Special Issue
<SMB市場攻略 特集>変貌する中堅・中小企業のIT投資
2011/07/28 19:56
週刊BCN 2011年07月25日vol.1392掲載
日立情報システムズ
「MINONARUKI」を本格的に立ち上げ
有力ISVと連携し、業務アプリ300種類へ
大手SIerの日立情報システムズと日立電子サービスは、SaaS/クラウドサービスのeマーケットプレース「MINONARUKI」を本格的に立ち上げた。独立系ソフト開発ベンダー(ISV)の協力を得ることで、業務アプリケーションの品揃えを向こう1年で300種類ほどに増やす。中小企業ユーザーをメインターゲットとし、クラウド基盤(業務アプリケーションを実行するインフラ)は日立情報システムズが提供する。中小企業向け業務アプリケーション販売の有力販路として期待が高まっている。 2万~3万社のユーザー獲得目指す
ネットワークサービス事業部 ネットワーク事業推進本部 新事業推進センタ センタ長 山野浩 氏 |
日立情報システムズはこれまで、データセンタや仮想化技術を活用したクラウドサービスの提供、SaaSの課金・請求基盤の開発、Webマーケティングなどに取り組んできた。これらの知識・ノウハウを活用し、「ユーザーにとっても、パートナーにとってもWin-Winな関係になれるマーケットプレースを実現できる」(日立情報システムズの山野浩・ネットワークサービス事業部ネットワーク事業推進本部新事業推進センタ長)と判断。そこで、多種多様なサービスの中から、自社に適したSaaS/クラウドをセルフで導入可能な、オープンクラウドマーケットプレース「MINONARUKI」を今年5月に本格的に立ち上げた。
ISVのクラウド対応を全面支援
マーケットプレースを一段と活性化するには、業務アプリケーションの品揃えを増やすことが欠かせない。直近では、「Microsoft Office 2010」や「統合業務サービスSuperStream-NX SaaS対応版」、個別受注型生産管理パッケージ「TENSUITE Sシリーズ」など70種類近い業務アプリーションを揃えた。日立グループはもちろんのこと、今後は「有力ISVの業務アプリケーションの品揃えを重点的に増やしていきたい」(同)と、多様なユーザーニーズの獲得に力を入れる。
ISV側にしてみると、「MINONARUKI」のSaaS/クラウド基盤を活用できる利点がある。IT機器やネットワークのキャパシティの大きさだけでなく、課金・請求システムも併せて利用できる点も見過ごせない。ISVが「MINONARUKI」を利用するに当たっては、「マーケットプレース」のみを利用する場合や、「課金・請求・収納」や「SaaS/クラウド基盤」をセットで利用するケースなどいくつかに分かれる。また、自社製品のSaaS化が困難なISVにとっては、日立情報システムズが提供するリソースオンデマンドサービス「BusinessStage ROD」や中小企業向けクラウドサービス「Dougubako」のデスクトップ仮想化、アプリケーション仮想化技術を活用することで、気軽に「MINONARUKI」を通じて業務アプリケーションを販売・提供できる。
日立情報システムズでは、「(ISVには)要望に合わせてMINONARUKIの機能を活用してもらいたい」(同)と、対応は柔軟だ。また、ISV自らIT機器を所有するケースに対応するためのサービスも別途用意している。ISVは、ビジネスの成長に合わせて活用方法を切り替えることで、最小限のリスクで大きなリターンを得やすくなる。
「MINONARUKI」を通じた業務アプリケーションの販売に当たっては、中小企業と接点が多い事務機系の販売会社やITコーディネータ、ソフト開発ベンダーなどの販売パートナーも募集する予定だ。メールやグループウェア、会計ソフトなどのSaaS/クラウド化は比較的進んでいるものの、販売や生産、在庫管理など基幹系に近い領域は依然としてレガシーシステムが多く残る。山野センタ長は、「販売パートナーやISVと連携し、MINONARUKIをより一層オープンで活気あるマーケットプレースに進化させ、クラウドサービスの利用拡大を全力でサポートしたい」としており、基幹系も含め、高まるSaaS/クラウド化の需要に積極的に応えていく方針だ。
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