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<IT業界の主要各社が展開する“次の一手”>ブラザー販売 商品群の充実、訪販系チャネルの強化を図りSOHO市場でシェア拡大

2011/10/06 19:55

週刊BCN 2011年10月17日vol.1403掲載

 「パーソナルとSOHO市場以外は当社にとってブルーオーシャン(新規市場)だ。5年後には総合プリンタメーカーとして確固たる地位を確立する」──こう語るのは、ブラザー販売の三島勉取締役だ。2011年3月にブラザーグループが発表した中期計画でも、2015年のP&S(プリンティング&ソリューションズ)事業のグローバル売上高を4650億円に伸ばす方針だ。この計画は、同事業で2010年度の売上3402億円の1.36倍。「この方向の中で、国内事業も、注目されている新興国並の成長戦略を描いている」(三島取締役)と話す。企業内のプリント出力が減るなかで、このような強気な発言ができるのは、確固たる裏づけがあってのことだ。

三島勉 取締役
 同社は「JUSTIO(ジャスティオ)」シリーズとして、ビジネス用途に応じたカラー・モノクロレーザーとインクジェットの多彩なラインアップを取りそろえ、SOHO市場で強みを発揮してきた。最近の機種では、小型ながら「自動両面プリント」「高速プリントエンジン搭載」というハイスペックを実現している。しかし、同社で詳細を分析してみたところ、取りこぼしがみられた。従業員10人までのSOHO市場での導入状況を調査したところ、「5人以上の組織では、当社のシェアが大変低い状況だった」と、三島取締役は明かす。そこで5?10人程度のSOHO市場を囲い込むため、「最大5年間無償保障」という安心サポートを付属した「ジャスティオ プロ」も発売し、SOHO市場の中でもプリントボリュームの大きい層からSMBも視野に入れ、拡販を進めている。

 SOHO市場を囲い込むための商材は、ページプリンタや複合機だけではない。VPNやIP電話が容易に実現できる小規模・多拠点オフィス向け無線LAN VoIPルーター「MIP-3010」の発売はその一例だ。「もちろん、当社の複合機との相性は抜群だ。発売は昨年だったが、今年の9月から本格的な販売活動を開始している」(三島取締役)と、IP電話サービス会社経由で販売されるケースが増えると予測され、販路拡大に一役買いそうだ。

 今後、さらにプリントボリュームの大きい顧客層を獲得するための策として用意しているのが、より高速なプリントが可能な「インクジェット高速ラインヘッドモデル」の投入だ。「来年には事業化したい」と三島取締役。「プリントボリュームの大きい層は当社にとって新領域になる。すでにチャネルが形成されている市場や、新規市場に向けて拡販を図り、顧客を獲得していく」と期待を込める。

 商品群の充実を図る一方で、訪販系チャネルの強化にも本気で乗り出した。これまで同社製品は量販店やウェブサイトを通じて販売される比率が高かった。「SOHO市場でも従業員の多い企業ほど、訪販を通じて購入することが一般的」(三島取締役)だからだ。そこで訪販系チャネルを確立するための商材を用意。それが先述した「ジャスティオ プロ」だ。同商品は「ジャスティオ プロ」の販売プログラムに賛同した販売店のみの取り扱いとなる。「販売パートナー様との連携強化を図り、2012年3月までに100社に増やしたい」と、三島取締役は積極的なチャネル開拓に動く方針だ。

 ビジネスセグメント別商品群を充実する一方で、販売チャネルの強化にも取り組む同社。「5年後に確固たる地位を築く」大きな一歩を踏み出した。

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外部リンク

ブラザー販売=http://www.brother.co.jp/