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<ストレージ特集>EMCジャパン ラインアップの拡充が奏功し、SMB市場で躍進

2012/02/02 19:55

週刊BCN 2012年01月30日vol.1417掲載

 2011年、これまでエンタープライズ市場を中心に展開してきたEMCジャパン(山野修社長)が中堅・中小企業(SMB)市場に本格参入した。新たなストレージブランド「EMC VNXファミリ」を提案し、ミッドレンジ向けに「VNXシリーズ」、ローエンド向けに「VNXeシリーズ」を訴求。幅広いニーズに応えることで「非常に大きな成果を得た一年になった」と、中山泰宏・執行役員パートナー事業本部長は振り返る。着実に市場を開拓し、躍進を続ける同社の販売戦略に迫った。

2012年はパートナーとの連携を強化

「EMC VNXファミリ」が好調
SMB市場の開拓に成功する


中山泰宏
執行役員
パートナー事業本部長
 EMCジャパンは2011年、過去最大規模となる44機種の新製品を発表した。ラインアップの大幅拡充には、同社の強みであるエンタープライズ市場でより強固な地位を確立することに加え、SMB市場を攻める足がかりをつかみたいという狙いがあった。過去にはない新製品を投入した年だったが、中山泰宏・執行役員パートナー事業本部長は「2011年は、とくにSMBへの訴求にかなりの力を注いだ。その結果、ミッドレンジ・ストレージ市場で、昨年対比約40%増の伸びをみせ、確かな手応えを感じることができた」と、成果を実感している。

 とくに、同社がハイエンド・ストレージで培ってきたノウハウを生かした「EMC VNXファミリ」が好調だ。その中でも「VNXe」に関しては、ストレージの専門知識がなくても導入・運用することができる「シンプル」、SANとNASの両方をサポートした「効率的」、価格を低く抑えた「お買い得」という三点が特徴で、SMBに向けて提案しやすい商材となっている。「ユーザー企業・団体の動向をみると、SANとNASを組み合わせたユニファイド構成を選択するケースが70%を占めています。ユニファイド構成は価格が高くなりますが、それ以上に、ユーザーのニーズが高いことを実感しました」と、中山執行役員は説明する。

 さらに、バックアップに対するユーザーの意識が年々高まっていることを受け、11年2月には、重複除外バックアップ・ストレージ「EMC Data Domain」シリーズを半額まで値下げし、販売台数を大幅に伸ばした。「重複除外バックアップ・ストレージの市場で当社は、80%以上のシェアを獲得することができた。この実績におごることなく、エントリー・モデルの『DD160』などを訴求し、引き続き市場を攻めていきたい」と、2012年の拡販にも強い意気込みを示している。

パートナー支援を強化し
さらなる市場拡大を目指す


 2011年の営業施策で大きなトピックとなったのは、ディストリビュータ4社を経由した販路を確立したことだ。中山執行役員は、「このビジネスモデルは、当社にとって初の試みだったが、4社の協力を得て、強固な販売基盤を整備できたと思っている。今後もディストリビュータと連携し、全国のITベンダーとともに市場のすそ野を広げていきたい」と説明する。

 また、「EMC Velocityパートナー・プログラム」を6年ぶりに改定したことも見逃せない。このプログラムは、パートナー企業の貢献度に応じて、同社が販売策や特典を提供するもので、今回の改定で認定資格のなかにミッドレンジ・ローエンド向け製品などを拡充した。これにより、「パートナーに対して、当社がSMB市場で注力している製品を明確にアピールすることができるようになった」(中山執行役員)。

EMC VNXeシリーズ
シンプル、効率的、お買い得。比較的小規模な中小企業向けのお手頃なユニファイド・ストレージ

EMC Data Domain DD160
テープバックアップの置き換えに最適な、重複除外ストレージ・システムの最新エントリー・モデル。EMC主要製品のラインアップのひとつとしてデザインも一新

 2011年の好調さを受け、EMCジャパンはパートナー企業へのサポート体制を強化する。11年は、需要が予想以上に強まったことで、「EMCジャパンの販社への支援体制が追いついていなかった部分が多少あった」(中山執行役員)ことを改善するために、電話サポートや日本語マニュアル、パートナーの技術的トレーニングなどをさらなる充実を図っていく計画だ。また、販路拡大に対応する施策も検討している。販路が全国に広がるにつれ、全国規模で保守・サポートを行う体制が必要となる。そこで現在、全国展開するサービスパートナー企業との協業を視野に入れているという。

 ハイエンド・ストレージ市場で培ったノウハウを生かし、ミッドレンジやローエンドまで、豊富なラインアップを揃えたEMCジャパン。このビジネスモデルが市場のニーズに合致し、2011年は飛躍の年となった。ビジネスを加速していく同社の動きには目が離せない。
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外部リンク

EMCジャパン=http://japan.emc.com/