザーが選びやすいように多くの選択肢を用意している。希望小売価格は7140円(税込)(1年ライセンスモデル、2GB)からで、機能を考えればかなりリーズナブルだ。
エレコムの三宅克知・法人営業企画課チームリーダーは、「社内ネットワーク上のPCで利用するウイルス対策ソフトとは別メーカーのソフトを搭載したUSBメモリを導入し、セキュリティ対策を施すユーザー企業もあり、万が一ネットワーク上のPCがウイルスに感染しても、そのPCからUSBメモリにデータを移行する際、ウイルス感染したデータがあれば検知することができる」と、2種類のウイルス対策ソフトによる2重チェックの有効性を語っている。
また、ハギワラソリューションズの竹内和久・製品開発部マネージャーは、「セキュリティ機能付きUSBメモリは、USBメモリ本来のリムーバブルディスク領域だけでなく、CD-ROM領域も併せもつことができる「UDRW Technology」を採用し、搭載しているセキュリティソフトウェアの自動起動を可能にする高い利便性を持っている。また、USBメモリに搭載しているソフトウェアも自社開発しており、ユーザーの要望に合わせて機能を柔軟に拡張することも可能」と強みを説明する。
スタンドアロン端末を守る
エレコムグループは「リトマスUSB」というウイルスチェックツールを開発している。エレコムグループが行ったユーザー調査によると、スタンドアロン(インターネットやネットワークに接続しない)端末向けのセキュリティ対策を求めているユーザーが多いことがわかった。エレコムの目野健一・法人営業企画課課長は、「教育機関、医療機関、官公省庁などにあるスタンドアロン端末が、USBメモリ経由でウイルスに感染し、その後に被害が広がることがあり、ユーザー企業の悩みのタネになっている」と話す。そこで開発したのが、端末のウイルス検知・除去に特化した「リトマスUSB」だ。シマンテックのウイルススキャンエンジンを搭載し、スタンドアロン端末に接続すると、自動的に端末にウイルスが混入しているか否かをチェック。感染の有無を付属のLEDランプの色で知らせる。検知したウイルスの削除を行うことも可能だ。前述のUDRW Technologyにより、モニタがつながれていない端末でも、接続さえすればチェックすることができることが大きな強みだ。
スタンドアロン端末のウイルス対策は、「ウイルスを持ち込まない対策」と「ウイルスに感染していないかチェックする対策」の両方を実施する必要があると考えている。
エレコムグループでは、さらにユーザーニーズを吸い上げ、必要な機能は積極的に取り込んでいく予定だ。ソフトウェアを自社開発している強みを生かし、新たな切り口の製品展開を予定している。
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