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<業務ソフトメーカー座談会>クラウド、モバイルで新機軸の事業モデルを 主導権争いに火花を散らす

2012/02/16 19:56

週刊BCN 2012年02月13日vol.1419掲載

ピー・シー・エー 水谷学社長
「2ケタ増収を目指します。そのためにも『Xシリーズ』のクラウド版をリリースし、クラウド事業に本腰を入れます」
 水谷(PCA) 前期(2011年3月期)の業績は、震災の直前までは絶好調でした。震災を機に大口のSI(システムインテグレーション)を伴う案件が先延ばしになった結果、3月期は若干目標を下回りました。震災による甚大な影響を懸念しましたが、思ったほどではなく、そこそこの業績だったという印象です。

 和田(OBC) 顧客満足(CS)を追求して、「奉行V ERP」と「奉行iシリーズ」を販売してきました。CSが高ければ、ユーザー企業も増えることがわかりました。お客様視点に立ったCSの追求にこの1年を費やしてきました。目標予算をクリアしつつ、「攻め」よりも、しっかりとした「守り」の姿勢で成長することができました。

 これからも地道な積み重ねをしていきたい。変化の時は、新しいモノを先行して始めたがるきらいがありますが、それが本当にお客様にとってプラスなのかどうか、常にお客様目線を忘れないモノづくりを通じて、長い目でクラウドの提供に取り組んでいくつもりです。

 宇佐美(OSK) 全体的に好調な1年でした。2010年にリリースしたカスタマイズツールの「SMILE Custom AP Builder」(SMILE CAB)との抱き合わせ提案がとても受けました。また、業種別テンプレートを増やして提案の幅を広げたのも導入を後押ししたと考えています。従来よりも少し規模が大きい企業層にまで提案しやすくなりました。このほか、情報系の「eValue NS」との連携の提案ができることを強みに、ビジネスを伸ばしています。震災の影響は、正直、あったのかどうかがわからないくらいの結果でした。

 上野(応研) 09年は、少し落ち込みましたが、少しずつその状況から回復しています。2011年度(11年12月期)は、おそらく2ケタ成長に達します。この結果からも明らかなように、震災の影響は、それほど大きくありませんでした。結果的には、東北を含めて対前年比で伸ばすことができています。

 ――各社ともに事業が好調だということがわかりました。要因はどこにあったのでしょうか。

 上野(応研) 当社の製品はパッケージソフトでありながら、パラメータ設定を使って、柔軟にカスタマイズできることと、オプション製品の「DBアドバンスユニット」でマスター項目数を大幅に追加できることが、ユーザー企業に広く受け入れられてきました。今までは、小規模のお客様が多かったですが、販売管理の場合は、クライアント数が数十クライアントに上るくらいの案件が出てきました。

 宇佐美(OSK) 「SMILE CAB」は、どのアプリケーションにも連携できるので拡張性が高いのが売りです。製品分野でいえば、顧客管理の出荷が結構多かったですね。人事管理もそうですが、お客様の情報や社内の情報をきちんと把握しようとするニーズがあるのではないでしょうか。そういう意味で、業種に偏らず幅広く製品を出荷することができました。

オービックビジネスコンサルタント 和田成史社長
「『奉行V ERP』『奉行iシリーズ』と続き、2012年は、4月をめどに『奉行Jシリーズ』という新しいシリーズをリリースします」
 和田(OBC) 「奉行V ERP」の強みは、パッケージとしての完成度です。カスタマイズをせずに、運用で業務をカバーできるので、コスト管理に厳しいお客様のニーズにフィットします。ダウンサイジングやシステムをつくり込んでいるお客様から、多くの引き合いがあり、導入事例が増えています。「奉行iシリーズ」も高い評価を受けています。

 パートナー企業は、システムをつくり込むことなく、リスクのないビジネスを展開できるメリットがあります。  水谷(PCA) 一番伸びているのがSaaS/クラウドサービスです。売上高でいえば未だ数億円ですが、これから大きな成長が期待できる領域です。

 岡本(弥生) 2008年から2009年にかけて、既存のユーザー企業の間でバージョンアップがなかなか進みませんでしたが、2010年以降は「あれっ」と驚くくらい伸びています。景気がやや上向きになって、たまっていた需要が戻ってきたのではないかとみています。

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