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日立製作所 100万円切るNASをSMB向けに投入 パートナーは容易にクラウドの提供が可能に

2011/11/17 19:55

週刊BCN 2011年11月14日vol.1407掲載

 日立製作所は、競合が乱立する中堅・中小企業(SMB:Small and Medium Business)向け国内NAS(Network Attached Storage)市場の攻略を本格的に開始した。今年9月には、従来の仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform(以下、VFP)」のシリーズに、1台100万円を切る価格で、初期設定が10分間で済むという製品を投入。急増する企業内のデータを効率的に管理・活用するSMBのニーズに応えられる製品として注目される。

クラウド環境の入り口になるNAS

中堅・中小企業向けモデル「Hitachi Virtual File Platform 50」
(タワー型)
 インターネットの普及に伴って、企業内に蓄積されるデータは急増している。それとともに、最近ではデータを蓄積・管理・活用するNASの課題が顕著になっている。また、東日本大震災以降、膨張するデータをバックアップ/アーカイブするニーズは大企業中心からSMBまで広がってきた。同社は、こうした動きに呼応する今後のファイルストレージのあるべき姿を追求して、新たなアーキテクチャと製品の開発を続けている。

 同社は昨年11月、画像・映像や、オフィスなどで作成される非構造化データをデータセンターに集約し、設定が簡単で煩雑な運用管理を軽減したコンテンツクラウドを実現する「VFP」と、バックアップ/アーカイブ専用のストレージ装置「Hitachi Content Platform(以下、HCP)」などの製品・サービスの提供を開始した。今年9月に発売した「VFP50」は、このコンセプトに基づくエントリーモデルのNAS製品だ。柴田 隆・ファイルストレージ開発本部 本部長は「VFP50は、従業員10~50人のオフィスで、デスクサイドに置けるタワー型のNASだ。簡単なウィザード形式の設定ツールを備えており、エンドユーザーでも簡単に設置して運用できる」とアピールする。

 同社のNAS戦略が競合他社と異なるのは、NASの運用・管理・活用面で新しいアーキテクチャを採用している点だ。その一つがCloud on-Ramp(クラウド環境への入り口)というソリューションである。拠点や部門などのエッジサイドに「VFP50」などを設置すれば、そこに保存したデータはWAN(Wide Area Network)を介して自動的にデータセンター側にあるストレージ装置「HCP」にバックアップ/アーカイブされる仕組みだ。パートナーにとっては、同社のNASを販売しながら、クラウド・サービスの基盤構築やサービス提供を同時に開始できるわけだ。

 そのエッジ側に置くことを想定した「VFP50」だが、低コスト、簡単、快適、安心という四つの価値で、顧客のデータストレージに関する悩みを解決する。

バックアップもクラウド連携で自動化

ファイルストレージ開発本部本部長
柴田 隆 氏
 「VFP50」は、1CPU/4GBメモリーと4/8TBの内蔵HDDを搭載したコンパクトなきょう体のタワー型で、価格が95万円(税別)から。競合他社のエントリーモデルに比べ、同等もしくは10万~20万円程度安い。しかも、10分間で初期設定を完了できるウィザード形式のGUI(Graphical User Interface)を装備。初期設定は、ケーブル接続、電源ON、システム設定、「HCP」接続などサービス設定だけで済む。他のNAS/ファイルサーバからのデータ移行に必要な機能もオプションで内蔵可能で、移行用の専用アプライアンスは不要。移行開始コマンド実行からファイルサービス開始にかかる時間はゼロ、つまり瞬時で済む。

 また、拠点や部門単位でNASの設置が進めば、情報が分散化する課題が生じ、NAS個別にバックアップやメンテナンスが必要となる。だが、「VFP50」を使えば、ポリシーベースでデータをクラウド側にバックアップするので手間が省ける。柴田本部長は「よく使うデータは手元に置く一方で、バックアップやアーカイブしたいデータはクラウドへ移すという作業を自動的にできる。このため、高速なアクセスと、データ保護・長期保管を両立することができ、さらに必要なデータを閲覧する際のクラウドへのアクセスは、透過的に実行することができる」と、SMBで利用する際の課題をすべて解決した利用環境だと強調する。

 同社では11月初旬にも、2Uラックマウント型の「VFP70」を追加発売。ラインアップの拡充と合わせて、同社はパートナー支援体制の充実に動き出している。販売部門と設計を一体化した専門部隊と、デモ機を使ってパートナーと顧客先でプレゼンテーションする部隊を創設。近く、パートナー向けのインセンティブも計画している。柴田本部長は「パートナー自身で、すぐにでもクラウド・ビジネスを開始できる仕組みがある」と、パートナーに同社NAS製品の販売を促している。

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外部リンク

日立製作所=http://www.hitachi.co.jp/storage/