Special Issue
<有力ベンダーが語るビジネス戦略とパートナー施策>クオリティ 中国のニーズに合った営業スタイルを展開
2011/11/17 19:55
週刊BCN 2011年11月14日vol.1407掲載
<2011.10.14開催 BCN Conferenceレポート>
クオリティの飯島邦夫常務取締役 |
システム構築やソフトウェア開発に携わっている日本のITベンダーは、中国IT市場の著しい成長を受けて、ここ数年、中国でのビジネス展開に注力している。中国に現地法人を設立したり、ローカルの販売パートナーの獲得に取り組んできた。しかし、中国は、言葉だけでなく、商慣習や地場企業が求める営業スタイルなどが日本と大きく異なるので、中国でのビジネス経験に乏しい多くの日本のITベンダーは、さまざまな壁にぶつかっている。飯島常務は、クオリティ上海のかつての“失敗事例”を振り返りながら、いかにして課題を乗り越えることができたかを語った。
上海市黄浦区にオフィスを構えるクオリティソフト上海は、2002年に設立され、翌年に営業を開始した。総経理の飯島氏の下で、現地で採用したローカルスタッフが営業活動を行っている。「設立当初は、日本本社と中国のローカルスタッフの間のコミュニケーションがうまくいかず、われわれのもつ商材の良さを、営業部隊に伝えることができなかった。そのため、営業部隊は商材の本質を理解しないままセールスを行い、販売がなかなか伸びなかった」(飯島常務)と苦笑する。
飯島常務は、2008年にクオリティ上海のトップに就任したのをきっかけとして、製品戦略や営業戦略にあたって、いくつかの改善策を講じてきた。まず、日本語と英語のほかに中国語にも対応したIT資産管理ツール「QAW・QND Plus」の国際版をリリースし、中国の地場企業にとって使いやすい製品を投入した。また、国際版のリリースと同時に、ローカルの販売代理店に向けた施策に力を入れ、地場企業向け展開に強い販売体制を整えた。製品戦略と販売体制の改善をベースとしたかたちで、社内・社外コミュニケーションの改善を図りながら、案件獲得を進めた。このようにして、中国ビジネスの拡大につなげたという。
飯島常務は、具体的な解決策として、「営業で成果を上げるためには近道はない。ローカル女性スタッフからのアウトバウンドコールによってアポイントを取り、客先のローカル担当者への丁寧な説明、日本人管理職に対する日本語での説明、さらに経営の決済が必要な場合は総経理自ら説明し最終決済に導いていく」と語った。さらに「中国の真のニーズに合ったソリューションを提供することが、中国での事業成長への近道」とアピールした。
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