Special Issue
<IT業界の主要各社が展開する“次の一手”>佳報(上海)信息技術有限公司(JBCN上海) 事業基盤を増強し中国攻略に本腰
2011/10/06 19:55
週刊BCN 2011年10月17日vol.1403掲載
2013年度までの中期計画
海外売上高を100億円に
森浩二 董事 総経理 |
08年に中国子会社である捷報(大連)信息技術有限公司(JBCN大連)を大連市に設立し、09年には佳報(上海)信息技術有限公司(JBCN上海)を構えた。昨年は広州に支店を、今年には北京事務所を開設し、着々と事業基盤を整えている。4拠点で総勢約50人のメンバーを揃え、中国市場の開拓に邁進している。
中国市場での成功に向けてカギを握る人物が、JBCN上海の森浩二・董事 総経理である。日本IBMでSMB向け事業部門の要職を務めた後、昨年、JBCCに転籍。今年4月から中国に赴任して、7月から現職を務めている。
森董事 総経理は、今後の方針についてこう話している。「中国に進出した日系企業を軸にビジネス展開しているが、中長期的にみれば、それだけでは難しい。日本企業の中国進出は今は勢いがあるが楽観視できない。中国資本の現地企業をいかにユーザーとして獲得するかがカギを握る」。
戦略は日系+中国企業
現地企業開拓がカギに
日系のユーザー企業向けビジネスでは、上海市内だけでも、すでに30社以上のユーザー企業を獲得している。日本で取引があるユーザー企業の中国法人であったり、日本では取引がないが、中国で初めて受注したユーザー企業であったりと、さまざまだ。いずれのケースも、JBグループの日本のSI実績や老舗SIerというブランド力が生きている。順調にユーザー企業の数を伸ばしており、「営業力強化による新規顧客開拓と、既存顧客への追加提案を図る」(森董事 総経理)ことで、成長させる。一方で、IBM中国、レノボのみならず現地のビジネスパートナーとの協業を積極的に進めている。拡くアライアンスを組むことでJBグループの認知度を高めて、ユーザー企業に信頼を与え案件獲得に結びつける。すでにIBM中国法人とは、JBCN上海との合同セミナーの開催などで連携しており、強い関係を着々と築いている。
そのうえで、JBグループの各会社のソリューションを総合提案する。SIerのJBCC、製造業向けERPパッケージメーカーのリード・レックス、ITサービス提供のJBサービスなど、多種多様な企業で形成されているのがJBグループ。それだけに多様なニーズに応えられる。この強みを、中国でも活かす考えだ。森董事 総経理は、「すでに(中国市場でのニーズに応えられるだけの)商材は揃っているという感触を得ている」と話し、JBグループの製品・サービスに自信をもっている。
また、中国企業の獲得に向けて、森董事 総経理がもう一つ強化しようとしているポイントが、中国人の管理職採用・育成だ。「中国企業への提案には、中国企業の商慣習を知り、言葉の壁もない中国人スタッフが欠かせない。その人員を束ねる人間もやはり、中国人が適している」という理由からだ。上海には5人の営業スタッフがいるが、営業担当者の増員を計画しており、中国での現地採用で人員を増強する方針だ。
森董事 総経理は、こうした戦略とは別に、中期的に必要な施策として、M&A(企業の買収・合併)を含めた資本提携も考えている。「中国市場には、クラウド、とくにSaaS型サービスは、日本以上に適している印象を受けている。場合によっては、中国市場で強いSaaS型サービスベンダーと資本提携まで踏み込んだ協業体制を確立することも検討していくつもりだ」。
国内SI市場では有力なITベンダーとして、その地位を確立したJBグループ。しかし、それに甘んじることなく、中国という巨大マーケットを軸に海外でも存在感を示そうとチャレンジしている。今後も、攻めの姿勢で中国市場を攻略しようとする意気込みを感じさせる挑戦者だ。
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