Special Issue
エレコム “ノンPC”周辺機器に手応え
2011/02/03 19:55
週刊BCN 2011年01月31日vol.1368掲載
キーボード部門 カードリーダ部門 USB部門 マウス部門 スピーカ部門 10キーボード部門 PCカメラ部門 ゲームコントローラ部門 携帯オーディオアクセサリ部門 | |
ユーザーにも販売店にも魅力的な製品を
価格競争のなかで商品力を追求スマホ向けキーボードが大ヒット
福良卓二 商品開発部 部長代理 |
福良部長代理は、「今年も多くの部門でトップシェアを獲得できたが、反省点も少なくない。とくに、10年は価格競争がさらに激しくなり、商品力で勝負する当社にとしては不本意だったが、一部商品では対抗措置を取らざるを得なかった」と、熾烈なシェア争いの実状を明かす。
しかし一方でエレコムは、昨年も新しいコンセプトの製品づくりや売り場提案を積極的に展開し、価格ではなく商品力を追求する姿勢を強くアピールしている。それを象徴する製品が、スマートフォンに対応した折りたたみ式Bluetoothキーボード「TK-FBP017BK」だ。昨年8月の発売以来、iPhoneやiPadユーザーはもちろん、Android搭載スマートフォンのユーザーからも大きな注目を集め、一時は品薄になるほどの売れ行きを記録。“スマートフォン向けキーボード”という新たなジャンルを創出し、キーボード部門でのトップ獲得の原動力となった。
福良部長代理は、「携帯電話やスマートフォン向け周辺機器のニーズが高まっていることは感じていたが、このキーボードの開発は大きなチャレンジだった。価格もやや高めになってしまうので、当初は話題づくりと割り切っていたのだが、結果は予想をはるかに上回った。これで、商品力しだいで十分に勝負できることを改めて確信した」と語る。
キーボードに加え、昨年同社が力を注いだ製品がカードリーダーである。カードリーダーの市場も価格競争が激化しているが、そのなかで同社はいち早く高速モデル「MR-A39Hシリーズ」をSDXCカードに対応させ、先進ユーザーのニーズを捉えた。さらに、当初はブラックのみのカラー展開だったが、ユーザー層の広がりを受けてバリエーションを拡大。女性でも手に取りやすい「ホワイト」「シルバー」、そしてかわいらしい顔をデザインした「フェイス」を展開し、幅広いユーザーの獲得に成功している。
ポスト地デジ市場へ
販売店に売り場づくりを提案
キーボード部門 メーカー別販売数量シェア (2010年1~12月) |
カードリーダ部門 メーカー別販売数量シェア (2010年1~12月) |
Valuation 台数、金額とも堅調なキーボード市場。09年後半からワイヤレスモデルの販売台数構成比が徐々に増え始め、10年には安定して3割の水準を維持している。とくに、パソコンだけでなく携帯電話やスマートフォンにも接続できるBluetooth対応製品に注目が集まっている。タッチパネル端末が増加するなかで、らくに長文入力ができる無線接続キーボードは、今後も堅調な需要が期待できる。 (BCNアナリスト・森 英二) |
とくに昨年後半には、液晶テレビ売り場に同社の周辺機器コーナーを設置し、ユーザーの注目を集めた。「11年3月に迎える家電エコポイント制度の終了、7月の地デジ完全移行後は、これまでのように液晶テレビが黙っていても売れていくことはなくなる。『ポスト地デジ』のとき、薄利多売に陥らないためにも、今のうちから液晶テレビと周辺機器を組み合わせたソリューション提案ができるよう、準備する必要があると考えた」と、福良部長代理はその狙いを説明する。
スマートフォン向けキーボードのヒット、そしてテレビ売り場へのコーナー設置と、昨年はPC周辺機器にとどまらない新たな市場開拓に手応えをつかんだエレコム。「今年は、スマートフォン、液晶テレビ、スレートの三つをキーワードに、“ノンPC”の周辺機器事業をさらに強化し、ユーザーにも販売店にも魅力的な製品を提案していく」と福良部長代理は力を込める。
スマートフォンについては、キーボードでの実績をベースに、スマートフォン対応Bluetooth製品の拡販を図る。また、液晶テレビ関連では、さらに多くの販売店への周辺機器コーナー設置を進めていく考えだ。
スレートは、日本ではようやく市場が立ち上がってきた状況だが、福良部長代理は「スレートは、キーボードやケース、バッグ、タッチペン、マウスなど、スマートフォン以上に周辺機器の広がりが期待できる。市場の本格化を見据えながら、ラインアップを充実させたい」と意欲をみせている。
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