Special Issue
<プリンタメーカー座談会>大震災を契機にコスト削減の気運が高まる インクジェットのビジネス利用が増加
2012/03/01 19:56
週刊BCN 2012年02月27日vol.1421掲載
また、クラウドは間違いなくキーワードだと思います。スマートデバイスはプリンティングの便利さの一部を肩代わりしている部分があります。やはり、紙ならではの必要性をビジネスモデルにどう取り込めるのかが重要になります。
当社は、コンシューマ向けプリンタで写真やドキュメントをメールに添付してプリンタに送信するだけでプリントできるメールプリントのサービスを始めましたが、これをビジネスインクジェットにも搭載しました。こちらの想定以上に導入検討の問い合わせが来ています。さらに、いろいろなお客様に対して、プリンタとクラウドをつなげる提案をしていきたいと思います。また、もう一つのキーワードとしてコストを挙げています。2011年は「節電」と合わせて「コスト削減」が叫ばれた年でもありました。ランニングコストや節電などによるトータルコスト削減はお客様の最大の関心事といえますので、インクジェットプリンタのコストメリットをしっかり伝えたいと思います。もちろん、その他の環境性能などプリンタに求められる機能と性能については、2012年度も継続して追求していく方針です。
――他社との差異化の具体的なポイントを教えてください。
鈴村(エプソン販売) 中小企業、個人のお客様に対して、特定業務の提案ができることです。提案するにあたっての豊富な商材はそろっていますし、お客様の最大の関心事であるコスト削減の要求についてもお客様の期待を上回るご提案できると考えています。
森(OKIデータ) 6年計画の残り3年、エンドユーザ様と販売パートナー様の双方に、OKIならではの独自性の高い価値を創造し、ポジショニングを確立していきます。シンプルに単純に売りやすい、そしてお客様にとって買いやすい、使いやすい商品・サービスで差別化していきます。
大澤(ブラザー販売) FAXという切り口があるのは差異化になります。FAXはSOHO向けには有効ですので、引き続き提案を強化していきたい。また、サービス連携に関するソリューションも揃っています。
山根(リコージャパン) 製品の導入、保守・サポートなどを含め、プリンタに関するソリューションをワンストップで提供できることです。さらに、最近では、クラウドと連携したソリューションや、SIerや事務機ディーラーなどとのアライアンスを強みにしています。また、医療をはじめとする業務特化提案にもこだわっていますし、デジタル複合機(MFP)を含めて、分散と集約のどちらの要求にも対応できることが強みです。
――販社、ディストリビュータとの販促策・販売プロモーション展開について教えてください。
山根(リコージャパン) 今後も競合力のある商品の提供やラインアップの拡充を行っていきます。直売では、iPadとクラウドを使ったソリューションをいかにお客様に提案できるかということだと思います。クラウド時代の新たなワークスタイルの変化に対応し、プリンタ単体ではなく、アプリケーションやサービスなどを組み合わせたソリューションを提案していきたいと思います。
大澤(ブラザー販売) これまで不十分だったパートナーへのアプローチができるようになり、販路を広げるという点で大きな意味のあることでした。パートナー獲得の目標数は100社ですが、今年3月末には達成できそうです。また、ソリューションの水平展開やプロモーション、販売店向けプログラムも始めています。
家電量販店の店頭では、A3機が活性化する兆しがあります。現在、競合他社と同様にキャッシュバック・キャンペーンを展開していますが、これはお客様にメリットがあるので、販売展開の柱として継続していきます。
森(OKIデータ) 6年前にパートナー制度を導入しましたが、時を経て一部時代にそぐわない部分も出てきましたので、制度のリニューアルを検討しています。従来の支援策はより現実に即した形に修正すると同時に、新たにエンドユーザーとの関係性をマネジメントする仕組みを構築し、パートナー様に対し付加価値の高い支援を行なう試みをします。
鈴村(エプソン販売) ポイントは二つあります。一つは、お客様に元気になってもらえるような鮮度の高い販売施策をしっかり行うということです。もう一つは、当社製品を知らないお客様に知っていただくことです。販売パートナー様と一緒に売り上げを作り出していき、購入いただいたお客様に喜んでいただくことを軸に適切な施策を行ってまいります。
――最後に、他社ベンダーとのアライアンス戦略について聞かせてください。
鈴村(エプソン販売) キーワードであげた、クラウドの展開は、一社でまかないきれません。クラウドを波及させるには、パートナーになってくれるところを探すことになります。どういうお客様にどういうソリューション届けるかということを、来年度以降は具体的に検討します。
森(OKIデータ) 全ての可能性は考えられます。当社は世界約130カ国で販売しておりますので、日本のみならずグローバルな視点でのアライアンスが重要だと考えています。
大澤(ブラザー販売) 当社は世界的にSOHOをターゲットにしており、この戦略がぶれることはありません。SOHOのお客様へ総合的なサービスを提案する上では、アライアンス体制は必要になると考えています。
山根(リコージャパン) 「BBパック」による安心・快適なネットワーク環境の上にさまざまなアプリケーションを月額課金のクラウド・サービスで提供する「ワンストップくらうど」を展開しています。この分野でも、パートナーの皆様とともに成果を挙げたいと思っています。
――長時間、ありがとうございました。
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