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トレンドマイクロ×ヤマハ×住商情報システム、セキュリティサービス拡充で新市場へ

2010/10/04 19:55

 トレンドマイクロは、2010年3月にヤマハのファイアウォールルーター「SRT100」向けに、危険な不正改ざんサイトへのセキュリティ対策強化サービス「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」の提供を開始した。そして今回、中規模システムで活用されるヤマハギガアクセスVPNルーター「RTX1200」でも、「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」を利用できるようにした。協業の狙いやネットワークを取り巻く課題と解決策などを、トレンドマイクロとヤマハ、そして販売を手がける住商情報システムの3社に聞いた。

広がるウェブの脅威に対抗、注目はウェブレピュテーション

 2007年発売の「SRT100」は、「セキュリティ」「ルーティング」「マネジメント」を1台で実現したファイアウォールルーターだ。ファイアウォールやVPN、Winnyフィルタ、Shareフィルタのほか、厳格な端末管理を行うことで、LAN/WANを問わず、ネットワークのセキュリティを高めることができる。外部サービスと連携すれば、必要に応じて、QAC/TMと呼ばれる簡易検疫機能や、Webレピュテーション機能など、セキュリティ機能を付加できる高付加価値製品である。

ヤマハファイアウォールルーター「SRT100」

 トレンドマイクロのグローバルマーケティング統括本部事業開発部 村上憲子 担当課長代理は、「正規サイトを改ざんし、サイト訪問者を不正なウェブサイトに誘導することでウイルスに感染させる『ガンブラー攻撃』の被害に遭った企業・団体は数多くあります。また、また、最新の脅威は1.5秒に一つ(*1)という驚異的な勢いで登場し、ウイルス感染の約92%がWeb経由で発生しています(*2)。不正改ざんによるウイルス感染やダウンローダーによるウイルス感染など、ウェブからの脅威は減る気配がありません。しかし、ウェブの対策を施している企業はまだまだ少ないのが現状です。URLフィルタの導入率でもSMB層では20%~30%程度(*3)、実際にはウェブからの攻撃にはURLフィルタでは不十分で、Webレピュテーションが有効だと考えています」と、ウェブの脅威とその対策を語る。

*1) 2009年AV-Test提供データを基にトレンドマイクロ算出
*2) 2009年トレンドマイクロ調べ
*3) トレンドマイクロ 2009年実施 Webアンケート調査結果より


村上憲子・グローバルマーケティング統括本部 事業開発部 担当課長代理

 Webレピュテーションは、ウェブサイトが安全か否かを分析・評価し、危険性の高いサイトに接続させないソリューションだ。接続しようとするウェブサイトのカテゴリにかかわらず、不正サイトやフィッシングサイトなどへのアクセスを未然に防ぐことができる。もちろん、ガンブラーのように正規サイトが改ざんされているケースでも有効だ。

 通常、ルーターやネットワーク機器ではHTTP通信は監視していない。しかし、今回のようにルーターにWebレピュテーションサービスを搭載することで、クライアント側での導入時に発生しやすいOSやブラウザ依存性などの課題を回避し、ネットワーク内のHTTP通信を監視することが容易に実現できるようになる。

 Webレピュテーション機能は、いま、ネットワークの安全性・信頼性を飛躍的に向上させるソリューションとして注目を集めている。

 ヤマハサウンドネットワーク事業部営業部 国内営業グループの桐村直樹主任は、「当社は中小企業から大企業まで、小型・低価格のルータを提供し、高い評価を獲得してきました。この展開のなかで、セキュリティは大きな課題でした。ルーティングに軸足を置きながらも、セキュリティを強化した製品として『SRT100』の開発を進めましたが、この課題を解決するのはわれわれだけでは難しかった。セキュリティの専門メーカーであるトレンドマイクロ様と協業することで、はじめて製品化できました。その第一弾がQAC/TMで、第二弾がWebレピュテーション機能です」と協業の成果を説明する。 

ヤマハサウンドネットワーク事業部営業部 国内営業グループの桐村直樹主任

 一般的に、UTMなど多数のセキュリティ機能をもつ製品は、セキュリティ機能をオンにするとスループットが低下することが多い。しかし、ヤマハの製品は、パフォーマンスを重視して、スループットを低下させない工夫を施している。これは、ルーティングに軸足を置くヤマハならではの、「モノづくり」の姿勢の現れだろう。

 「ウェブレーティングサーバーとどうやって効率よく通信するかなど、トレンドマイクロ様と意見を出し合い、開発してきました。その結果、使いやすくてパフォーマンスも落ちない製品になりました。これは、当社だけでは決して実現できなかったことだと思います」と桐村主任は振り返る。

製品ラインアップの拡充で、提案の切り口が増える

 「SRT100」にWebレピュテーション機能を付加する「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」は、販売パートナーにとって「お客様に新しい提案ができる商材」として注目を集めている。これまで、ネットワークの見直しやセキュリティを導入してきた企業にとって、既存の対策では対応しきれないウェブの脅威が大きな課題となっている。その課題に対して、「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」は、まさに解答を出す商材となっているのだ。

 販売を手がける住商情報システムプラットフォームソリューション事業部門ITプロダクト&サービス事業部ネットワークプロダクト部営業推進チームの横山悦巳チームリーダーは「ヤマハ様とトレンドマイクロ様のお客様は、同じSMB領域のお客様が多いということもあって、親和性が高いと考えています。2社が連携することで、既存のソリューションでは解決できないセキュリティの課題に対しても、複数の切り口で提案することができるようになりました。パートナー様向けのセミナーなどでも非常に好評で、問い合わせも増えています」と手応えを語る。 

住商情報システムプラットフォームソリューション事業部門ITプロダクト&サービス事業部ネットワークプロダクト部の横山悦巳チームリーダー

 さらに今回、「SRT100」に加え、ギガアクセスVPNルーター「RTX1200」でも、「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」を利用できるようになった。「SRT100」では対応できない中堅企業から「上位クラスのルーターで同様の機能を」との声に応え、新たに開発したという。

 「RTX1200」でも「Trend Micro Web Security for Yamaha Router」が利用できるようになったことで、本社側では「RTX1200」を利用し、支店・拠点は「SRT100」を使ってセキュリティを高めるといった構成も可能となり、活用シーンも広がりをみせている。同時に販売パートナーは、より幅広い顧客層にアプローチできることになる。「『RTX1200』の投入でラインアップが拡充。より規模の大きいオフィスでの需要を掘り起こすことができると考えています」と語る横山リーダー。販売パートナーにとって、市場を広げるビッグビジネスチャンスになっているのだ。


 トレンドマイクロ、ヤマハ、住商情報システムの3社の取り組みは、まだ始まったばかりだ。しかし、それはユーザーニーズに合致し、市場でも注目を集め始めている。パートナー企業からは好評の声が聞こえてきており、市場も盛り上がりつつある。3社は、今後、セミナーなどの啓発活動を通じてユーザーニーズを掘り起こし、さらなる拡販につなげる構えだ。期待されているソリューションだけに、今後の展開から目が離せない。
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外部リンク

トレンドマイクロ=http://jp.trendmicro.com/jp/products/sb/yamaharouter/websecurity_trial/

ヤマハ=http://netvolante.jp/

住商情報システム=http://www.scs.co.jp/yamaha/