Special Issue
ハイブリッド型のニーズが高まる クラウド時代の運用監視サービス
2011/11/24 19:56
週刊BCN 2011年11月21日vol.1408掲載
日立システムズ
Azure対応の統合監視サービスを強化
クラウドとオンプレミスの両方に対応
大手SIerの日立システムズが、パブリッククラウド「Windows Azure Platform」に対応した統合監視サービスを強化している。サービスの名称は「App Bridge Monitor(アップブリッジモニター)」で、日立システムズがSaaS方式で提供しているものだ。サーバーやデータベース(DB)の状態を統合監視するもので、情報システムの運用に効果的なツールである。オンプレミス(客先設置型)のシステムのみならず、Windows Azureにも対応していることから引き合いが急増。エンドユーザーのみならず、ISV(ソフト開発ベンダー)やSIerへの利用も広がっている。 SaaS型の先駆的な監視サービス
日立システムズ 中田龍二 産業・流通営業統括本部 第五営業本部 クラウドソリューション 開発営業部長 |
日立システムズ 菊池一也 研究開発本部 研究開発センタ 主任研究員 |
日本マイクロソフト 山本修平 クラウドビジネス推進室 プリンシパルクラウド セールスエンジニア |
2011年10月21日からは、Windows Azureだけでなく、SQL Azureも監視サービスの対象に加えた。これにより、サーバー処理の部分はWindows Azureを使い、データベース部分はユーザー自身が所有するSQL Serverを使うハイブリッド型環境の監視に加え、すべてをAzure上で稼働させる場合にも「App Bridge Monitor」で監視できることとなる。
Windows Azure Platformの提案を手掛けてきた日本マイクロソフトの山本修平・クラウドビジネス推進室プリンシパルクラウドセールスエンジニアは、「クラウドとオンプレミスの両方に対応した統合監視をSaaS型で提供しているケースは世界的にみても先駆的である」と、日立システムズの取り組みを高く評価している。
運用管理の大幅な効率化に期待
「App Bridge Monitor」は、日立システムズが直接エンドユーザーに販売する販路とは別に、クラウド対応のアプリケーションを開発しているISVやSIerからの引き合いも急増。ISVやSIerは自ら開発したアプリケーションの運用をより効率化するために「App Bridge Monitor」の採用が進んでいるのだ。日立システムズの中田龍二・第五営業本部クラウドソリューション開発営業部長は、「日立製作所が開発・提供する統合システム運用管理JP1をはじめとする日立グループのミドルウェア製品群と同様、広く同業他社を通じた販路を開拓していく」方針を示す。
実際、「App Bridge Monitor」の販売を始めた2011年4月から現在までの引き合いの状況をみると、およそ半数はISVやSIerからで占められる。ISVやSIerは、自らの顧客であるユーザー企業からの統合監視を求められるものの、クラウドとオンプレミスの両方に対応したサービスを自前で開発するわけにもいかず、日立システムズの「App Bridge Monitor」にたどり着いたものとみられる。
日立システムズでは、こうした引き合いの強さを踏まえてミドルウェアサービス「App Bridge」シリーズのラインアップ強化に力を入れている。
まず、オンプレミスとクラウド間のシステム連携を支援する分散バッチ支援サービスを2012年1月をめどに提供開始するのに続き、2012年4~6月期には処理能力を制御するスケールコントローラーを投入する予定だ。ユーザーは、クラウドと従来型のオンプレミスシステムとのシームレスな連携や、Windows Azureや自ら運営するプライベートクラウド環境における仮想マシン(VM)の増減の自動化が可能になる。
「これにより、クラウドとオンプレミスの混在環境における運用管理の大幅な効率化が期待できる」(日立システムズの菊池一也・研究開発センタ主任研究員)。
日立システムズの中田部長は、「クラウドとオンプレミスのハイブリッドシステム向けの統合監視サービスとして、App Bridge Monitorの普及に努めていく」とシェア拡大に意欲を示す。
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