Special Issue

<NAS特集>エレコム/ロジテック セキュアなデータ蓄積は新NASにお任せ

2011/02/17 19:55

週刊BCN 2011年02月14日vol.1370掲載

 PC周辺機器やAV周辺機器メーカーのエレコムは、2010年12月、同社グループ会社ロジテックのNAS(Network Attached Storage)製品群に、業界でいち早く「Windows Storage Server 2008 R2」を搭載して64ビットに対応するなど、従来製品に比べて大幅にパワーアップしたキューブ型の新NASシリーズを発売した。一般企業や学校などでファイルサーバーを増強したり、サーバー入れ替え時に提案できる大容量・高速で、業界で唯一、ディスク暗号化機能を搭載し、ウイルス対策を施せるNASとして、パートナー経由での拡販を加速する。同社は新シリーズを「セキュア・ストレージー・サーバー」と称し、より高速で安全に重要データを蓄積するニーズのある幅広い層へ売り込む。

LSV-5S4CW Series


Windows Storage Server 2008 R2搭載で大幅機能アップ

64ビット対応、大幅パワーアップ

ロジテック
NASチーム
西田成孝 氏
 ロジテックの新NASシリーズ「LSV-5S4CW series」は、「Windows Storage Server 2008 R2」を搭載し、いち早く市場へ投入したキューブ型NAS製品だ。価格は、容量別に2TB(17万8000円・税別)、4TB(21万8000円・税別)、8TB(27万8000円・税別)と安価で、それぞれに「ソフトウェアRAID5システム」を搭載。故障発生時に、動作を停止することなくディスク交換できるホットスワップを搭載し、RAID構成を変更することも可能だ。

 Windows Serverの場合、接続するクライアント数に応じてCAL(Client Access License)が必要だが、ストレージ特化のOS「Windows Storage Server 2008 R2」を使っているため、CALが不要となる。また、Windows OSを搭載しているため、「Active Directory」のユーザー情報を利用したアクセス制限の管理が可能だ。

 エレコムはすでに「ソフトウェアRAID5システム」を搭載した「Windows Storage Server 2003 R2」対応のキューブ型NAS「LSV-5S4C series」を販売して大ヒットさせているが、「メモリ容量や処理速度のアップ、安全性の強化などの要望を受け、マイクロソフトがWindows Storage Server 2008 R2を出すと同時に、パワーアップしたNAS新製品を出した」(エレコムの山田真也・営業部営業企画課法人営業企画チームチームリーダー)という。


処理速度、Linux版の約57倍

エレコム
営業部営業企画課
法人営業企画チーム
チームリーダー
山田真也 氏
 企業や団体などでの蓄積データが大容量化していることから、NASの需要は増加傾向にある。同クラスのNAS市場は、LinuxOSを搭載した安価製品が大半のシェアを占める。ただ、Linux対応のNASに課題が多いため、エレコム・ロジテックはWindows版に絞った製品戦略を推進している。山田チームリーダーは「Linux版のNASは、安価ではあるが、ファームウェアなどに多くの課題を抱えている。Linux版に対する不安を口にするユーザーも多い」と話す。国内ユーザーは多くがWindowsドメインに参加し、「Active Directory」でユーザー管理を行っているため、セキュリティソフトとの互換性が高いWindowsベースのデータ蓄積を希望していることも理由の一つだ。

 新シリーズ「LSV-5S4CW series」の特徴は、安全性、利便性、高速性、信頼性に分類できる。安全性では、同クラスのNASで業界で唯一、ディスク上のデータを「AES256ビット」で暗号化することが可能だ(2011年3月無償ダウンロード開始予定)。高速性では、メインメモリを従来の1GBから一気に3GBに上げ、処理速度を大幅に改善した。また、利便性ではNASの運用管理を容易にするオリジナルのNAS管理ソフト「Logitecツール」でHDDや電源異常時などのイベントをメール通知したり、電源のオン/オフなどの設定も簡単にできる。さらに、新たに国産メーカーの電源を採用し、安全稼働を担保している。

 ロジテックのベンチマークによれば、「LSV-5S4CW series」のクライアントPCからNASへのデータ転送時間は、「Linux対応のNASに比べて約33~57倍の速さが出せる。サーバーのデータをNASへバックアップする時のデータ転送時間も、約5倍の処理速度を実現している」(ロジテックNASチームの西田成孝氏)といい、Windows Storage Server 2008 R2を搭載したことでCPUが64ビットになり、クロック数が向上したことで高いパフォーマンスを得ることができているという。

 山田チームリーダーは「ユーザーがサーバーにあるデータを管理する際、重要データとそうでないデータを分類し、後者のデータをNASに蓄積することでデータ管理のコスト削減を図ることができる」と、利用用途に応じ同社のNASを使うことで、新たな付加価値を提供できると話す。エレコムのNAS製品は、主にシステムインテグレータ(SIer)が販売しているが、こうした用途提案で従来のサーバーと並行して販売できる。また、同社NAS製品は、Windowsベースのウイルス対策ソフトやバックアップソフトなど多岐にわたるソフトをインストールして利用でき、販売会社の提供形態の幅も広がるという。

 マイクロソフト側のレギュレーション変更によって、同時接続が可能なクライアントが50に制限されたため、ユーザーがこれを超えたクライアントを利用する場合は前シリーズを勧め、新旧シリーズを併売する。

 同社では、新シリーズには前シリーズ以上の販売数を期待する。また、電話サポートの人員も強化し、土曜日の回線対応を強化することにした。製品とサポートを一気に強化したことで、新たな市場開拓が期待できそうだ。
  • 1

関連記事

<NAS(ネットワーク対応HDD>広がるNAS市場 接続機器の多様化で拡大に期待

ALSI、セキュリティUSBメモリ作成ソフトがエレコムのセキュアNASと連携

フォースメディア、台湾QNAP Systemsと代理店契約、NASストレージなど発売

<ロジテック特集>エレコムの営業力とロジテックの技術力がグループシナジーを発揮

マイクロソフトとロジテック、Windows ServerベースのNAS開発で協業