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<特集 IPv6ソリューション>IPv6の段階移行に最適なトランスレータ IPv4枯渇に向け販社と共同で拡販
2011/03/10 19:55
週刊BCN 2011年03月07日vol.1373掲載
共存環境の構築が急務
マーケティング コミュニケーション部課長 小林重臣 氏 |
ディーリンクジャパンが昨年3月、横河電機と共同開発して製品化したIPv4/IPv6トランスレータ「DFL-1660/IT」「DFL-2560/IT」は、IPv6に対応する新しい機器を一気に購入することなく、既存のIPv4資産を使用したまま、ネットワーク間にプラグインするだけでIPv6への環境構築ができるというものだ。
小林重臣・マーケティングコミュニケーション部課長は、「トランスレータを導入すれば、IPv4とIPv6のネットワークが混在した環境下でも、IPv6とIPv4をシームレスに接続できる」と課題解決の方法を説明する。これにより、サーバーやルータ、クライアントPCなどの既存資産を、各機器のリプレース時期に応じ段階的に移行することができるというわけだ。
IPv4環境をIPv6環境へ移行する方法として、「デュアルスタック」を検討するユーザーは多い。この方法は、ルータやサーバーなどが、IPv4とIPv6のIPアドレスをそれぞれもったまま二つのプロトコルを混在化することができる。だが、同じプロトコル同士の機器しか通信できないという課題がある。
これに対して、ディーリンクジャパンが提供するトランスレータは、前述の通り、導入が容易であるほか、互換性のないIPv4機器とIPv6機器の相互通信ができ、「個々の既存資産がリプレース時期を迎えた段階で、置き換えればよく、IPv4とIPv6を並行運用しながらスムーズに移行作業を行える」と、小林課長は強調する。
大塚商会らと販売展開を開始
ディーリンクジャパンのトランスレータを販売することは、「パートナーにとっても、長く顧客を囲い込むためのツールとなる。提案段階の“種まき”としても、顧客に訴求することができるソリューションだ」(小林課長)と、段階的な移行を進めるなかで、他の機器を継続的に販売する機会が生まれるというわけだ。大塚商会は、ディーリンクジャパンが提案するトランスレータに注目し、今年1月下旬に「IPv6/IPv4相互通信パック」と呼ぶサービスを開始した。同社とディーリンクジャパン、日商エレクトロニクスの3社がトランスレータ「DFL-1660/IT」の設置・保守など導入支援サービスを展開する。今年4月には、各インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)でIPv6回線サービスが始まることに備え、3社による機器と設置・保守をワンパッケージにした。小林課長は「当社のトランスレータは、IPv6ネットワークの段階的な拡張にあわせて最大10台までのトランスレータで負荷分散をすることができる。ネットワーク環境に応じて並列にトランスレータを追加でき、処理能力を段階的に拡張できる」と話す。また、ハイエンド機の「DFL-2560/IT」は、2重化機能にも対応し、最大で同時50万セッションの規模でも活用できる。
小林課長は、「デュアルスタックやNAT(IPアドレスを複数コンピュータで共有する技術)を多用することで管理コストが増大することに頭を悩ませる企業にとっては、最適なソリューションとなる」と、導入の容易さや低コスト、段階的な移行が可能であることを訴求し、早期の市場拡大を目指す。
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