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東芝ソリューション グローバル進出に本腰 中国巨大市場へ大きな一歩

2011/09/29 19:55

週刊BCN 2011年09月26日vol.1400掲載

 大手SIerの東芝ソリューション(河井信三社長)は、グローバル進出を本格化させている。この第一弾として海外でのビジネスパートナーに選んだのが中国有力SIerの東軟集団(劉積仁董事長兼CEO)だ。オフショアソフト開発などで15年余りの長きにわたって協業関係を築いてきた両社は今年7月、急成長を続ける中国市場をターゲットとする合弁会社を中国東北地区の瀋陽市に立ち上げた。ここを拠点に中国全国の顧客に向けたITソリューションサービスを提供する。

瀋陽東芝東軟情報システム社
総経理 薮内正彦総経理
 成長著しいアジア新興国市場の重要性は、日系企業にとって日増しに高まっている。アジア進出に拍車をかけるユーザー企業は、日本と同様の高品質なITソリューションを求めており、東芝ソリューションはこうしたニーズに応えるための体制のさらなる強化に努めている。この第一弾として中国最有力SIerの1社である東軟集団と協業して、中国全土で高品質なITソリューションを提供する体制を構築した。

 東芝ソリューションと東軟集団は、15年余りにわたって中国におけるオフショアソフト開発を通じて信頼関係を築いてきた仲だ。東軟集団の東芝グループ向けのソフト開発体制はすでに1000人を超えており、社会インフラから組み込みソフトに至るまで、およそ1500案件以上の幅広い開発実績を誇る。名実ともに最有力のビジネスパートナーである東軟集団とともに、この7月に立ち上げた合弁会社は瀋陽東芝東軟情報システム社。同社のトップに就任した薮内正彦総経理は、「中国のITソリューション事業を展開するための合弁会社」と位置づけ、中国市場へのコミットをより明確にする。

 中国は広い国土に巨大都市がブロックごとに存在する。東芝ソリューションは東軟集団の中国を八つの地区に分けた営業・開発拠点の約1000人の営業・サポート担当と連携。さらに東軟集団が、北京や上海、瀋陽、広州の四つの主要都市圏で新規顧客の開拓を担う部門とも連携する。サポートサービスにおいても東軟集団の中国全域をカバーする約40か所の拠点との連携により、ユーザー企業システムの安定稼働を支えていく。

 瀋陽東芝東軟情報システム社は、中国で事業展開する日系企業や、日本向けのBPOやクラウドサービス、中国地場の有力顧客、また日系以外の外資系企業顧客などに対してITソリューションの提供を行っていく。東芝ソリューションと東軟集団が長年蓄積してきた日中双方のシステム構築ノウハウを存分に生かし、「中国国内でも高品質なITソリューションを提供する」(瀋陽東芝東軟情報システム社の薮内総経理)ことでビジネスを伸ばしていく方針だ。

<東芝ソリューション>
上質なサービスを中国で提供


東芝ソリューション
社長 河井信三
 中国市場に対するコミットは、東芝ソリューションのグローバル進出の第一歩である。ユーザー企業は、アジア新興国への進出を拡大しており、当社はユーザー企業とともに中国をはじめとしてASEANやインドなどにもサービス提供地域を順次拡大させていく。

 当社の中国法人で東軟集団とともに立ち上げた瀋陽東芝東軟情報システム社では、両社のノウハウや人的資源、中国全土に張り巡らせた営業・サポート網をフルに活用することで、上質なサービスを中国で提供する。アジア新興国にしっかり根を張り、グローバルビジネスを迅速に立ち上げるつもりだ。(談)


<東軟集団>
中国で新しい市場を創出する


東軟集団
董事長兼CEO 劉積仁
 東軟集団は設立以来の20年余りにわたって、日系企業と深い関係にある。東芝ソリューションとのビジネスは15年を超え、今回の合弁会社の瀋陽東芝東軟情報システム社では、これまで蓄積してきたノウハウを中国全土の顧客企業に展開。中国で新しい市場をともに創出すること目指す。

 当社の直近の社員数は1万8000人に増え、年間20%近い水準で売り上げを伸ばしている。当社の中国全土の拠点と優秀な営業・SE、東芝ソリューションの技術力を組み合わせることで、高品質なITサービスで顧客満足度を高めていく。(談)
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外部リンク

東芝ソリューション=http://www.toshiba-sol.co.jp/