Special Issue
勢いづくDCビジネス “所有から利用へ”の流れが強まる
2011/05/30 19:56
週刊BCN 2011年05月30日vol.1384掲載
エーティーワークス
DCの省電力に威力 高効率なサーバー開発に強み
辻正博 取締役C.T.O. プロダクト開発本部 本部長 |
9500台の運用実績が裏付け
エーティーワークスのサーバー製品で、まず目につくのが独自の形状だ。サーバーラック1Uの半分、または4分の1、または5Uサイズで縦に最大20台並べるブレードタイプのものなど、さまざまな形状の製品を開発している。DC事業者やSIer、エンドユーザーが求める形状や性能、冷却効率に基づいて開発してきた結果、使い手や売り手のかゆいところに手が届く、他社にはないユニークな製品を生み出してきた。
技術的なバックボーンは、リンク(岡田元治社長)と1996年から共同運営するホスティング/クラウドサービス「at+link」での実績だ。エーティーワークスは、現在at+linkで運用する約9500台のサーバーを技術面で支えており、省スペース・省電力に特化したラックマウントサーバ製品の企画・開発・製造を行っている。
「at+link」ユーザーのリピート率は86%と驚異的な高さであり、この顧客満足度の源泉となっているのが、エーティーワークスの技術力に裏付けられたサービスの安定性と信頼性である。
6月に発売する予定の「Quad Beagle ZGシリーズ」は、4分の1Uの省スペースサイズで、平均電力消費量を1台あたり50W未満に抑えた。ラック1Uのスペースに4台収容でき、集積度を高めることができる。共用レンタルサーバーや専用サーバーなどのDCサービスでは、「複数台の小型サーバーを組み合わせたほうが効率のいいケースが多くある」(エーティーワークスの辻正博取締役C.T.O.プロダクト開発本部長)と、at+linkで培った経験が生きる。サーバーは、その特性上、一般的に24時間電源を切ることができない。したがって、低電力消費のサーバーは、DC全体の省電力に大いに貢献することとなるわけだ。
排熱や仮想化で高い優位性
サーバーの冷却方式は、通常、前面から吸気して背面から排気するという仕組みをとっている。エーティーワークスのQuad Beagle ZGシリーズや、ラック奥行きの2分の1Uサイズの「radserv ZG1シリーズ」は、図で示した通り、前面のサーバーの排気を吸い込んで冷却する。電力消費が小さいので、後ろ側に配置されたサーバーも「通常のDC室内の温度で十分に冷却できる」(同)からだ。同時に、排熱を上部へ吹き上げるタイプのDC用に、後ろ側に配置するサーバーの冷却ファンを逆転させ、ラック中央部分から排熱することも可能にしている。
サーバー統合による省電力化に威力を発揮する仮想化への対応にも力を入れる。仮想化システムでは、1台の物理サーバー上に複数台の仮想マシン(VM)を稼働させるため、ハードウェア障害の発生は、すなわち複数VMのダウンにつながりかねない。Quad Beagle ZG、radserv ZG1の両シリーズは、LANポートを標準で4個備えることでシステムの冗長構成を行いやすくしている。
例えば、ウェブサーバーでインターネットへ接続するスイッチ→サーバー本体→データベース(DB)とLANケーブルでつなぐとする。4ポートあればスイッチ2台、DB2台と接続することで二重化を図ることができるというわけだ。HDD回りでは、内蔵HDDをRAID構成にしたり、外部ストレージからシステム起動させることで、高い耐久性やメインテナンス性をもたせた。遠隔保守用のIPMIも標準で備える。
メモリを多く消費する仮想化システムの要求に応えるため、メモリ搭載量も大幅に増やした。上位機種の「Stingray WXシリーズ」では、最大192GBまで搭載。同機種は1Uに2台設置できるため、1Uあたりのメモリ量は384GBと倍増する。省スペースならではの高集積化で、1Uあたりのメモリ量を増やす仕組みだ。
独自の形状設計や低消費電力、ITリソースを有効活用する仮想化への対応を積極的に進めるエーティーワークスのサーバー製品は、DCの電力消費削減の力強い味方となる。
radserv ZG1シリーズ Core i5/7 CPU搭載 奥行き2分の1Uサイズ スタンダードモデル |
Stingray WXシリーズ 6 Core Xeon Dual CPU ハイパフォーマンスタイプ 幅2分の1Uサイズ |
Quad Beagle ZGシリーズ Core i5/7 CPU搭載 省スペース4分の1Uサイズ |
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