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<NEXX特集>オリジナルスキャナで攻勢 ソフトも組み合わせて有効な文書管理を提案

2010/10/14 19:55

週刊BCN 2010年10月11日vol.1353掲載

 画像・映像ソリューションに強いNEXX(ネックス、由利義和社長)は、スキャナを活用した画像処理ソリューションに力を注いでいる。IT機器開発・販売の世界的大手Avisionのスキャナ製品を日本市場で販売。ハードだけでなく、文書管理ソリューションを構成するために必要なソフトも組み合わせて、ユーザー企業やソリューションプロバイダに提供している。プロジェクトによって、発生する個別の要望にも柔軟に応えられる体制を築いていることも特徴だ。NEXXの文書管理ソリューションの強みを、由利義和社長に聞いた。

市場環境は追い風、強まる需要

由利義和 社長
 NEXXは、デジタルサイネージ関連機器やスキャナなど、画像・映像処理製品・システムの開発と販売を得意にするITベンダーで、ハードウェアメーカー大手のAvisonと戦略提携し、同社製品の日本市場での販売を取り仕切っている。Avision製品のOEM供給先を国内で開拓する役割を担っているほか、同社製品をNEXXのオリジナルブランドで販売している。そのNEXXが、力を注いでいるのがスキャナ「DocuSaver シリーズ」だ。コスト削減がどの企業にとっても至上命題となっている状況下で、ユーザー企業は文書の印刷・保存費用を削減したいと考えている。文書の電子化ニーズが強まり、その要求を満たすためのIT機器として、スキャナへの関心が高まっているのだ。

 また、由利社長は新たなニーズをこんなふうに感じている。「スキャン作業は、日本ではMFP(デジタル複合機)で行うケースが多いが、海外では小型のモバイルスキャナを1人1台持つケースが増えている。海外と同じようにはいかないだろうが、日本でも数人規模の部門ごとに1台使うような分散したスキャンを行う傾向が出てくる可能性がある」。電子文書化すれば、印刷コストと文書の保管スペースが削減できるだけでなく、必要な情報を紙文書に比べて容易に検索でき、生産性向上につながる。「電子文書法」の施行以降、徐々に普及していた電子文書ソリューションが一気に受け入れられそうな状況なのだ。

類似製品がない独特のモデル

 NEXXが販売するスキャナは、ハード、ソフトともに特徴がある。ハードでは、一般的な業務用スキャナをひと通りラインアップするが、類似製品がないユニークなモデルも多くもっている。代表的な製品が「DocuSaverシリーズ BookEdge Scanner」だ。特徴は製本された文書を漏れなく正確にスキャンできるところにある。

 一般的なスキャナでは、書籍や雑誌、辞書などのノド(見開きにした二ページの境)付近に印字された文字は正確にスキャンできない。だが、「DocuSaverシリーズ BookEdge Scanner」では、特許取得済みの読み取り技術を活用しきょう体も工夫して、ノドまで2ミリメートルの範囲内は正確にスキャンできるようにした。「国内では唯一の製品」と由利社長が話す自信作で、「古い書物はノド付近まで印字されているものが多い」(由利社長)ことから、図書館や官公庁、自治体、金融機関などで高い評価を得ており、すでに多くの実績を残している。

 また、10月に発売した持ち運びに適した小型の新モデル「NX1030」と「NX1100」もユニーク性が高い代表作だ。両製品ともに、PCを使わずにスキャン、文書をデータ化することができるのだ。本体きょう体内のスロットに、USBメモリ、SDカードおよびマルチメディアカード(MMC)を挿入して文書をスキャン口に差し込むだけで、自動的に文書を読み込み、接続した外部メモリにデータを格納する。NX1030は、PCを使わずに「iPad」にスキャンデータを転送できる。PCに接続してスキャン作業することも可能で、さまざまな使い方に対応する。

 モバイル型のスキャナは多く登場し、小型軽量を売りにするが、PCを起動してスキャナと接続するのは外出先では手間になる。そのユーザーの不満を考慮し、新モデルでは“PCレス”を実現したのだ。きょう体はビジネスバックに入るサイズで、営業担当者などが顧客の資料を商談の現場でスキャンするような利用方法などを想定している。

有力ソフトを標準同梱

 一方で、ソフトでは、まず文書編集・管理関連の有力ソフトを同梱する。アビーの「FineReader」やアドビシステムズの「Acrobat」、ニュアンスの「PaperPort」など、実績が多い有名ソフトを標準で付属する。10月からは、スキャンしたデータを高圧縮PDF(HC-PDF)で取り込み、ワンタッチでFTPないしクラウドにアップできる「AVScan5」を全機種に搭載して、低コストで有効活用するためのソフトのラインを、より一層強化しようとしている。

 また、認識精度の高さで定評のあるPenpowerの名刺管理ソフト「WorldCard」を全機種に搭載。Salesforce CRMとの同期連携を行って、営業やサポート業務の管理に最適なソリューションに仕上げた。

 それだけではない。NEXXは、パッケージソフトの機能では応えられない要望には、自ら開発して提供できる体制を敷いている。台湾に設置している開発拠点に10人以上のソフト開発者を常駐させ、顧客の要望に沿ったソフトを開発している。由利社長は、「当社で柔軟にソフトを開発できることは、ユーザー企業にとってもメリットはあると思うが、システムインテグレータなどのITベンダーにとっても価値はあると思っている。スキャナを活用した文書管理ソリューションを提供する際、自社で手間をかけずにユーザー企業に提供できる」。ユーザーだけでなく、ソリューションプロバイダにとってもNEXXの強みは発揮できるというわけだ。

 文書管理ソリューションのニーズが徐々に高まっているなか、スキャナとソフトの両面で製品を強化し、顧客の要望にフレキシブルに応えられる開発体制をもつNEXX。その存在感は市場の成長とともに高まりそうだ。
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外部リンク

NEXX=http://www.nexx.co.jp/