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ITクルー、日本HPのバックアップソフト「HP Data Protector」を採用、銀行向けシステムで高い評価

2011/10/27 19:55

 ラックホールディングス(米田光伸社長)グループでIT製品販売とSIを手がけるアイティークルー(ITクルー、怒和秀昭社長COO)が、ある銀行の情報システムを再構築した。システムのバックアップには、日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)のバックアップ・リカバリソフト「HP Data Protector」を活用した。実は、ITクルーが「HP Data Protector」を採用するのは、今回が初めて。ITクルーは、なぜ慣れ親しんだ他社製ソフトではなく、日本HP製品を選んだのか。事例を追いかけながら、その理由を明らかにしよう。

Linuxで動作するバックアップソフトを選定、日本HP製品に着眼

 ITクルーは、2008年に設立されたIT製品の販売とSIを手がけるITベンダーで、UNIXサーバーを用いた金融機関向けのシステム構築に強い。地方銀行向けのSIも得意で、地銀のユーザーは、東北から沖縄まで全国に広がっている。事業拡大施策として、最近では金融機関以外の顧客獲得にも力を注ぎ、x86サーバーとLinuxを活用したシステム構築プロジェクトを積極的に獲りにいっている。扱う製品のメーカーはさまざまで、ハード・ソフトを問わず、ユーザー企業の要望に沿って最適なメーカーを選んでいる。

 2010年11月、ITクルーは、ある大手銀行の情報システムの刷新を手がけた。短期間で大量のデータを計算・分析するための「データウェアハウス(DWH)」という大がかりなシステムで、既存のシステムはUNIXを活用したものだった。この銀行の情報システム担当者は、運用コストの削減などを目的に、Linuxを活用したシステムへの移行を決断。ITクルーに相談をもちかけた。

 ITクルーは受注後、システム構成の策定に取りかかった。サーバーは、日本HPのブレードサーバーを採用し、約16台を使用する構成を組んだ。OSはユーザー企業の要望通り、Linux、システム運用管理ソフトは、日立製作所の「JP1」に決めた。そして、バックアップシステムを組むためのソフトには、日本HPの「HP Data Protector」を採用した。ITクルーが手がけたプロジェクトで、このソフトを利用したのは、これが初めてだった。

コストパフォーマンスやOS混在環境でも利用できる点を高く評価

 ITクルー事業推進本部製品事業部の江田龍咲担当部長は、「HP Data Protector」を採用した経緯を次のように語る。「まず前提として、Linuxでの動作を保証している製品が少ない。さらに、Linuxをサポートしている製品でも、高額なものが多かった」。これらの理由で、ふだん頻繁に活用しているCA Technologiesの「ARCserve」やシマンテックの「Backup Exec」などは、対象から外れた。江田担当部長は、要望を満たすバックアップソフトを探す作業のなかで、以前出席した日本HP主催のパートナー会で「HP Data Protector」が紹介されていたことを思い出し、コンタクトを取った。

ITクルーの江田龍咲担当部長

 江田担当部長は、「正直にいえば、日本HPがバックアップソフトを販売していることを知らなかった。ただ、詳しく内容を聞き、Linuxをサポートしているという大前提に加えて、運用管理ソフトとして採用する『JP1』との連携動作がしやすい点、導入するサーバーと同じメーカーである安心感、コストパフォーマンスなど、複数のメリットがあった。初めて使うことへの不安は当然あったが、採用を決めた」と説明する。

 「HP Data Protector」は、江田担当部長が言うように、WindowsとLinuxが混在するシステムで、両OS上で動くアプリケーションのデータをバックアップ/リカバリできる。コストパフォーマンスの高さも特徴で、独自のライセンスモデルを組み、クライアントライセンスが不要で、基本ライセンスとシステムのバックアップ構成に応じたオプションのライセンス料金を、ユーザー企業は支払う仕組みだ。日本HPの調べでは、ある他社製ソフトと比較した場合、65%のライセンスコストを削減できたという。実際に、導入を行うSEグループに検証を求めたところ、機能性、オペレーション含め全く問題ないとのことだった。

 実は「HP Data Protector」は、世界で約4万社もの導入実績がある。なぜ日本で知名度がなかったかといえば、これまで日本ではディストリビュータやITベンダーが再販する際の一般的な流通ルートに乗せて販売することができなかったから。それが11年4月に改善され、ITベンダーが「HP Data Protector」を容易な手続きで再販しやすくなっていたのだ。

導入・運用段階でもトラブルなし、今後も積極活用

 ITクルーは「HP Data Protector」を採用したシステムを構築し、無事に稼働させた。今回の案件を担当した営業本部第二事業部第二営業部の金髙慎之介専任は、「初めて『HP Data Protector』を活用したが、スケジュール通りに難なく構築し、稼働させることができた。弊社のSEも抵抗感がなく、トラブルの報告は受けていない」と話している。また、コスト面でも「システム開発予算が限られていたので、バックアップシステムの部分でコストを削減することができたのは助かった」と説明する。 

ITクルーの金髙慎之介専任

 江田担当部長も、「今回、『HP Data Protector』のメリットや使いやすさに、初めて触れることができた。今後は、Linux以外の案件でもユーザーの要望次第で『HP Data Protector』を採用する可能性は十分ある」と、今後も積極的に活用する考えを明らかにした。

 日本HPのHPソフトウェア事業統括インフォメーション・マネジメント・ソリューション事業部の森藤康之担当マネージャーは、今回の事例を振り返って「存在すら知られていないなかで、価値を認めていただけた好事例。ご販売時のお問合せもHPハードウェア製品の窓口で対応できるなどパートナー様の手離れ良いビジネスモデルを構築し、今後もさまざまな案件で、ITクルーを支援していきたい」と話している。

日本HPの森藤康之担当マネージャー

 一般的な流通ルートでITベンダーが調達できるようになった「HP Data Protector」が、今後存在感を増すのは必至だ。今回のプロジェクトを完遂したITクルーの評価が、それを実証している。
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外部リンク

日本ヒューレット・パッカード=http://www8.hp.com/jp/ja/home.html

アイティークルー=http://www.itcrew.jp/index.php

「HP Data Protector」=http://h71028.www7.hp.com/enterprise/jp/ja/software/information-management-data-protector.html