Special Issue

EMCジャパンの新たな挑戦 流通販社とともにSMBを攻略

2011/04/28 19:56

週刊BCN 2011年04月25日vol.1380掲載

SMB狙った戦略機種 満を持して投入
パートナープログラムも刷新

 エンタープライズ市場を中心にストレージ製品を拡販してきたEMCジャパン。同社は2011年2月に、ミッドレンジ市場とエントリー市場をメインターゲットとする「EMC VNXファミリ」をリリースした。これは、エンタープライズで培ったノウハウを投入して、SANとNASともに自動階層化機能を備えたユニファイド・ストレージだ。「シンプル」「効率的」「お買い得」をキーワードに開発し、ユーザー自身で簡単に管理・運用できるツール類も用意。「VNXファミリ」で、高信頼・高可用性を実現しながら、ファイルサーバーやデータベース、メールなど中堅・中小企業(SMB)が求めるあらゆるストレージニーズに対応しようとしている。

大規模企業の部門や拠点と
中堅・中小企業をターゲットに


中山泰宏
執行役員パートナー事業本部長
 「データは減ることがない」。これは情報システムに携わる多くの人々が実感していることだ。実際に、ファイル数が増加していることに加え、一つひとつのファイル自体の大容量化も進んでいる。IT調査会社のデータを見ても、ここ数年、ストレージ市場が伸び続けていることが分かる。この動向は、エンタープライズはもちろん、ミッドレンジ、エントリーなどでも同様の傾向がある。情報システムで、ストレージは確実に重要視され始めているのだ。

 EMCジャパンは、ストレージ専業ベンダーとして知られており、ワールドワイドでトップクラスのシェアを誇る。エンタープライズ、ミッドレンジ、エントリーそれぞれのストレージ市場で強みを発揮している同社だが、国内においては、エンタープライズを中心に展開してきた。

 国内における、ミッドレンジおよびエントリー市場を開拓すべく、EMCジャパンは2011年2月、中堅・中小企業(SMB)をメインターゲットとした「EMC VNXファミリ」を発表した。シンプル、効率的、お買い得をキーワードにした製品で、エンタープライズ市場で培った信頼性の高いストレージを、より簡単に導入・管理できるようにしている。価格も低く抑えられており「VNXシリーズ」(VNX5300)の最小構成は212万円から、「VNXeシリーズ」(VNX3100)は100万円を切る価格帯で販売する。ここからも、ミッドレンジ、エントリー市場を攻略しようとする同社の意気込みが伝わってくる。

 「国内のストレージ市場はシステムと一緒に提案するケースが多く、ワールドワイドと比べても環境が大きく異なります。そのため、エンタープライズを中心に展開してきました。しかし、『VNXファミリ』の提供を機に、ミッドレンジとエントリー市場の開拓を積極的に行っていきます」と、中山泰宏・執行役員パートナー事業本部事業本部長は語る。

ディストリビュータを支援
ビジネスチャンスも広がる


 ミッドレンジ、エントリー市場を開拓するために、パートナーの拡充も図る。これまで、大規模のSIerを中心としたパートナーで展開してきたが、ディストリビュータとアライアンス体制を強め、拡販を目指す。

 「これからは、ディストリビュータ様との関係づくりが重要だと思っています。販売支援のため、各種トレーニングやそれに伴うパートナープログラムもご用意しました。また、保守をサービスメニューとしてパッケージしたり、リセラー様向けのプログラムも拡充しています」と中山執行役員は語る。

 トレーニングについてはe-ラーニングを採用し、いつでもどこでも簡単に訓練できる環境を整えた。またパートナープログラムでは、パートナー企業の支援を従来以上に強められるよう改変され、パートナー企業の投資が回収できるうえ、その投資がパートナー企業の強みとして活用できるものとなっている。

 また、保守については自営保守も可能だが、サービスメニューとして別途用意することで、自営保守できないパートナーにとっても手離れのいい商材として活用できるようになった。VNXファミリの製品の魅力はもちろん、パートナー企業にとっても、VNXファミリを扱うことで、ビジネスチャンスが広がるのだ。

 パートナーとともに、新規市場の開拓を行うEMCジャパン。ミッドレンジやエントリーという市場にもブランドの認知を広げ、さらにアクセルを踏んでいく。今後の展開が非常に楽しみだ。


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