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闊利達(上海)有限公司(クオリティグループ) 黒字化を達成、次の目標は1000社 中国現地企業への拡販に強い意欲
2011/07/28 19:55
週刊BCN 2011年07月25日vol.1392掲載
10年ほど前に中国進出
日本と異なるPRが奏功
クオリティグループは、中核事業会社でソフト販売のクオリティソフト、ソフト開発のエスアールアイ、一次産業をITで支援するクオリティライフ、クオリティグループ全体のマーケティングを行なうクオリティのほか、米国シアトルと韓国ソウル、中国上海市に設置する海外法人3社でグループを形成する。 クオリティグループの中国事業会社である闊利達(上海)有限公司の総経理であり、クオリティの常務取締役を務める飯島邦夫氏 |
中国では、02年10月に闊利達(上海)有限公司を設立した後、3年間はオフショア開発拠点として活用。その後、06年からは中国をマーケットとして捉えて販売活動を開始した。08年8月には、国内市場でIT資産管理ソフトのデファクトスタンダードといえる「QAW/QND Plus」で、英語/中国語に対応した国際対応版を発表し、中国での事業基盤を強固にした。クオリティの常務取締役で、闊利達(上海)有限公司の総経理を務める飯島邦夫氏は、08年から中国事業の陣頭指揮を執っている。クオリティの常務を務めながら、2か月に1回、約2週間の頻度で訪中し、中国事業を統括している。
飯島総経理は、「日本では『セキュリティ統制』をキーワードに、『QAW/QND Plus』の販売本数を伸ばしてきた。中国でも同様にセキュリティ対策ツールとしてマーケティング活動を展開したが、中国企業はセキュリティに対する意識が薄く、日本とは異なるPRが必要だと判断した」と、08年当時を振り返る。飯島総経理は、現地の事情を観察し続けて、中国では業務中にチャットやゲームなどのアプリケーションで遊んだり、動画ファイルをダウンロードしている従業員が70%以上を占めることに着眼。業務外でのパソコン利用を抑制するためのツールとしてPRする戦略に転換した。同時に進めていた日本のIT企業との協業による代理店網も整備して、順調にユーザ数を伸ばした。約100社のユーザを獲得して、2009年度(09年12月期)に黒字化を果たしている。従業員数も約25人にまで増員した。
中国企業の獲得に向けて
現地スタッフに任せる体制を
黒字化を果たした闊利達(上海)有限公司は、次の成長に向けて新たな策を打っている。それが、中国現地の企業に向けた販売強化だ。 これまで獲得したユーザ企業は、そのほとんどが日本企業の中国現地法人で、今後ユーザ企業数を増やするためには、「中国企業への拡販が必要」と飯島総経理は考えている。加えて、「中国現地の企業に対して、販売本数を積み上げなければ、たとえ黒字化していても、本当に成功しているとはいえない」ともみており、中国のローカル企業への販売に強い意気込みを示している。
中国のローカル企業への販売のために、製品開発・販売の両面で抜本的に戦略を見直した。これまで中国市場で販売してきた製品は、クオリティが日本向けに開発した製品を、中国語にローカライズ化したもの。だが、「中国企業に適した製品は、中国人が中国で開発するのが最適」(飯島総経理)という考えで、闊利達(上海)有限公司が中国人開発者の手で独自に開発する体制を敷いた。
2010年7月に、日本の中国法人向け製品を販売する部門「国際事業部」と、中国企業を対象とした製品を開発・販売する部隊「国内事業部」に組織を分けている。飯島総経理は、「国内事業部には、基本的に私を含めて日本人は一切口を出さない。製品開発からマーケティング、営業まで、すべての業務を中国人に任せている」と割り切っている。今年に入って、中国オリジナルのツールをリリースしており、すでに中国企業からの受注を獲得しており、出足は好調という。
飯島総経理は、今後の目標について、「早期に1000社のユーザ獲得を達成する。また、合計ユーザ数のうち、中国のユーザ企業が占める割合についても重視する。今年度には、中国企業のユーザ数が、日本の中国法人のユーザ数を上回るようにしたい」と話している。
他社に先駆けて巨大マーケットに進出し、すでに黒字化も達成している闊利達(上海)有限公司。中国企業の獲得という新たな成長に向けて舵を切り、その存在感は際立つ。中国のスタッフ主導で開発からマーケティング、販売までを行うというスタイルで活躍する日本のISVとして、今後も目が離せない。
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