「信頼できる」「価格がリーズナブル」「使いやすい」の三つをコンセプトに、コストパフォーマンスにすぐれたスイッチやNAS（ネットワーク・アタッチド・ストレージ）を展開するネットワーク機器メーカー、ネットギアジャパン（杉田哲也社長）。米国に本社を置く同社は、中小・中堅企業向けの製品展開を得意としており、日本市場での事業拡大を順調に推し進めている。

　杉田社長は、「去年から、スイッチに加え、NAS製品がよく売れ始めたおかげで、グローバルでの売上げを10億ドルに伸ばすことができた」と直近の成長ぶりを語る。さらに、2011年度は、日本で30-35％の売上げ拡大を目標に掲げ、ネットワーク業界での存在感を強化していくという。杉田社長がその戦略のカギとするのは、ローエンドからハイエンドまで、幅広い需要に対応した製品ラインアップの拡充だ。

中堅企業や大学、データセンターに最適

　ラインアップ拡充の第1弾として、今年の1月に、全ポート10ギガビットに対応し、仮想化に最適な24ポートL2＋スタッカブルインテリジェントスイッチ「XSM7224S」を発売した。同社は、高性能なネットワーク環境を提供する高速スイッチである「XSM7224S」を、今後の事業拡大に向けた主力商材として位置づけている。杉田社長は、「『XSM7224S』は、モバイル端末の社内利用などでトラフィック量が急増していることから、ネットワークの効率性を上げたいというユーザー企業に最適なパフォーマンスを実現している」として、従業員が500人前後の中規模企業を一つの重要なターゲットに据えている。

　同社は「XSM7224S」の開発にあたって、高いITスキルをもつユーザーでなくても、一般の人でも簡単に使えることを重視しており、ユーザーインタフェース（UI）の設定などですぐれた操作性を実現した。使いやすさを武器として、「XSM7224S」を一般企業にだけでなく、大学や研究所といった文教市場にも積極的に展開していく方針だ。杉田社長は、「『XSM7224S』はネットワークの高い専門知識が不要なので、例えば、ネットワーク製品に詳しくない理系の先生でも簡単に自分で使うことができる」と利点をアピールする。

　「XSM7224S」は、中堅企業や文教市場に加え、クラウドコンピューティングの普及によって、急速に数が増えつつあるデータセンター（DC）での使用にも最適化した。10Gイーサネット用SFP＋スロットを24基装備し、1.59μ秒のレイテンシ値を実現しているので、仮想化の進展によってトラフィック量が増大するデータセンターにおいて、ハイパフォーマンスで効率性のよいネットワーク環境を構築することができる。全24スロットにスタック機能を備え、スタックトポロジーを組めば、ボトルネックが発生しない帯域幅80Gbpsのネットワーク環境構築が可能となる。

　きょう体の設計もDCのニーズを配慮して、常に低遅延でのイーサネット通信ができるカットスルー方式を採用している。前面吸気/背面排気の冷却設計はサーバーと同じエアフローを実現し、同じラックに収容しても、ラック全体の冷却効率を損なうことがない。

　また、L3（レイヤ3）のアップグレードライセンスを追加購入すれば、IPv4/IPv6のダイナミックルーティングなどのL3機能が利用できるなど、アップグレードライセンスや、10G SFP＋モジュールなどの豊富なオプション製品を用意している。このほか、同社の10ギガビット対応のネットワークストレージ「ReadyNAS4200」との組み合わせに対応している。

販社の利益率が高い製品群、パートナー支援も拡充

　ネットギアジャパンは、「XSM7224S」の展開にあたって、パートナー戦略の強化に取り組んでいる。既存の1次販売店の大手ディストリビュータとの関係を深めていくとともに、システムインテグレータ（SIer）をはじめとした2次販売店の新規獲得を目指していくという。

　杉田社長は、「当社は販社の利益率が高い製品をたくさんもっているので、ボリュームメリットを販社に訴求することによって、他社との差異化を図る」としている。さらに、今年の後半をめどに、パートナープログラムを立ち上げ、トレーニングなどのかたちでシステムエンジニア（SE）の技術サポートを強めるなど、パートナー向けの支援を拡充していく。

　杉田社長は、「ネットワーク市場ではコストパフォーマンスが重視されるようになったので、手頃な価格を強みとしている当社は存在感が出てくる。これからも、『XSM7224S』のようにクラウド/仮想化のソリューションに活用できるスマートなスイッチ製品を積極的に投入して、DCを含めて、ミッドレンジの市場を攻めていきたい」と意気込む。