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<x86サーバーメーカー座談会 2011>今年度はどう売るのか

2011/06/30 19:56

週刊BCN 2011年06月27日vol.1388掲載


「DR」「事業継続」「節電」
震災後の対策に各社フォーカス


 ――東日本大震災の影響で、ITに対するユーザー企業の考え方も変わってきています。今年度のキーワードを挙げていただくとともに、拡販施策についてお話しください。

 高群(日立製作所) 震災以降、ユーザー企業は、情報システムの安定稼働、ディザスタリカバリ(DR)、節電対策に高い関心を抱いています。それらに応えられるソリューションを、パートナーが容易に提案できるようにします。サーバーだけでなく、ストレージとソフトウェア、サービスを含めたシステム全体の見積もりを、簡単に作成できるツールの提供はその代表例です。さらに、安心を提供する意味でサポートサービスも充実させていきます。「簡単と安心」。それが日立の一つのキーメッセージです。

日本ヒューレット・パッカード(日本HP) 宮本義敬氏
x86サーバー「HP ProLiant」、UNIXサーバー「HP Integrity」、NonStopサーバーも含めたサーバー全般のプランニングを担当している。プロモーションを手がける。
 宮本(日本HP) 今年は「節電」が重要なテーマになります。既存環境でもすぐに実施可能な節電対策、例えばラックの置き方といった知恵から、ダイナミックに節電するためのITソリューションまで、充実したソリューションを提案します。電力を活用するITベンダーとしては積極的に取り組む課題だと考えています。パートナーに向けて製品紹介や提案のコツを伝える「HP Partner ロードショー」を7月21日から全国20か所で開催します。

 小林(日本IBM) 今期と来期は、「節電」と「事業継続計画(BCP)」に力を注ぎます。設定するだけで電力消費を抑えられる方法の解説など、売り上げにつながらない施策から、サーバー統合、仮想化による新規投資で大きな効果を得られる節電方法まで、節電に関するあらゆるソリューションを提案していきます。BCPに関しても同様です。また、仮想化についてもより一層フォーカスします。仮想化は、サーバーだけでなくネットワークやストレージについても応用できる技術ですから、仮想化に関するさまざまなソリューションをサーバーのパートナーに対して提案していくつもりです。

 木口(デル) 当社もBCPとDR、節電がやはりカギです。とくに節電は、上期は重要になるでしょう。デルも、機器の電力消費量を抑制するためのさまざまな情報をウェブサイトで公開しています。ハードだけでなく、「Dell OpenManage」「iDRAC」など、PowerEdgeサーバの運用管理ツールで実現できる節電方法もありますので、そうした点もアピールしていきたいと思います。また、デルの特徴的なストレージ「EqualLogic」「Compellent」やネットワーク製品(PowerConnect)との組み合わせが重要になると考えています。デルはストレージやネットワークも含む仮想化ソリューションをトータルで提案していくつもりです。

シスコシステムズ 末永孝英氏
Ciscoのアーキテクチャカットでチャネルビジネスを進めていくために新しく立ち上がった部署で、チャネルに対してデータセンタービジネス戦略の展開と、販売促進を担当する。
 末永(シスコ) キーワードは、皆さんと同じで仮想化とDR。さらにシスコの目指すDRはマルチデータセンターサイトを見据えています。仮想化については、シスコの強みであるネットワークとサーバーを組み合わせた仮想化提案を進め、差別化を図ります。また、震災における事業継続では、ネットワーク、サーバー、ストレージを含んだ仮想化したシステムをシンプルに管理することができるツールが必要になってきます。当社では統合管理ツールを持っており、輪番停電対策への対応も簡単に実施できる、すぐれた管理ツールを持っていると自負しているので、積極的に提案していきます。

 浅賀(NEC) キーワードはほぼ同じですが、NECらしいユニークな製品や施策を考えています。例えば、節電ではサーバー自体の電力消費を抑える機種のラインアップ強化はもちろんですが、外気温40℃でもサーバーの稼働を保証する機種などを投入していきます。通常は35℃ですが、40℃になればエアコンの電力も抑えられます。こうした、少し見方を変えた節電モデルを拡販していきます。仮想化については、物理システムから仮想システムに容易に移行するために必要なサイジングツールやSI作業の手順書などで、パートナーが仮想化案件を獲得しやすいように、さらに支援内容を充実させるつもりです。また、お客様のシステム提案をする際に、パートナーが構成や仕様を迷った場合にサポートする「構成支援センター」があるのですが、まだ利用頂いていないパートナーもいらっしゃるので、どんどん使っていただき、パートナーの案件獲得と、商談のスピードアップに貢献したいと考えています。

独自技術による差異化はまだ可能
認知度向上、シェアアップを狙う


 ――サーバーの基幹部品は各社ともに同じで、差異化がみえにくい状況です。自社のサーバーで今、訴えたい製品や技術は何か。改めて、代表的なものを挙げてください。

 高群(日立製作所) SMB向けでは、「HA8000/SS10」というA4ファイルサイズの静音スリムサーバーが特徴的な製品で、大規模なシステム向けでは引き続き「BladeSymphony」が強みです。また、日立のものづくり技術を活かしたロングライフサポートサービスでは、通常5年間が一般的な製品保守を、「BladeSymphony」で最長10年、「HA8000」のラックマウントサーバでは最長7年を実現しています。さらに独自の冷却技術「サーモサイフォン」による消費電力の低減や、製品と保守を一体化した「おまかせ安心モデル」も強みです。

 宮本(日本HP) SMB向けには、昨年度から好評のオフィスに最適な「HP ProLiantMicroServer」。オフィス環境に設置できるよう21.4dBAといった木の葉が擦り合うレベルの静音設計を実現しました。クラウドを構築する大規模企業、DC事業者向けにはシステムの仮想化・自動化を実現する「HP BladeSystem Matrix」を提供します。サーバーの製品・技術にも特長はありますが、サーバーだけでなく、PC、プリンター、ワークステーション、ストレージ、ネットワークといったハードウェアをすべて提供できるのが強みです。また、最近は特別な機能を入れたモデルが欲しいという要望や、2~3日以内に100台もってきてほしいといった厳しい要求をされることがあります。これらの要求に日本HPは東京昭島の工場と世界の工場が連携して迅速に応える体制を持っています。世界トップシェアの生産・販売体制をもつことが日本HPの最大の強みです。

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